.......気まずい。
ないちゃんに早くお風呂入ってもらおうと思って急いでたら、 何故かないちゃんが入ってきた。
No.2
適度に割れた腹筋や、男らしい腰周り、少し雨水が滴るピンク色の髪の隙間から覗く、色気を纏った少し吊り目気味な瞳。
目のやり場に困りながら背を向け、残った泡を流す。
No.2
早鐘を鳴らす心臓の音が彼に聞こえてしまわないように、 シャワーの水圧を少しだけ上げた。
流し終わるまでの短いはずの時間が、やけに長く感じた。
シャワーを止め、振り返り、一方的に彼に話しかけて風呂場を後にする。
後に……しようとした。
すれ違いざまに、二の腕を優しく掴まれ引き止められる。
No.4
No.2
これ以上この空間に居たら、 抱いてはいけない感情を彼に抱いてしまう気がしてならない。
なんとか言い訳をして出ようとするが、 くすみがかった桃色の瞳が悲しさをおびていくのに耐えられず、 無言で湯船に肩を沈めた。
湯船の中から彼の背中を見つめる。
シャンプーを手に取り、泡立て、 髪を洗うその動作ひとつひとつをただ見ていた。
腕を動かす度に浮き上がる肩甲骨や、 ゴツゴツとした手の甲の骨、背中を伝う泡や水滴。
なんでもないはずのそれらに、また心臓の音が大きくなりはじめた。
この気持ちには気付かないふりをしようと決めた。
湯船のお湯が少し冷めた気がして、 ぼーっとしていた意識を戻す。
3分ほどたっただろうか。 彼は体を洗い、泡を流している。
何気なく湯気で曇った鏡に視線を向ける。
ふと、彼がシャワーを鏡に向けた。
曇りが取れた鏡。 鏡に映った彼と目が合った。
何かに安心したかのような柔らかい笑顔を浮かべる彼。
まるで子犬のようなその表情に少し頬が緩んでしまった。
No.4
急に話しかけられて少し驚きつつ、答える。
No.2
No.4
No.2
何気のない会話に心が少し温まるような気がした。
No.4
No.2
言った後に気づく。
No.2
フリーズして、数秒前の会話を何度かリピートする。
No.4
No.2
No.4
No.2
言われるがままに生返事を返す。
彼の腕がこっちに伸びてくる。
顔と顔の距離がグッと近づく。
No.4
No.2
No.4
No.2
No.4
No.2
ほぼ壁ドンのような状況で、しかも何も着ていない。
彼が何か話す度に吐息が耳にかかる。
いくらなんでも近すぎる。
No.2
No.4
No.2
僕の後ろに回されていた手が、優しく襟足を撫でた。
脱衣所の光だけが頼りな暗闇の中、 その少ない光が彼の瞳に映ってキラリと怪しく光る。
彼にはもう犬らしさなんて微塵もなく、 ただ、獲物を捕まえた狼のように 鋭く、妖艶な目線が、僕との間で混ざりあった。
ぱんなこ
ぱんなこ
ぱんなこ
ぱんなこ
ぱんなこ
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