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第11話 使用人殺人事件

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第11話 使用人殺人事件

1 - 第11話 使用人殺人事件

2018年11月24日

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時刻は午前12時半

山田はいつも通り、昼頃に2人が宿泊している宿の前へ車を停めていた。

山田 隆夫

遅いですね。轟さん達。

山田は車の外で、腕時計で時刻を確認しながら言った。

実は山田。今から凡そ1時間前、つまりに1時半には宿の前に着いていた。

だが、約束したのは昼頃。少し早く着いたと思い車内で轟達を待っていた。

しかし、約束の時刻を過ぎてもやって来ない轟達を不審に思い、宿の女将に訊くと、2人は午前11時には、ここを出ていると言うではないか。

最初は、まぁ散歩にでも行ったのだろう、と思ったが、流石にそれで轟が時間に遅れるとは思い難い。

山田 隆夫

まさか・・・背中の怪我が悪化したんじゃ・・・

ここは流石、刑事の感と云う奴だろうか。

轟達が時間に遅れた理由をピタリと言い当てた。

そして、その轟達はと言うと・・・

同時刻 〇〇宿付近

ザッ!

ザッ!

轟 健二

・・・すまんな。

加藤 恭子

これくらい平気ですよ。私これでも昔、畑の手伝いしてたんですよ。

轟は加藤の肩を借り、山田の待つ宿へと向かっていた。

加藤 恭子

大体、その状態で歩いたら、余計悪化しますよ。

轟 健二

・・・あぁ、そうだな。ありがとう。

轟はそう加藤に感謝の意を伝えながら、チラッと後ろの方を見た。

やっぱり俺が目的か。

もしも、加藤が狙いなら、俺が動けない今のうちに拉致でも何でもすればいい。

だが、それをしないと言う事は狙いは俺。

チッ!厄介だな・・・

轟 健二

ッ!

又もや、鋭い痛みが背中を走った。

加藤 恭子

もうすぐ着きますよ。ほら、山田も彼処にいますよ。

加藤の指差す方を見ると、こちらに気付いた山田が居た。

山田 隆夫

轟さん!

そして、轟の異常事態に気付いた山田は2人の元へ、駆け寄って来た。

山田 隆夫

怪我が悪化したんですか!?

轟 健二

あ、あぁ、少しな・・・ッ!

加藤 恭子

何が少しですか。山田手伝ってください。

山田 隆夫

はい!勿論です!

加藤と山田は2人かがりで車まで連れて行き、車へと乗せた。

山田 隆夫

しかし、轟さん。いくら何でも今日は大人しくしておいた方が・・・

加藤 恭子

私もそう言ったんですが・・・

轟 健二

さっさと、依頼を済ませば、事務所で療養すれば治る。

加藤 恭子

駄目です!病院に行ってください!

山田 隆夫

そうですよ。いくら療養と言っても、どれくらい掛かる事か・・・

2人はそう心配をした。

轟 健二

・・・病院にはあまりいい思い出が無い。

加藤 恭子

轟さん・・・?

轟 健二

そんな事より山田。お前何時になったらPC(パトカー)で来るのを止めるんだ?

山田 隆夫

しょうがないじゃ無いですか。覆面パトカーも台数が無いんですよ。

山田 隆夫

それより、今日は何処に行くんですか?どうせ、宿には戻らないんでしょ?

轟 健二

佐藤邸に行ってくれ。

山田 隆夫

はい。判りました。

山田はギアをチェンジし、アクセルを踏んだ。

???

???

もう1人は警察官か・・・

佐藤邸へ向かう道中

加藤 恭子

何で佐藤邸に行くんですか?使用人部屋なら、もう見に行きましたよね?

轟 健二

被害者の後藤と1ヶ月から行方不明になっている近藤の写真が欲しくてな。

加藤 恭子

写真ですか?

轟 健二

あぁ、情報だけじゃあ判らない事も多いからな。それにもしかしたら・・・

加藤 恭子

もしかしたら?

山田 隆夫

もしかしたら、何なんですか?

轟 健二

・・・いや、何でもない。

加藤 恭子

良いですから言って下さいよ!

山田 隆夫

そうですよ。轟さんはそうやって、何時も自分で溜め込むんですから。

2人はそう言い抗議した。

轟 健二

・・・もしかしたら、この事件。少々面倒になるかもな。

加藤 恭子

山田 隆夫

佐藤邸

轟は加藤の肩を借り、佐藤邸の敷地内に居た。

山田 隆夫

私は使用人に事情を話してきます。

加藤 恭子

はい。頼みましたよ。

山田 隆夫

は、はい!

山田は加藤に頼られ、若干高揚していた。

そして、山田はその場を離れた。

轟 健二

しかし、見事な雪景色だな。

加藤 恭子

えぇ、本当ですね。

佐藤邸の広い庭には薔薇の花が辺り一面に生えており、それに雪が白い雪が相乗効果で良い景色になっている。

轟 健二

・・・ッ!

そんな景色を眺めていると、又もや背中に痛みが走った。

加藤 恭子

大丈夫ですか?何処かに座りますか!

轟 健二

あぁ、そうだな。彼処にベンチがあるから、そこで座ろう。

2人は近くのベンチに腰を掛けた。

轟 健二

っつつつ!

轟は痛みに顔を顰め、ゆっくりと腰に手を当てた。

加藤 恭子

本当に大丈夫ですか?やっぱり宿に戻った方が良いんじゃ?

轟 健二

どうせ、宿に戻っても痛みは変わらん。なら、気晴らしにでも依頼調査をした方がマシだ。

加藤 恭子

ですけど・・・

轟 健二

まぁ、恭子と宿でイチャイチャするのも良いがな。

加藤 恭子

〜〜〜!

加藤は轟のからかいに顔を赤く染めた。

あぁ、可愛いな。

轟はニッコリと笑みを浮かべた。

しかし、それもつかの間だった。

轟 健二

くっ!

一気に背中へと鋭い痛みが走った!

轟は一度に大きな痛みが来たもので、対応出来ず、加藤の方へと倒れ込んだ。

加藤 恭子

と、轟さん!?

轟 健二

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・

轟は荒い息で、返事すら出来ずにいた。

加藤 恭子

轟さん!大丈夫ですか!?

轟 健二

あ、あぁ、大丈夫だ・・・

その痛みは、持続的な痛みでは無かった様で、直ぐに治まった。

だが、完全に痛みが消えた訳では無い。

轟はあの出来事以来、ずっと背中の激痛に耐えている。

轟 健二

ふふ、加藤をからかった罰かな?

轟は心配を掛けまいと気丈に振舞った。

轟 健二

まぁ、加藤とイチャイチャしたいのは本心だがな。

その言葉を聞き、再度顔を赤くした。

あ、あのぅ。

轟 健二

ん?

轟に話し掛けてきたのは、以前、山田に行方不明の近藤の事を聞きに来ていたメイドだった。

沢田

私は使用人の沢田と申します。

沢田

突然で申し訳ございませんが、貴方は警察の者ですか?

あぁ、前に山田と居たから、そう思ったのか。

轟 健二

いや、俺は唯の私立探偵だ。今回の事件の調査をしている。

沢田

そうですか・・・

轟 健二

なぁ、こっちからも質問良いか?

沢田

はい。

轟 健二

沢田さん。あんた、行方不明の近藤と付き合ってるだろ?

沢田

なっ!?

轟 健二

何で判ったってか?

沢田

はい・・・

轟 健二

以前、刑事に近藤の行方を聞いた時の落胆度合い。

轟 健二

普通、使用人なんてもんは他人を心配する余裕は無い。

轟 健二

それなのに、あれだけ心配するって事は、仕事上で重要な人物、もしくは恋人。

轟 健二

だが、仕事上で重要な人物なら、1ヶ月も不在なら、何らかの問題が起きてもいいが、もしそうなら、何かしらの形で現れてもいいがそれが無い。

轟 健二

と言う事は、残った恋人説が有枠だ。

加藤と使用人の沢田は轟の推理を聞き、唖然としていた。

沢田

さ、流石、探偵さんですね。

加藤 恭子

と、轟さんが探偵してる・・・!

轟 健二

おい加藤。一応これでも探偵だぞ?

沢田

貴方様の言う通り、私は近藤さんと恋人同士です。

沢田

ですが、この屋敷では使用人同士の恋愛は御法度。

沢田

なので私があまり堂々と近藤さんの行方を聞けば、佐藤様に怪しまれます。

轟 健二

健気だな・・・ッ!

轟がそんな事を言っていると、再度背中に激痛が走った!

轟 健二

くっ!

沢田

ど、どうしたんですか!?

轟 健二

い、いやなに、調査中に・・・ッ!怪我をしてな・・・ッ!

轟は大きく深呼吸をし、何とか痛みを押さえようとした。

轟 健二

ッ!はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・

轟は汗を流しながらも、何とか激痛を押さえ込む事が出来た。

轟 健二

はぁはぁはぁ

沢田

だ、大丈夫ですか?

沢田は突如、苦しみだした轟を心配した。

轟 健二

あぁ、大丈夫だ。そのうち治る。

沢田

・・・これを使ってください。

沢田はポケットから何かが入った缶を轟に渡した。

沢田

この庭に生っている薔薇の蜜で作った塗り薬です。

沢田

私の故郷で良く作っていた物ですから、効果は保証します。

轟 健二

しかし・・・

沢田

その代わり!

轟 健二

沢田

・・・近藤さんの行方が判ったら、私に教えてください。

轟 健二

・・・中々、交渉上手だな。

轟 健二

判った。近藤の行方が判り次第、連絡する。

沢田

!ありがとうございます!

そのあと、使用人の沢田に塗り薬の説明を受けた。

沢田

すみません。私、そろそろ屋敷に戻らないといけません。

轟 健二

判った。

沢田

それでは。

轟 健二

あぁ、沢田さん。

沢田

はい。何でしょう?

轟 健二

ありがとう。

そう言い、手を伸ばした。

沢田

・・・こちらこそ。

沢田もそう言い手を伸ばした。

そして、握手をした。

沢田

・・・それでは。

沢田は轟に向かって一礼し、屋敷へ戻って行った。

加藤 恭子

轟さん・・・本当に大丈夫ですか・・・?

加藤は昨日より、痛みの周期が早い事に不安気な顔だ。

轟 健二

・・・あぁ、正直言うと、かなり不味いな。

轟 健二

動くのもキツいな。

轟 健二

大方、この寒さで悪化したんだろう。

加藤 恭子

やっぱり・・・

轟 健二

今日はこれが済んだら宿に戻るか。

加藤 恭子

絶対そうしてください!

山田 隆夫

轟さん。加藤さん。

轟 健二

あぁ、やっと来たか。

轟は山田が戻ってきたのを確認し、塗り薬をポケットに仕舞った。

山田 隆夫

これが、被害者の後藤さんと行方不明者の近藤さんの写真です。

山田は轟に2枚の写真を渡した。

轟 健二

・・・やっぱりな。

第12話に続く

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