怪獣零号

ガチャッ

バンッ

ガガガッ

ウィーン…

ヴヴヴヴ…

｢｢うぃーす。｣｣

ワァァアッ…！

｢怪獣の討伐に成功した第三部隊の面々が、市民の拍手によって迎えられています！｣

｢またもや負傷者ゼロを成し遂げた第三部隊…｣

｢亜白隊長来てるって…！｣

｢ほんと…！｣

バシャアッ！

ザシュッ…

ズシン…

｢アタシ達の戦いは、全てが終わった後から始まる。｣

｢誰かに注目されるわけでもない。｣

｢特に感謝されることもない。｣

｢日比野こっち来てくれ〜！｣

｢いやカレンの方〜！｣

｢だけど、それがアタシ達の日の当たらない怪獣との戦いだ。｣

ザクッ…

｢分かりましたー！｣

ウィーン…

｢えっ？｣

ググッ…

パァンッ！！

ジュゥウーッ…

｢ぐぁあっ！！いってぇ…！！｣

スタッ！

ビチャビチャ…

｢ぐぁぁあ゛っ！！｣

｢うっすぅ゛…！！｣

グイッ！

スタスタ…

アハハ…

ガチャッ…

カチッカチッ…

｢続いての特集です。本日、横浜に突如現れた…｣

｢27歳の若さにして隊長というだけでなく、既に討伐した怪獣の数は…｣

カシュッ…

｢日比野さん、頑張って〜！｣

｢ふぅっ、ふぅっ…｣

｢ぁああ゛〜っっ…！！｣

…

おんぎゃあ！おんぎゃあ…！！

｢おめでとうございます！元気な女の子で…｣

｢日比野さん？日比野さん！！｣

｢出血が止まりません…！｣

ピッピッピッピッ…

｢妊娠10ヶ月、 出産予定日はすぐそこだった母は、大火事になった病院から命からがら避難し、隣町の病院で2週間と4日遅れてアタシを出産した。｣

｢でも、火災で障害が残ってしまっていた妊婦の体は出産に耐えきれず、母はアタシを産み落としてすぐに逝ってしまった。｣

｢ああ、なんで先に行ってしまったんだ…｣

｢クソッ…お前さえ居なけりゃ！！｣

ガシャーンッ！

｢記憶の中の父はいつも泣いていた。｣

ブロロロ…

｢…カレン。｣

｢カレン…ごめんな。｣

｢顔はもうあまり思い出せないけれど、最後に見た父の表情はよく覚えてる。｣

｢気持ち悪いくらいに、穏やかな表情をしてた。｣

ヒソヒソ…

｢今思い返せば、あの時のアタシは小さいながらに、父に何をされそうになったのかを理解していたと思う。｣

｢ごめんね、カレンちゃん…｣

｢カレンちゃんのお父さんの兄弟だよ。｣

｢今日からは、私達と一緒に暮らそうね…｣

｢すまない、兄さんがッ…｣

｢あなた…｣

｢あの葬式の日、アタシはカフカの家族に引き取られた。｣

｢4歳の頃の出来事だった。｣

バシィッ！！

ガチャッ

｢数年前まで、カフカは隊員を目指していた。｣

｢アタシは興味無かったから志願していなかったけど、カフカが初めて諦めた時は結構ショックだった。｣

｢歳とは残酷なもんで、カフカは今の環境に満足していると言う。アタシにはそうは見えないけど。｣

｢カフカはずっと、アタシが部隊に入ることを勧めてきていた。｣

｢隊員を諦めてからは回数は減ったものの、今でも時々聞いてくる。｣

ブロロロ…

スタッ

スタスタ…

ピッ！

ガコンッ

カチッ…

ガララッ

｢着替え終わりました。現場行くのって何時頃ですかー？｣

スタスタ…

ヒョイッ

｢｢うぃーす。｣｣