テラーノベル
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それを聞くなり勢い良く扉を閉める
待て待て待て
何で此処にアイツ等が
いや、家が隣だから仕様がないと言えばそうなのだけれど
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扉の向こうが騒がしい
「どうしたの?忘れ物?」
なんて、不思議そうにリビングから顔を出す義母
忘れ物というか“迷惑者”が扉の向こうに
その間も「早くして」だの「合い鍵作って貰う?」だの、雑音としては甚だ騒がしい
誰が作るものか合い鍵なんて
それはさて置き、どうしたものか
どうすればこの迷惑者は先に行ってくれるだろうか
扉を背に頭を抱え込む
考えに考えた結果、
今まで生きてきた16年間の経験から予想するに逃げるor抵抗はほぼ100%無理
「降参です」と言って渋々出て行った方が幾分かマシという事になった
本当に毎朝毎朝騒がしい
頼むから朝くらいは静かにしていてくれはしないだろうか
「はぁ」と溜め息を吐いて扉を開ける
観念して出て来た私を見てソイツ等はにっこり笑った
「「おはよう、みーちゃん / 鏡緒」」
門叶 鏡緒
混雑する電車
私達と同じ様に学校に向かう学生や、
勤め先に向かう大人、
平日ではあるけれど、ちょっとした遠出目的の観光客、
乗っている人は様々だ
そんな中、運良く座れた座席ではあったものの、
両脇に“迷惑者”が
私を逃がすまいと囲んでいる
こんなの周りから見たら私が脅されているみたいに見えるのだろうか
かなり困る
話題を変えて「アイツ等」とか「ソイツ等」とか私が呼んでいる“迷惑者”の事だけれど、
面倒な事に私とは「幼なじみ」という関係に落ち着いている
前にも言った様に家も隣
もう一つ勘弁してほしいのはその幼なじみが“一人ではない”事だ
一卵性の双子
顔、身長、髪質、好み、態度、性格
容姿に関しては殆ど同じ、
しかし困った事に内面に関しては殆どが似ていない
実にコレが厄介
ああ言えばこう言う、
あっちに行きたいと言えばこっちに行きたいと言う
それをまだ二人だけの間で済ませてくれれば私もこうも文句は言わない
けれど必ずと言っていいくらい「みーちゃん / 鏡緒はどう思う???」何て風に聞いてくる
正直迷惑どころではない、
大変迷惑だ
???
右隣からスマホ片手に話し掛けてくる
双子の片割れ「一条 千慧」
???
次は左隣から
千慧の双子の弟に当たる「一条 千鶴」
私を「みーちゃん」と呼ぶのが千慧、
「鏡緒」と呼ぶのが千鶴
呼び方を統一しないのがこの双子らしいと言えばらしい
門叶 鏡緒
一条 千慧
一条 千慧
一条 千鶴
門叶 鏡緒
「傷付くねぇ」
顔を見合わせて言う
一条 千慧
一条 千慧
一条 千慧
一条 千鶴
一条 千鶴
門叶 鏡緒
一条 千慧
門叶 鏡緒
千慧から飛んできたハートを手で払う
一条 千鶴
一条 千鶴
一条 千慧
一条 千慧
門叶 鏡緒
一条 千鶴
一条 千慧
一条 千慧
一条 千慧
右から伸びてきた華奢な両腕に覆い被さるようにして抱え込まれる
なぁ、此処電車
一条 千慧
一条 千鶴
一条 千鶴
一条 千慧
一条 千鶴
一条 千慧
何処から出て来たその根拠と自信
一条 千鶴
一条 千慧
一条 千鶴
電車、しかも通勤電車で兄弟喧嘩するな
周りからの視線を考えてくれ
あとお前等心狭い
一条 千慧
一条 千慧
唐突に喧嘩し始めたかと思ったら今度は責任転嫁か
というかいつまでくっついてる気だ、いい加減離れろ
一条 千慧
千慧の腕の中で抜け出すべく全力で抵抗する
けれど抵抗も虚しく千慧の手は一向に離れようとしない
びくともしない
こんの体幹お化け
一条 千鶴
一条 千鶴
一条 千慧
どっちもどっちだよこんの双子
お爺さん
白髪の、かなり年輩のお爺さんに苛立ちでガンを飛ばしそうになった千慧を必死に押さえる
お爺さんが楽しそうで何よりです
一限の数学を終えて今は二限目の保体の授業
男女同時に別々のコートで高校生ながらの試合を行っている
けれど私を含めた数人は体育館の壁に沿って見学中
いや、別に体調が悪いとかじゃなくてただ単に次の試合の待機をしているだけだけれど
門叶 鏡緒
宮廼 采
電車で起こった内容を軽く説明すると眉間にしわを寄せてしかめっ面をされる
采とは中学からの同級生だから、三年くらいの付き合いになるはず
宮廼 采
病んでんのかなぁ
まぁ、普通じゃないのは否定しない
宮廼 采
宮廼 采
「あたし双子みたいな重たいの嫌い」
采はサバサバしてるからな
でもまぁ、普通に千慧と仲悪いのもあるんだろうけど
宮廼 采
門叶 鏡緒
宮廼 采
宮廼 采
勢い良く立ち上がった采に腕を引かれ前のめりになりながらも立ち上がる
高音のホイッスルと同時にボールが高く上がった
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三角関係でもなくて片思いでもなくて両思いでもない三人と周りの日常談です。