逃げて
逃げて
逃げて
やっと昇降口の階に降りた。
栞
ねぇ……栞さん
栞
あの言葉はなんだったの?
栞
あの言葉は嘘だったっていうの?
栞
もう……あなたしかいなかった。
やっと私の存在を 否定しないでいてくれる人に 会えたと思ったのに…。
あの言葉は、 …一瞬の幻だったんだね。
涙
涙
涙
???
涙
1年の時クラスの担任だった、
癒夢先生だ。
とても三十路には見えない。
癒夢
癒夢
涙
癒夢
涙
何で、わかるの?
癒夢
涙
あぁ、もうやめよう。
涙
涙
癒夢
傷付いたように、先生の顔が歪む。
涙
涙
涙
癒夢
涙
私は、さっき先生に掴まれた腕を さすりながら、
最後の目的地を思った。
いつの間にか、日が暮れていた。
スマイルさんの言葉も、
ティアの事も、
自分の意思も、
…今、分からなくなった。
栞
栞
栞
栞
栞
きりやん
栞
夕日に優しく融けた金の髪。
すらっと背が高い。
───きりやんさん。
栞
栞
きりやん
栞
はぁ、と彼がため息を一つ。
栞
きりやん
きりやん
栞
きりやん
栞
きりやん
栞
きりやん
ふっ…と、きりやんさんが笑う。
きりやん
栞
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
栞
きりやん
きりやん
栞
"あの、読み終わったよ、私…"
"感想、"
"すごく共感できて…っ"
"ごめん、今日忙しいから。"
栞
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
栞
きりやん
きりやん
栞
栞
きりやん
栞
ゆっくりと顔を上げて、 彼の表情を伺う。
優しく包むような笑顔。
窓から差す夕日のように柔らかい。
きりやん
栞
きりやん
きりやん
きりやん
栞
きりやん
栞
栞
きりやん
栞
きりやん
栞
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
栞
きりやん
栞
きりやん
渡されたのは、栞。
紫色で、天使の羽の絵がついている。
栞
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
栞
栞
きりやん
きりやん
栞
きりやん
きりやん
栞
栞
ティアを救う。
WTが私を救済してくれた神様なら
私だってティアの神様になる。
そこで、 誰にも読まれない悲しい物語を
隠すように背を向ける一冊の本よ。
背表紙を私に向けて、 本棚に佇むティアよ。
私があなたという物語を読む。
私があなたという背表紙に、
手を伸ばすから。
涙
涙
夕日が信じられないほど赤い。
涙
涙
そっか、私は必要とされてないんだ。
まあ、当然か。
だって、 屋上の扉の鍵を閉めたから。
涙
私はフェンスを掴もうとして…
???
涙
ティアは、私に背を向けて立っていた。
声をかけても、 小さく声を零しただけで、
振り返ろうとはしなかった。
涙
涙
涙
栞
栞
栞
涙
違う意味で驚いたようで、
ティアは小さく身じろぎをした。
涙
涙
涙
涙
栞
涙
栞
涙
涙
栞
涙
涙
栞
栞
涙
涙
涙
ティアはえへ、と笑う。
その笑顔が、辛くて、痛くて、
栞
栞
ティアを救うなんて言う前に、
もっと早く気づいてあげるべきだった。
ティアの抱える孤独な物語に。
だから、私はその背に言った。
栞
栞
涙
栞
栞
涙
涙
栞
栞
涙
栞
栞
栞
栞
栞
栞
涙
まだ背を向けているティア。
その背中から、 感情を読み取ることはできなかった。
………だけど。
涙
涙
涙
涙
涙
栞
涙
涙
動揺するティアに、 私はさらに近付いていく。
栞
栞
栞
栞
涙
私の靴音は、 コンクリートの地面にしては 小さな音だ。
しかし、その音は道しるべ。
栞
足を止める。 もう、背に手が届く。
その肩がびくりと震える。
涙
私は、 小さな本の背表紙を見つめる。
孤独で、哀しくて、 でも、かけがえのない背表紙。
例えば、そう…私のように。
栞
栞
名前を呼び、
涙
私は、
その背に──手を伸ばした。
The end
コメント
7件
栞ティア…🐜だな…(()なんかもうほんとに好きです…(?)
栞っていう感じにそんな意味があるなんて...! 2人共幸せになってね(近所のおばちゃん)