愛の示し方〈桃×赤〉

莉犬side

俺が君に望んだもの。

それは、愛。

少しの愛で良かった......

愛してるって言って欲しかった......

でも、違かったんだ.......

全てが嘘だったんだ......

あぁ.......

すでに君の心には

俺はいなかったんだね.........

好きな人ができたんなら言ってよ........

そしたら諦めきれたかもしれないのに..........

諦めきれたかもしれないのに.......

この気持ちはなんなの........？

心にあったものが溢れだしそうな.......

この気持ち.......

そうか........

分かったよ.......

俺、

悔しいんだ.......

俺は酷いこと言われたのに......

あの女は.......って....

俺の前で.......

俺に言ってくれなかった言葉を........

軽々しく言わないでよ........っ

次の瞬間、

俺は店全体に響きわたる声で泣いてた。

店員さんや他のお客さん.......

さとみくんすらも.........

俺の泣き声にビックリしてる様子だった。

俺は.......

俺はこんなに好きだったのに................っ

俺には言ってくれなかったくせに...........！

「なんで」じゃねぇよ............

さとみくんなんて..........

さとみくんなんて............！

俺はコンビニから飛び出して

“あるところ„に向かった。

もう.........

どうでもいいんだ..........

“あるところ„ってのは

海

泣きそうになったらここへ来るのが

俺の習慣になっていた。

でも今日はそんなことのために来たんじゃない。

俺、一目惚れでさ、

ずっと......ずっと好きで、

告白したら付き合ってくれて...........

そんな彼に甘えていたんだと思う........

でも現実は厳しくって......

すれ違い.....って言うのかな......

それとも、勢いでオッケーしちゃったのかな......

俺は......さとみくんに捨てられたんだ........

俺は石段の上に上った。

ザパーン....ザパーン......

もう今更恐怖なんてなかった。

飛び込んじゃえば一瞬なんだし。

こんな世界に......俺は必要ない..........っ

目を瞑って覚悟を決めた。

その時.................

ころちゃんったらいつの間に.....

今外暗いぞ......？

なんならあと一時間くらいで陽昇るし.....

なにしてんだよ

もう少しで楽になれると思ったのに.........

聞くもんか。

別に死んでも悲しむ人なんかいないじゃんか。

なんなんだよ........

俺の好きにさせろよ........っ

いても意味ねぇじゃん.............

許してよ..........っ

ころちゃんの言葉は

暖かくて

軟らかくて

どんな意図があるのかは分からないけど

俺をふんわり包み込んでくれた.........

今はもう少し.....

ころちゃんの優しさに甘えて良いのかな........

だけど........

さとみくん.......

一瞬だけでいいのに.......

俺の頭から姿を消してくれないのは......

なぜですか.............？