リサ
「師匠、お腹が空いたのですか?」
アストレス
「ああ、そうだね。リサはお腹は空いていないかい?」
リサは少し恥ずかしそうに微笑みながら答えた。
リサ
「実は、私も空きました」
僕はすぐに店主に向かって声をかけた
アストレス
店主、串焼き肉を二つください
店主は快活に応じた。
店主
はいよ、ちょっと待ってな。そういえば、あんたどこかで見たことあるな
僕は咄嗟に言い逃れた。
アストレス
いや、きっと気のせいじゃないですか
店主は髭をさすりながら、「そうかね」と言いつつ、焼きたての串焼きを二つ手渡してくれた。その目はどこか探るようだったが、深く追及はしなかった。
リサ
師匠のお知り合いの方ですか?
アストレス
いや、ただの通りすがりの人だよ。通り名みたいなものさ。
リサ
そうですか、わかりました
リサは納得したように頷いた。
二人で歩きながら、ジュージーな串焼きを口に運ぶ。お腹が空いていたせいか、二人ともあっという間に串を平らげてしまった。
その美味しさに舌鼓を打ちつつも、僕は少し後悔した。もう一本買っておけばよかった、と。
リサもまた同じ気持ちだったのか、少し物足りなさそうな表情を浮かべていたが、それでも彼女の顔には満足そうな笑みが浮かんでいた。
夕暮れが近づくにつれて、子供たちは親と手を繋いで帰路につき、肩に乗ってはしゃいでいた子供も、父親の背中で眠りに落ちていた。
その微笑ましい光景を目にしたリサは、ふと寂しげな表情を浮かべた。
僕は、何も言わずにリサを優しく持ち上げ、肩に乗せてみせた。
アストレス
これで寂しくないだろ?
リサは少し驚いたように見えたが、すぐに照れくさそうに答えた。
リサ
寂しくなんかないです。私には師匠がいますから