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『記憶の味読』:謎解き編
レンは荒い呼吸を整え、接続端子からプラグを引き抜いた。 指先が微かに震えている。
蓮見レン
通常の記憶チップは、視覚、聴覚、触覚といった五感データが整然とパケット化されている。だが、この「シロ」にはその構造がない。まるで、*「誰かの強い想い」そのものがチップという物理媒体に直接焼き付いている*かのようだった。 レンは店の防音シャッターを下ろし、解析用の大型モニターを立ち上げた。 彼が監査局時代に開発した非公式の解析プログラム『アリアドネ』を走らせる。
蓮見レン
モニターに映し出された顕微鏡映像に、レンは目を見開いた。 現代のチップはシリコンと合成樹脂でできている。しかし、この「シロ」の内部には、神経細胞に似たタンパク質結合が網目状に張り巡らされていた。 それは、30年前に禁止されたはずの技術——「生体記憶素子(バイオ・コア)」。
蓮見レン
レンは少女がいた「庭園」の背景を、ノイズ混じりの静止画から解析した。 空に浮かぶホログラムの歪み、植物の種類、そして微かに映り込んだ古い形式の郵便ポスト。
蓮見レン
レンは壁に掛けた古いコートを掴んだ。 その時、店の外で、重厚な電子音が鳴った。 『ハスミ・レン。当局の資産を不当に所持している疑いがある。直ちに開錠せよ』 監視カメラの映像には、真っ黒なフルフェイスヘルメットを被った「記憶監査局」の執行官たちが映っていた。 彼らの目的は、レンではない。レンの手の中にある、この「白いチップ」だ。
蓮見レン
レンはチップをポケットに放り込み、裏口のダストシュートへ飛び込んだ。 雨の夜が、加速し始める。
『記憶の味読』:謎解き編・闇の深淵へ続く