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コメント
2件
イッキ見しました…!もどかしい感じがめちゃくちゃどストライクすぎました!!続き楽しみにしてます😌
rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 兄弟パロ、執事パロ
rara🎼
rara🎼
rara🎼
12 “好き”を、知らないふりをした
昼休みの屋上は、いつもより風が強かった。
こさめはフェンス際のベンチに座り、紙パックのジュースを手に、ぼんやりと空を見上げていた。
雲は高く、澄んだ青がどこまでも広がっている。
──こんな日は、なつくんと一緒にいられたらいいのに。
でも、今日はなつの姿を朝から見かけていなかった。
なつのクラスで急なテストがあると聞いていたから、屋上に来ないことは分かっていた。
分かっていたはずだったのに、こさめは無意識のうちに屋上へと足を運んでいた。
こさめ
独りごとのように零れたその言葉に、自分で驚く。
──気づいてる。
もうとっくに、なつに恋をしてるってことに。
でも、それを認めたら何かが壊れてしまいそうで、こさめは、毎日少しずつ“知らないふり”をしていた。
一方、校舎の渡り廊下。
みことは手すりにもたれ、体育館の方を見下ろしていた。
バスケ部の練習の音が響き、ボールの弾む音が風に流れてくる。
そこに、すちが現れる。
すち
みこと
すち
ぴたりと当てられて、みことは照れたように顔をそらす。
みこと
みこと
すち
すち
みこと
すちは一歩近づき、手すりに並んで立った。
すち
すち
みこと
みこと
みこと
すち
すち
その言葉に、みことは少しだけ肩の力を抜いた。
みこと
すち
微笑むその顔に、また少しだけ、心が揺れた。
その日の夕方、生徒会室では、いるまが書類の整理をしていた。
──机の上に、らんの使ったカップが残っている。
使い終わったプリント、ふと漏らした溜息。
どれもが彼の“日常”の一部で、いるまはそれを、少し離れた席から静かに見つめていた。
──これが、好きという感情なのか。
主従の関係のはずなのに、それを超えてしまいそうになる自分が、時々怖くなる。
だが、らんのためなら何でもできると思ってしまう、その心を止められなかった。
そのとき、生徒会室の扉が開く。
らん
らんが戻ってきた。
いるま
らん
いるま
その声は、自然と柔らかくなった。
らんは書類の隣に腰を下ろし、肩を軽くぶつけるように寄りかかる。
らん
いるま
いるまの声は小さく震えていた。
けれど、それを受け止める覚悟が、瞳の奥に宿っていた。
夜、こさめの部屋。
ベッドに潜り込みながら、スマホを手に、ため息をついた。
LINEのトーク画面には、“なつ”の名前がある。
──送ろうかな。いや、やっぱやめようかな。
悩んだ末に、こさめは短く打ち込んだ。
なつくん
こさめ
既読
なつ
なつ
なつ
それだけのやりとりが、どうしようもなく嬉しかった。
──本当はもう、“好き”を知らないふりなんて、できないんだ。
スマホの画面を伏せて、毛布をかぶったこさめは、眠る前に小さく呟いた。
こさめ
第12話・了
rara🎼
rara🎼
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡130
rara🎼
rara🎼