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夜。草木も眠る頃、藤利はビルの屋上から街を見下ろしていた。 目を光らせ、もうじき現れるであろう“ターゲット”を探す。

──そう、それはまるで、獲物を狙う夜鴉のように。

古瀬 藤利

……お、いたいた。

古瀬 藤利

マフィア組織の重役が、こんな夜中にのこのこ歩いてるなんて……。

古瀬 藤利

ま、すぐに終わるからいいに越したことはないけど。

藤利は暗闇の中から見つけ出したターゲットに狙いを定め、 M82のスコープを覗き込む。

古瀬 藤利

……お、あったり〜。

古瀬 藤利

ま、これくらい当然か♪

そして、射撃。 弾は美しい弾道を描きながら、ターゲットの背中へと直撃した。 ターゲットは倒れ、直にピクリとも動かなくなった。

敵組織の構成員

──おい、見つけたぞ!

敵組織の構成員

あいつが古瀬 藤利だ!

古瀬 藤利

……あ、バレちゃった。

屋上から街を観察していた藤利の周囲を、敵組織の構成員達が囲む。逃げ場はないかのように思えたが、藤利が慌てる様子はなかった。

古瀬 藤利

……思ったより来るの早かったね。

古瀬 藤利

良くない予感がしたとかそういうやつ?

敵組織の構成員

戯言はいい!

敵組織の構成員

お前ら、撃て!

銃口を向けられ、発砲音が響き渡る。 ……と思われたが、それはとある人物によって制された。

一瞬にして、その場の誰もが藤利に対して銃口を向けなくなる。彼らの手元から銃が無くなり、何人かは地面に突っ伏して血を流している。

古瀬 藤利

あ、おつ〜。

???

……。

古瀬 藤利

そんな顔しないでよ〜、相棒♪

樹狭霧 苗斗

はあぁ……。

古瀬 藤利

はいはい、ため息ついてたら幸せ逃げちゃうよ〜?

樹狭霧 苗斗

誰のせいだと──

古瀬 藤利

え〜、おれが悪いの?

古瀬 藤利

まぁいいや。とりま帰らない?
疲れたから寝たいんだけど。

樹狭霧 苗斗

だから……

敵組織の構成員

よくも……

敵組織の構成員

よくもやってくれたな……っ!

敵組織の構成員

見たら分かる……貴様ら〈Crow〉だろ。
このガキ共が……!!

古瀬 藤利

わーお、お怒りのご様子。

古瀬 藤利

どーする? 放っておく? 殺す?

樹狭霧 苗斗

0か100しかないの?

古瀬 藤利

え〜、じゃあどうしたらいいの?
もう疲れたから帰りたいんだってば。

樹狭霧 苗斗

そりゃあ尋問とか気絶させて拉致とか──

敵組織の構成員

死ね……っ!

──パァン!

震える右手で、構成員の男は拳銃の引き金を引いた。

樹狭霧 苗斗

……で、どうする?

古瀬 藤利

どうするって、何が?

樹狭霧 苗斗

いやだからこの男をどうするかって話。
聞いてなかったの?

古瀬 藤利

めんごめんご。

古瀬 藤利

ま、フツーに拷問でいいんじゃない?
拷問官とかいたら良かったのに。

男はぽかんとした顔で2人を見つめる。 いつの間にか藤利は『エテルネル』を取り出しており、 床には真っ二つになった弾丸が転がっていた。

そこで男は気付いた。 藤利が弾丸をチャクラムで真っ二つにしたということを。

古瀬 藤利

とりあえずこいつ気絶させない?
話聞かれたら後で面倒だし。

古瀬 藤利

はいそれじゃあおやすみ〜。

敵組織の構成員

がっ……!

樹狭霧 苗斗

容赦ないな……。

藤利は男の首に手刀を叩きつける。 男は意識を失い、がくり項垂れて拳銃を手放した。

藤利は少し冷めた目で男を見つめた。 ……と思うと、すぐにいつもの調子に戻り、扉の方へ向かった。

古瀬 藤利

さ、戻ろ戻ろ〜。

古瀬 藤利

なんかお腹空いてきたなー。
ラーメン食べない?

樹狭霧 苗斗

ラーメン……? どうして?

古瀬 藤利

いや? ただ気分なだけ〜。

樹狭霧 苗斗

でも、こんな血まみれの状態でどうやって食べに行くの?

樹狭霧 苗斗

これで店に入ったら確実に通報されるし……。

樹狭霧 苗斗

ただでさえ最近、例の薬のせいで警察も取り締まり強化してるんだから。

古瀬 藤利

ま、そこは家でカップ麺でしょ!

古瀬 藤利

おれん家来ない? あるよ?

樹狭霧 苗斗

いや、でも──

古瀬 藤利

いーじゃん別にー。
たまには悪くないでしょ!

樹狭霧 苗斗

仕事に──

古瀬 藤利

ねー。

樹狭霧 苗斗

……分かった分かった、行くから。

古瀬 藤利

いぇーい♪

翌朝。 2人は、朝早くから会議室に呼び出されていた。

会議室に向かうと、そこには既に先客が居た。 見覚えのある顔が2人。……ふと、苗斗がその名を呟いた。

樹狭霧 苗斗

……二反田先輩に鈴木先輩?

その呟きに答えるように、1人が振り返った。

二反田 結愛

その通り。

二反田 結愛

……どうしてここに呼ばれているか、思い当たる節がないとは言わせないぞ。

古瀬 藤利

え〜? おれ知らな〜い。
苗斗は分かる?

いつもより語気の強い結愛が2人にそう言い放つ。 藤利は、わざとらしく知らないふりをした。

樹狭霧 苗斗

(昨日のことだろうなぁ……)

鈴木 優斗

……あんたらが昨日やったこと、もう忘れたのか?

古瀬 藤利

ちぇっ、バレてたか……。

鈴木 優斗

特に藤利!

古瀬 藤利

え、おれ〜?

古瀬 藤利

ソウイウノワカンナーイ。

二反田 結愛

はぁ……。

二反田 結愛

……昨晩は、敵アジトで随分と暴れ回ってくれたそうだな。

二反田 結愛

いいか? 貴方達が暴れた時、まずボスから小言を言われるのは貴方達を育てた私達だ。

今日はいつにも増して2人の語気が強いな、と藤利は考えていた。 そして、なるほどボスから小言を言われたのか、と納得する。

鈴木 優斗

あんまり暴れすぎるんじゃねぇぞ。

鈴木 優斗

最近は警察の目がまた一段と厳しくなっている。

鈴木 優斗

暴れ回りすぎて見つかった時……最初に困るのはあんた達なんだぞ?

古瀬 藤利

はぁーい。以後気をつけまーす。

樹狭霧 苗斗

……ごめんなさい。

鈴木 優斗

というかこの場合、俺達が注意すべきなのは藤利だよな。

古瀬 藤利

なんでおれだけ〜?

二反田 結愛

貴方が苗斗を唆して暴れ回ることなんて想像に容易い。

二反田 結愛

私達も、今後どうすべきか話し合っていたところだ。

古瀬 藤利

……ふーん?

鈴木 優斗

ま、頑張れよ。

古瀬 藤利

あ、終わり? なら帰るよ?

鈴木 優斗

あー待て待て、まだ終わりじゃない。
次の任務の話もしておくぞ。

鈴木 優斗

結愛、頼んだ。

優斗がそう言うと、結愛は頷いた。 そして地図を広げ、そこの赤丸がついた部分を指で示す。

二反田 結愛

最近、敵対組織の使用している物資の中継地点がこの周囲にあることが判明した。

二反田 結愛

あえてここは端的に言おう。
それを見つけて潰せ。

古瀬 藤利

なにそれ? どこにあんの?

樹狭霧 苗斗

……この周囲に中継地点があると思われる、ということですよね?

二反田 結愛

……そういうことだ。

二反田 結愛

これまでの汚名を返上するのにもいい機会なんじゃないか?

古瀬 藤利

え〜、めんどくさ……。

鈴木 優斗

まぁ、その汚名のほとんどは藤利が原因なんだけどな。

鈴木 優斗

恨むならこれと相棒になった自分を恨むんだ。

古瀬 藤利

え〜、これ呼ばわり?
おれ悲しくて泣いちゃうよ?

二反田 結愛

……そういうことだ。頼んだぞ。

樹狭霧 苗斗

はい。了解しました。

樹狭霧 苗斗

“藤利もきちんと連れて”、任務に向かいます。

古瀬 藤利

はーいよろしくねー、相棒♪

樹狭霧 苗斗

はぁ……。

何やかんやで依頼を受けることになった藤利と苗斗。 2人が会議室を出ようとした時、その背中を見た結愛がぽつりと呟いた。

二反田 結愛

……あぁ、そうだった。

二反田 結愛

「夢見薬」には気を付けろ。

古瀬 藤利

……なーに? 夢見薬?

古瀬 藤利

言われなくとも気を付けるって。

鈴木 優斗

最近、例のブツを使用した構成員が健康被害を訴える報告が相次いでいる。

鈴木 優斗

まぁ、ないと思うが……
せいぜい気を付けてくれよ。

鈴木 優斗

最近は、無色無臭の散布薬バージョンが開発されている、なんて噂もあるからな。

樹狭霧 苗斗

……はい。肝に銘じます。

古瀬 藤利

はぁーい。

そうして、2人は会議室を出て行った。 段々と小さくなっていく足音を聞きながら、優斗が口を開いた。

鈴木 優斗

随分と立派に育ったもんだな〜。

鈴木 優斗

加入したばっかりの頃じゃ想像つかないくらい元気になっちまって。

二反田 結愛

……本当に、そうだな。

鈴木 優斗

あ、もしかして感慨にふけってたか?

二反田 結愛

……ふけってない。

鈴木 優斗

はいはい、すまんすまん。

【参加型】残夢の黙示録

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コメント

13

ユーザー

始まった!! 次も楽しみにしてます!

ユーザー

わぁぁあ!! 始まってる!! 続きが楽しみすぎます!!

ユーザー

うぉぉおぉおおぉ!!!! ついに始まりましたか…!!! 早くも続きが楽しみになりました…!! 続きも気長に待ってます!!

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