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大学が終わって
人のまばらな電車に座ってただ揺れている生活。
慣れているけれど、
もう少し刺激が欲しいと感じていた。
友人からのメッセージに返信して顔を上げれば、
もう他にすることはない。
lh
目を閉じて数分が経った気がする。
どこかの駅に着いたアナウンスが流れて、
向かいのドアが開いた。
眩しいと感じながらも目を開けて
電車に入ってくる人たちを見ていた。
__目が合った。華奢な男の人。
lh
すぐに逸らした。もちろんだけど
その男の人はおれの向かいに座って、
有線のイヤホンを付けた。
おれと目が合ったことはもう忘れているだろう
でも
なぜかあの瞬間が
すぐに忘れられなかった。
時間がゆっくり進んでいるような感覚があって
気づけばあっという間に過ぎていたような。
lh
人がまばらだからこそ
声をかけるのには何百倍もの勇気が必要で
しかも相手は有線イヤホン。
直感は『声をかけろ』と言っているに違いない
でも、こんな静寂の中で?
葛藤を繰り返してるおれを置いていくように
時は進んでいった。
気づけば2、3駅過ぎていたようで
あの男の人は降りていってしまった
明日も、また同じ時間の電車に乗るのかな
同じだった帰り道に
少しの刺激が加わったみたいだ。
家に帰ってから気づいた。
あのあと、また一人で最寄りまで揺られている時も
改札を通って外に出た時も
夕暮れの中家まで歩いている時も
lh
荷物がとか、もうすぐご飯を炊かなきゃとか
そんなことどうでも良くて。
スマホを取りだして、音声入力をタップして、
lh
検索候補に出てきた単語を一つ一つ眺める。
やっぱり、予測していた通りで
lh
lh
100%叶わないと分かっている一目惚れは
どうしてこうも大変なのだろう。
日常に加わったたった一つの刺激は
あまりにも大きすぎた。
電車に入ってすぐ、誰かと目が合った。
rw
たしか、一年でイケメンだって騒がれてる人。
友人にスマホで見せてもらったことがある。
彼のSNSに上がっている写真。
AI見たいに透き通ってて、
一瞬AIかと勘違いした。
たまたま近かった彼の向かいに座って、
イヤホンを付けた。
気にしてないフリをしたけど、
彼からの視線はバレバレすぎる。
顔を上げたらまた目が合いそうで上げられなかった。
rw
そう考えてしまったら、
意識は彼から離れなくなって。
最寄り駅に着いて、電車のドアが空いたら
おれは逃げるように電車を降りた。
家に帰ってから気づいた。
電車に揺られながら音楽を聞いている時も
少し早歩きで階段を登っている時も
シャワーを浴びている時も
rw
ふと思い立って、
彼のSNSのアカウントを開いてみた。
前、友人に見せて貰った時から更新されてないのが
寂しいような嬉しいような。
rw
rw
個人でメッセージを送るのは流石に躊躇った
自分だけが思い上がっているような感じがして。
彼と仲良くなりたいという気持ちは本当だけど
果たしてそれが勢いでないのかとか
目が合ったから高揚してるだけだとか
そういうことも考えてしまう。
rw
スマホは早めに閉じたけれど、
寝る前にこんなことを考えてしまったからか
あまり深くは眠れなかった。
あれから、
同じ電車でたまに見かけるようになったけど
やっぱり、話しかけることはできなかった。
またどこかで会えたりしないかな。
もし会えたら、
なんて妄想を膨らませるばかりで
一向に行動には移せなかったりして。
春のキャンパスは桜の花弁が舞っていて
意外とこういう所に幸せを感じたりもする。
今日もまた電車に揺られて、
もしかしたらあの人が乗ってくるかもしれなくて。
そんなことを考えていたら足元が弾んでしまって、
ドンッ
lh
rw
目が合った。
あの人だって気づいたのはその時だった。
無意識に腕を掴んでいたようで
あの人が困惑した目でこちらを見あげて来た時に
腕をそっと離した。
rw
lh
rw
無意識だったみたいだ
でも、綺麗なのはお世辞でも嘘でもなくて
近くで見れば見るほど美しくて
その上目遣いで見つめられるだけで
心臓はバクバクしてる
lh
lh
ここまで言ったら後戻りなんてできない
当たって砕けろの精神で行こう
チャンスは1回きりしかないんだから