セカイ脱出

15年前、僕は産まれた

あの日、確かに母さんは言ったんだ

産まれてきてくれてありがとうって

愛されていた頃は夢物語

今じゃ無いもの扱いだ

愛されようと努力はした

けれど、駄目だったみたいだ

学校でも一人

イジメられていないだけマシ

本当にそうだろうか？

孤立して無いもののように扱われる

それはイジメと同等に辛いものだ

僕は生きるのが下手だった

このセカイの皆が僕を嫌うように

僕もこのセカイが嫌いだった

空から声が聞こえた

早く逃げたい

そうポツリと呟いた

僕は導かれるままゲームのセカイへ転移した

久しぶりに家で声を発した

息子がいない…

どんなに無視をしても

愛されようとしてた彼が帰って来ることは無かった

最低な母親ながら

やっと息子の大切さに気づけた

利央のいないセカイはありえない

そう呟いた時だった

不思議な声が聞こえた

親子が再会するとき

それは…

残酷なゲームの始まり