如月シンタロー
目が眩む
如月シンタロー
世界が一瞬で白黒に変わる
如月シンタロー
そんな中、雲ひとつなく澄んだ空の青さと赤い……
如月シンタロー
赤い、標識、そして……!
如月シンタロー
その二色だけが強烈なコントラストを放ちながら網膜の奥に焼きついていく
如月シンタロー
今、目の前に広がってるこれは何なんだろう
如月シンタロー
馬鹿みたいに泣き喚く蝉の声が耳に突き刺さる
如月シンタロー
鉄の匂いが君の香りと混ざり合う
如月シンタロー
すべての感覚が認識を無視して脳内を直接殴るように刺激する
如月シンタロー
横断歩道には、焼け焦げたようなタイヤ跡と、小さな君の体と同じくらいの赤いラインが引かれていた
如月シンタロー
今更何ができるわけでもないのに近くに駆け寄ると、咽返る熱気が目に、鼻に、頭に、更に現実を叩き込む
如月シンタロー
ここにいるのは君じゃない
如月シンタロー
ついさっきまで話をしていた君じゃない
如月シンタロー
ただの赤い何かの塊だ
如月シンタロー
誰に何を言われようと、これは、君じゃない
如月シンタロー
……吐き気が込み上げ頭が酷く痛む
如月シンタロー
水中で目を開けているかのように視界が眩むと、ポタポタとアスファルトに水滴が垂れた
如月シンタロー
それはどうやら、僕の両目から滴り落ちているようだった
如月シンタロー
話しかけようと口をパクパクと動かすが、蝉の声にかき消されてしまったのか、それとも声なんて最初から出ていないのか、全く何も聞こえなかった
如月シンタロー
伝えなきゃ
如月シンタロー
伝えようって決めたばかりなんだ
如月シンタロー
早く伝えなきゃ
如月シンタロー
ユラユラと揺れるカゲロウがやけに近くに立っていた
如月シンタロー
嗤うように、僕と君とを邪魔するように、ただただそこに立っていた
如月シンタロー
邪魔をしないでくれ
如月シンタロー
今からやっと伝えるんだ
如月シンタロー
後でいくらでも嗤ってくれていい
如月シンタロー
だから今だけは放っておいてくれ
如月シンタロー
大分遅くなったけど、気持ち悪がられるかもしれないけれど……
如月シンタロー
少し我儘な態度も
如月シンタロー
照れた時にすぐ殴る癖も
如月シンタロー
なびく髪の身匂いも全部
如月シンタロー
━━━僕は、君が大好きだった






