朝
──て、ねぇ、
夜斗
んっ...
朝
ゆうと、起きて──朝だよ。
夜斗
んぅ…?っ、おはよぉ…
朝
ん、おはよ
俺の朝は、朝の顔から始まる。
その名前にピッタリな性格で、
まだ寝ぼけている焦点の合わない俺の視界で彼女は
まるで朝の妖精でもあろうことか
その優しい声と笑顔で
朝
早く、起きて。
俺を包み込むように呼ぶ。
夜斗
はぁい...っ
夜斗
あの
朝
うん?
夜斗
着替えるから出て?
朝
/////
朝
ほんとにゆうとは朝弱いねぇw
夜斗
ちげぇよ夜型なだけだよ
朝
名前の通りだねw
夜斗
...ブーメラン
朝
あっ
放課後(早いとか言ったらぶっ飛ばす)
朝
あっ
朝
ねぇねぇゆうと
夜斗
ん?
朝
今度、花火大会行かない?
夜斗
いいけど...
朝
やった!はしゃいでるゆうとが見られる!
夜斗
どーゆー事?
朝
ほら、ゆうとって夜になると楽しげじゃん?
夜斗
ま、まぁ夜型だからな
朝
最近、ゆうとと遊ぶ事も無くなっちゃったし
夜斗
だって勉強とか凄くなったもんな
朝
うんそうなんだよ…
夜斗
ま、いいや、花火大会今日だろ?
朝
うん!当日に誘ってごめんね…
夜斗
全然、気にしてないよ
夜斗
あ、浴衣着る?
朝
うーんどうしよ
夜斗
俺着よっかな
朝
じゃあ私も来てくるね!
夜斗
おう、6時に鳥居の前な
朝
分かった!
夜斗
…
朝
お待たせ~~~!
夜斗
おうって…
朝
ん?なんか変?
可愛いっ!!
夜斗
え、いや、なんでも、無い
朝
そっか。じゃあ行こ!
夜斗
お、おう
朝
うわぁ…綺麗…
夜斗
だな...
ここで彼女に『朝の方が綺麗だよ』なんて臭いセリフ
言ってた方が良かったのかもしれない
──なんてのうのうと考えてたら
朝が必死に俺を呼ぶ声も聞こえなかった──
朝
ゆうと!うえ!逃げて!
夜斗
─ん?
ドォォン!!
???
──きて、起きて!
夜斗
うぁっ!!
???
良かった、全然起きないんだもん
夜斗
は…?
目を覚ました先には、
暗いのにどこかふわふわした雰囲気の森。
騒がしいほどに鳴く鳥たちの声。
そして──
夜斗
君は、誰だ?
???
さぁ誰でしょう?
この少女。
ただ白いワンピースを着て、裸足で苔生やした森に立っている。
夜斗
誰でしょうって…
???
あなたが2回目にここに来たら教えるわ。
???
でも、
???
2回目に来たら、もう戻れないよ。
夜斗
え...?
???
だって私の名前を教えたら、きっと貴方は驚くでしょう。
???
だから、知らない方がいい。
???
だから、知らないままでいい。
夜斗
どういう事だよ...?
???
それも知らないままでいい。
???
さぁ、行こう?
すると少女はあまりに白すぎる手を俺に差しのべそう言った。
─???─
だめ─行かないで─
夜斗
…!?
???
どうしたの、早く行こう?
夜斗
ご、ごめん、俺、まだ行けないや。
???
そう。じゃあ
???
二度と帰ってこないようにね。
???
私に会おうと思わないようにね。
夜斗
あぁ、約束する。
俺はそう少女に告げると、少女とわかれ、どこに繋がっているのかも分からない道を歩いた。
夜斗
…はぁ、疲れた…
そう言って俺は苔が生えしきる倒木に腰を下ろした。
夜斗
どうしよう...眠く...なって来た...
夜斗
...
──て、きて──
夜斗
んっ…はぁ、はぁっ
朝
ねぇ、早く早く──
早く、起きて。
夜斗
っ!
朝
ゆうと…!?
朝
おき、たの…!?
夜斗
あ、あさ…?
夜斗
うん、
夜斗
起きたよ。
朝
うっ...ひっく、...
朝
お、おはよう...!
夜斗
あぁ、おはよう。
夜斗
あ、あと朝
朝
うんっ?
夜斗
好きだ。
朝
...!
朝
わ、私も!
ちゃんと戻ってこれた…
そういえばあの女の子…
???
二度と帰ってこないようにね。
???
私に会おうと思わないようにね。
夜斗
──しばらく会いたくないかな。
朝
えっどうしたの?
夜斗
いいや、なんでもないw
朝
なんだよーw
いつまでも俺が
─朝のおはようでおきられますように─







