言い過ぎと思ったのか
桃は両手の指先をつんつんと合わせ視線を泳がせた
俺はそう気にしていないので
極上のスマイルで安心させてやろう
紫
紫
桃
桃
桃
紫
それほど下心がにじみ出ていたのだろうか
まあいいや
そう割り切りつつ二人でアパートに引き返していると
小さな墓地を横切る道に出てしまう
すでに幽霊と行動しているのに
背筋をちろりと舐められたような悪寒走る
街頭が少なく
眼前に漆黒が迫っているせいだろうか
桃
桃
紫
俺は同意する
桃にとっても
この墓地はどこか寂しい場所に映ったのかもしれない
もしそうだとしたら
幽霊にとっての安息の地は現世ではないはずだ
紫
紫
桃
桃
桃
桃
桃
桃はそう言いながら
乾いた笑みをこぼした
もし
復讐を果たして成仏するのなら
最後に抱く感情は怨念になる
高校生になったばかりの少年が抱えるには
あまりにも暗すぎる
紫
紫
紫
呟いた言葉は
タイミングよく通過した叡山電鉄の音にかき乱されて霧散する
車両から漏れた漏れた灯かりが
桃の姿を朧げに照らし出す
手を伸ばしても
届かない距離にいる気がした
夜の散歩を終えてアパートに帰ってきた俺達は
これまでの内容を一度まとめることにした
まず
ドッペルゲンガーに存在を奪われた桃は死に至り
生と死の狭間を彷徨う霊体と化した
桃の望みは
自分として生活するドッペルゲンガーへの復讐
どのような方法になるかは不明だが
殺人の可能性を孕むのは間違いなかった
そこで白羽の矢が立ったのが
学校で噂の馬鹿こと俺
文化祭で送り火を敢行するほどの傑物であれば
ドッペルゲンガーの殺害だろうがノリで手伝ってくれると睨んだらしい
どうやら
赤字が出るほど買い被られている
紫
紫
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