灰谷さんを置いて、私と竜胆くんは一旦外に出た。
優しく引っ張られていた腕は、もう外に出た時には離してくれていた。
𝐘𝐨𝐮
改めて竜胆くんの顔を見る。
何か、言葉には言い表すのが難しいけれど
カッコよくなったというか、雰囲気が大人っぽくなったというか
昔中学生の時見た竜胆くんとは、別人の様だ。
リンドウ
𝐘𝐨𝐮
何が言いづらいのかが分からない私は、さらに困惑する。
リンドウ
リンドウ
𝐘𝐨𝐮
ますます何を言っているのか分からない。
でも軽くと言っているし、そんな重要な事では無いだろう。
リンドウ
その言葉の破片を言うと、少し竜胆くんの顔が赤くなった気がした。
竜胆くん、何に緊張してるんだろう。
そう思った時、その答えが分かった。
リンドウ
『好き』?
誰が?
竜胆くんが?
...私の事を?
リンドウ
リンドウ
すると、竜胆くんは慌ててさっきの言葉を打ち消すように言った。
𝐘𝐨𝐮
リンドウ
そう言うと、竜胆くんは今まで見せた事の無い驚きの顔をする。
そんなに変な事言ったかな。
竜胆くんは、私に人生を教えてくれた人。
だから好き。
そう言っただけなのに。
リンドウ
𝐘𝐨𝐮
リンドウ
私が返事すると、少し間が開いた。
その間が何だったのかは分からなかった。
でも少し悲しそうな顔をする竜胆くんは見えた。
リンドウ
𝐘𝐨𝐮
リンドウ
𝐘𝐨𝐮
誘拐期間を延長するって事?
リンドウ
リンドウ
リンドウ
リンドウ
そう淡々と言われる。
...私が一人暮らししているのも、兄に会えていないのも
全て気にかけてくれる竜胆くん。
誘拐は私にとって好都合だったし
何よりあのルールさえ守れば難なく暮らす事が出来る。
しかもいつでも竜胆くん達に会える。
こんなに良い環境は無い。
そう思い、私はその要望にOKをした。
𝐘𝐨𝐮
リンドウ
すると、竜胆くんは安心した様な顔をした。
さっきは悲しそうな顔をしてたから、私も安心した。
リンドウ
話はどうやら終わった様で、私と竜胆くんは再びあの部屋に戻った。
リビングに戻ると、凄い不機嫌そうに座る灰谷さんが居た。
カレーは全て食べてくれていた。
ラン
リンドウ
リンドウ
ラン
リンドウ
さっきの事を言えば良いのに、竜胆くんは言葉に詰まっていた。
何でだろう、私を心配したからって言えばいいのに。
それか、さっきの『好き』が関係しているのだろうか。
𝐘𝐨𝐮
そんな風に思っていると、私の口は勝手にそう言っていた。
リンドウ
ラン
𝐘𝐨𝐮
𝐘𝐨𝐮
𝐘𝐨𝐮
...そうだ。そうだった。
自分に、帰りを待ってくれる人は居ない。
居なくなってしまった。
𝐘𝐨𝐮
すると、私はそう言い切っていた。
自分でも、突然誘拐して来た人に何言ってんだろうと思った。
けど相手はあの竜胆くんと、そのお兄ちゃんの灰谷さん。
だから、これからこの2人は私の生きる理由になって欲しい。
そう思った。
ラン
すると、灰谷さんはお決まりゼリフの様に言った。
これって、OKって事なのかな。
そう思い、バッと竜胆くんの方を見る。
そしたら竜胆くんは笑い返してくれた。
𝐘𝐨𝐮
灰谷さんがOKしてくれたという事が分かり、私はお礼をした。
そして翌日。
目が覚めると、ベッドの上に寝ていた。
少し重い目を擦り、隣に人の気配がした為横を見る。
𝐘𝐨𝐮
隣で寝ていたのは、竜胆くんではなく灰谷さんだった。
ようやく此処で、ダブルベッドが置いてある意味が分かった。
ラン
𝐘𝐨𝐮
どうやら灰谷さんは私が起きるまで待っていてくれたらしい。
𝐘𝐨𝐮
ラン
ラン
昨日のあまったカレーを... と思ったが、昨日美味しすぎて私が全部食べてしまった。
𝐘𝐨𝐮
ラン
𝐘𝐨𝐮
ラン
ラン
𝐘𝐨𝐮
昨日の事を掘り返されて、何も言い返せない。
キッチン使用禁止になった理由は、『包丁で手切ったら危ないから』だった。
竜胆くんが考えてくれたルールだと直ぐ分かった。
灰谷さんが私の事気にかけてくれる筈が無いし。
ラン
𝐘𝐨𝐮
軽く脅しを掛けられ、私は直ぐに用意を済ませた。
改めて灰谷さんの隣に立つ。
服は何故か大量に用意されていた。
どうやら竜胆くんが用意してくれたらしい。
𝐘𝐨𝐮
いつもパーカーとかTシャツだったのが、急にワンピースに変わる。
しかもその長袖のワンピースは無地で、無駄な装飾が無い。
だから余計綺麗に見えた。
ラン
すると、灰谷さんは私の事をじっと見て、そう言った。
何か怒ってるのかな。
𝐘𝐨𝐮
ラン
そう言う割にはこっちを見てくれない。
顔は見えなかったけど、少し灰谷さんの耳が赤くなっているような気がした。
...取り敢えず買い物には行かないといけないので、
私は仕方なく、前を歩く灰谷さんに着いて行った。
今は、あんな事になる事も知らずに。
駅のホームの近くに立つ2人の女子高生。
あの制服は″俺の妹″と同じ高校の物だ。
殺人。噂。行方不明。
コンビニ... 男と一緒に居る?
そいつか。アイツを誘拐したっての。
...やっと見つけた。
俺は噂を話す、女子高生2人に声を掛けた。
コメント
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最高です!(´。✪ω✪。 ` )
んほほほほほ(