兄貴と一緒にしないでください【灰谷兄弟】

ー竜胆 sideー

梨がシャツをインしないのは めんどくさいから、だろうけど

アイツが跳ねれば 薄く白い腹がチラリと見える

それを眺めるのが目的で 俺達二人は試合観戦に回った

棒読み感が否めない 多分兄ちゃんが見てるのは 程よい肉付きの太もも

動きからしてバスケ部か

あんなシュート、外れればいいのに

俺の念が通ったのか ボールはリングで跳ね返され 向こう陣営まで行こうとしている

逃すまいと梨は 高く、勢いよく跳躍すると 落ちるボールを素早く掴んで

そのままゴールにシュート

あの身長ならダンクは難しい だからこそ、人より早くボールを掴む必要があった

そんなことなど、そっちのけで 俺達は梨の腹チラに釘付け

ボールが落ちる音と共に 男子の黄色い歓声が響く

案外モテるらしい 彼女も彼氏も絶対作らせないけど 俺たちが死ぬまでダメだ、絶対に

…やっぱ死んでもダメだ

正直、惚れ直した ああいうところが格好いい 期待も不安も、良い意味で裏切ってくれる所

いつもの甘えたな口調はどこ行ったのか 俺の鈴木に対する発言を聞いて こわーい笑とか言っていた兄貴とは思えない 目も殺る気満々だし、わんちゃん睨めば鈴木殺せる

梨がコチラに近付いてくると すかさず猫かぶりをかます兄貴

チーム交代 梨のチームは休憩に入る 何食わぬ顔で隣に座るコイツは 無自覚なのか、自覚しているのか分からない

頭を撫でてやると 汗かいてるから触らないでと 手を叩き落とされる

これくらいの運動量で汗などかく筈がないのに

薄ら赤く染まる耳 俺らの妹はこんなにも可愛い

軽く怒ると、眉をひそめる梨

そういえば、まだ消さなきゃいけない野郎がいたな…

兄ちゃん連れて