貴方の大切さ

みこと視点

旅を初めて1週間が経とうとした頃

俺達の実力では倒せない魔物と遭遇した

ザクッ

俺達が強いと思っていた装備は意図も簡単に壊れ、俺は致命傷を負った

それでもすちくんは助けてくれたよね

すちくんは戦闘向けじゃないのに、俺の為に立ち向かって

俺より華奢で力が無いなのに、俺を担いで必死になってくれた

俺はすちくんに助けられてばっかり

すちくんの死者蘇生には5日掛かる

普通に考えて、死んだ人が5日で生き返るなら早すぎると思う

それだけ、すちくんが日頃から頑張ってくれたんやろな…

もちろん蘇生の代償はそれなりに大きい

蘇生するにはそれなりに体力を消費する

少なくとも、蘇生する倍以上の日数を掛けて回復するらしい

遠くからじゃ分からなかったけど…本当にあった

ズルッ

ドサッ

勇者の剣は俺達が強くなった証だと思っていた

沢山旅をして、困難も一緒に乗り越えて

俺達は着々と実力を上げていたから

こうやって、毎日笑って楽しく旅が出来ると思ってた

ここまでは…良かったのかな？

俺達は森の奥深くにある砦に入った

入るだけで圧が凄くて、足が重く感じる

そんな時でもすちくんは俺に勇気付けてくれた

装備も俺は完璧で

これなら大丈夫だと本気で思っていたのに

現実はそう甘くはなかった

ドカンッ

すちくんは火を吹くドラゴンの攻撃を華麗に交わしていた

すちくん反対方向に向かって、逃げ回っていた

完全にすちくんをターゲットにしている

ザクッ

勇者の剣はドラゴンの首に食い込んだ

ドラゴンは俺を振り落とそうと首を激しく振る

でもここで振り落とされては全てが水の泡

すちくんはすかさず鞘をを握った

すちくんの手からは血がボタボタと垂れている

ズルッ

スパッ

俺達はその瞬間目にしたのは

ドラゴンの首が身体から切り離された光景だった

ドラゴンを倒して、俺達は感極まっていた

その瞬間、俺の目の前にはドラゴンの攻撃が…

グシャッ

すちくんは俺を庇って攻撃をもろに受けてしまった

ドサッ

どんなに声を掛けても、身体を揺さぶっても

すちくんは目を覚さなかった

元を辿れば、俺がすちくんを旅に誘ったのが悪かったのかもしれない

責任も取れないクセに、命がけの旅に付き合って貰った俺が悪い

トクッ…トクッ…トクッ

でも、すちくんの心臓は弱々しく動いている

すちくんは死んでいない

生きているけど…ずっと眠ったまま

「このまますちくんが目を覚さなかったどうしよう」

なんて、毎日思っている

すちくんが渡してきたポーション

おそらく回復ポーションだけど、今のすちくんに効くかな

キュッ…ポンッ

正直、すちくんが飲んでいるのか分からない

でも…また俺を見て笑い掛けてくれるなら

ぽわっ…ぽわっ

ポーションの瓶が空っぽになったら、すちくんが温かい光に包まれた

その光はすちくんの傷を治して消えてゆく

あれから俺達は村へ帰ってドラゴンを倒した事を伝えた

村の皆は大喜びで、俺達2人は英雄と崇められた

でも俺達はそんな物に興味は無い

だから俺達は普通の生活を送っている

ガチャッ

ガチャッ

すちくんはあの出来事から身体が思う様に動かなくなった

今は座って作業をしたり、お祈りをする生活を送っている

俺はそんなすちくんを支えたいと思っている

親友として、パートナーとして

俺はこれからすちくんを助けて生きたい

すちくんに山程助けられたから

今度は俺がすちくんを助けて恩を返すんだ