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笑う義勇と笑わないしのぶ【其の弐】

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笑う義勇と笑わないしのぶ【其の弐】

1 - 笑う義勇と笑わないしのぶ【其の弐】

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2020年08月25日

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冨岡義勇

君のお姉さんはどんな服を着ているんだい?

小さい女の子

.............も、桃色の着物に水色と白の水玉の羽織り.......雨みたいな模様だよ.......

冨岡義勇

髪の長さは分かるかい?

小さい女の子

お姉ちゃんの髪は長いんだよ、腰ぐらいまであるの

冨岡義勇

髪飾りはしてるのかい?

小さい女の子

うん、赤色の髪留めをしてるよ

義勇は次々と質問をした。 女の子を不安にさせないよう笑顔を絶やさずに訊いていた

冨岡義勇

........っ!

小さい女の子

!!

冨岡義勇

(女の子だ)

冨岡義勇

君のお姉さんはあの子かい?

小さい女の子

................

冨岡義勇

(服装もあってるし、髪型...........だっ、て..........?)

小さい女の子

............お姉ちゃんはあんな髪してない

小さい女の子

あんな.....短くないもん.........

冨岡義勇

きっとバケモノに襲われたときにどっかで切れちゃったんだよ。服装は合ってるだろう?

小さい女の子

うん....................

冨岡義勇

おい、君!この子のお姉さんかい?

その女の子はゆっくり此方を向いた。手に何かを持っているようだ

冨岡義勇

.....................

小さい女の子

...........っ

女の子

.........っ!!

小さい女の子

お姉ちゃん........っ!

義勇は小さい女の子をそっと下ろした

冨岡義勇

.............良かったな。見つかって

小さい女の子

ありがとう!!お兄さん!

冨岡義勇

ところで、その手に持っているものは?

女の子

............これ、ですか?

冨岡義勇

あぁ

女の子

木ですよ

冨岡義勇

それにしては随分と尖っているが?

女の子

怪物を、これで................

冨岡義勇

そうか.......頑張ったんだな

小さい女の子

お姉ちゃんっ......!

女の子

会いたかったよぉお..........

小さい女の子

愛(めい)お姉ちゃん.......

女の子

うん.......ここにいるよ

冨岡義勇

ここは危ないからもう帰りなさい。麓まで送ってあげるよ

女の子

いえ大丈夫です

冨岡義勇

またバケモノが出るかも知れない。子供達だけで.....

女の子

これ以上鬼狩り様に迷惑はかけられません。私達は大丈夫ですから

義勇は女の子に違和感を覚えた。

女の子

さ、帰ろ?

小さい女の子

うん!

冨岡義勇

ちょっと待ってくれ.........

冨岡義勇

(女の子の気配がおかしい........)

小さい女の子

???お兄さんどうしたの?

冨岡義勇

愛お姉さん.....だったか?妹の名前.....言えるか??

女の子

っ!

小さい女の子

??

女の子

当たり前じゃないですか

冨岡義勇

言ってみてくれるかい?

女の子

............り

冨岡義勇

..................

女の子

愛蘭(ういりん)よ。私の大切な妹だもの。忘れるなんて事ないわよ

冨岡義勇

あってるか?

小さい女の子

え?う、うん。私の名前だよ......?

冨岡義勇

(変な気配は、気のせいか?)

女の子

もう、行ってもいいですか?

冨岡義勇

あ、あぁ......ごめんな

女の子

さ、行こ

冨岡義勇

....................

女の子

早く帰らないとお母さん達心配しちゃうね

小さい女の子

そうだね!

女の子

さっきの鬼狩りの人。可笑しな人だったね

小さい女の子

でも優しかった!お姉ちゃんを一緒に見つけてくれた!

女の子

そうだね

小さい女の子

ねぇ......お姉ちゃん

女の子

ん?なに?

小さい女の子

その、鬼狩りってなに?お姉ちゃん、あのお兄さんにも鬼狩りって言ってたけど........

女の子

...........鬼を狩る人のことだよ

小さい女の子

鬼.....?

女の子

うん。あの怪物いたでしょ?あれが鬼。それを殺す人たちが鬼狩りって言うのよ

小さい女の子

へぇぇ。お姉ちゃん物知りだねぇ

女の子

まぁね...........。

愛は立ち止まった

小さい女の子

どうしたの?お姉ちゃん??

女の子

........愛蘭は.......何歳だっけ?

小さい女の子

?????なんでそんな事聞くの?

女の子

ちょっとね。何歳?

小さい女の子

この前の誕生日で伍歳になったよ

女の子

そう........まだ   じゃないんだけどなぁ

小さい女の子

????何を言ってるの?

女の子

お姉ちゃん、お腹すいちゃった

小さい女の子

それと私の年は関係あるの??

女の子

ええ。あるわ

愛は愛蘭の肩を掴んだ

女の子

でも、お腹空きすぎて死んじゃいそうなのよねぇ

小さい女の子

?じゃぁ帰ったら一緒に夕餉食べようよ

女の子

私のご飯はお前達が食べてるゴハンじゃないんだよ

小さい女の子

お、お姉ちゃん?お姉ちゃん、だよね..........?

女の子

ええ、そう。紛れもなく私はお前のお姉ちゃん。そう思いながら死ぬと良いわ。

小さい女の子

え?待って、ねぇっ.......お姉ちゃんの言いたいこと、分かんないよっ.......!

女の子

いただきま__........

小さい女の子

.....................?

女の子

___どうしてこうも邪魔するのかなぁ

愛は腕ごと斬られていて、そこからは出血している

小さい女の子

.....!さ、さっきの!

冨岡義勇

すまない。遅くなった

冨岡義勇

事情は後で説明する。とりあえず麓まで全速力で逃げろ

小さい女の子

で、でもっ

冨岡義勇

必ず、追いつくから。な?

義勇は愛蘭に向かって笑いかける

小さい女の子

.............分かった....でも、お姉ちゃんは?

冨岡義勇

................ごめんな。助けてあげられるか分からないが、まずは君を助けさせて

小さい女の子

.................っうぅ.....わかっ、た...怪我、しないでね.....

愛蘭はそれだけ言い残すと義勇の言った通り麓の方へ走っていく

女の子

.................何すんの

冨岡義勇

妹じゃなかったのかい?

女の子

妹よ。コイツのね。そう脳が言ってる

冨岡義勇

どうやって入り込んだ?

女の子

話が早くて助かる。けど、厄介ね

冨岡義勇

問いに答えろ

女の子

血鬼術を使った。それだけ

冨岡義勇

その子の、魂は生きているのか?

女の子

さぁ?どうだろ。分かんない

冨岡義勇

っ!?何故分からない!

女の子

まあ知ってても教えないけどね

"愛"は揶揄うようにクスクスと笑う

冨岡義勇

(ごめんな、君のお姉ちゃんはもう.......。俺が未熟者なばかりに......)

女の子

で、どうすんの?私の頸を斬れば私は死ぬけどコイツも死んじゃうよ

冨岡義勇

...............っ!

女の子

ここでもたもたしてると、アイツも何かに殺されちゃうかもね

冨岡義勇

(__...なるほど)

冨岡義勇

お前は....そうか。妹が欲しかったのか

女の子

は?何?急に

冨岡義勇

もう嘘は吐かなくていい。素直になれ

女の子

だから、何言ってんの

冨岡義勇

遠回しにあの子の事を気にしてるような素振り。それにあの子に向ける顔。殺意なぞ微塵も感じ取れない

冨岡義勇

今の自分では彼女を襲ってしまう。だから、分かりやすく彼女を襲い信用をなくし俺に斬られる事を望んだ

冨岡義勇

違うのか?

女の子

.............ふふ

冨岡義勇

女の子

何を言い出すかと思えば、ふふ。何それ!あはは!

彼女の形をした鬼は高らかに笑う。が義勇は気づいている

冨岡義勇

(泣いている)

目から溢れる水が頬を伝って顎からポタポタと落ちていく。自分の気持ちを誤魔化すかの様に笑う鬼の様は悲しそうで、辛そうで、滑稽だった

女の子

本当は頸を斬って殺される予定だったんだけど、まぁいっか

冨岡義勇

ま、待て!何をする気だ?

女の子

ごめんなさい。やっぱり私は人間を殺せない。殺せないよ「   」

そう言うと、鬼は四方八方に砕け散る。その表情は笑っているような、そんな気がした

冨岡義勇

......................また、まただよ。また救えなかった......錆兎なら上手に出来たのかな......。どうしたらいい?姉さん.......

冨岡義勇

嗚呼きっと、あの鬼も大切な人を亡くしたんだ..........やっぱり、弱いな俺.....うまく、出来ないよ......

冨岡義勇

(いけないいけない。笑顔が崩れていた........)

冨岡義勇

あの子には、何と言おうか.........

そう呟いて義勇は愛蘭のあとを追った

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