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この小説はフィクションです また、医療知識ゼロの素人が書いております。ご注意ください

また、設定など少し別の作品を参考にさせて頂いている点や似ているような点もあるかと思います。苦手な方はご注意ください

それでも大丈夫な方はお進み下さい それでは本編始まります。

トリアージ

フランス語のtrierからの派生語で 「選別する」という意味を持つ

多くの患者が病院へ押し寄せた時や災害時などの大規模な事故などが発生した時、限られた物資でできるだけ多くの人の命を救うために行う

いわば命のふるい分けだ

主に医師などトリアージ経験の豊富なスタッフがトリアージ・オフィサーとなりトリアージに専念する

もちろん、看護師や救急隊員でも知識や経験があれば行っても構わない

トリアージされた患者にはトリアージタッグがつけられる

赤が最も重症であり。最優先で治療しなければならない

次いで黄色の中等症

そして緑が軽症だ

そして残された最後の色

黒のトリアージタッグ

それは死亡。もしくは助からないことを意味する

トリアージとはそんな残酷な、命の選別

そんなトリアージを行う医師も

時に誰かの大切な人を奪い、時に誰かの大切な人を救う...

とても残酷な仕事なのかもしれない

将来の夢なんていつ頃から忘れていたっけ 大人になるにつれ、安定した無難な職を目指すようになり、小さい頃に見ていた夢は全て砕け散る

神宮寺 透羽

...っ眩し...

雀のチュンチュンと煩くわめく声に耳を塞ぎながら少しずつ細い目を開けていく

眩しい。締め切ったピンクのカーテンから漏れ出る陽の光に顔を照らされて何分か経ったあと、やっと意識がはっきりと戻ってきた

ボサボサの髪。寝ぼけ眼の目。鏡の前に立つとそんな醜い自分の姿があった

神宮寺 透羽

ひどい顔だなほんと。

神宮寺 透羽

やっぱり徹夜はするもんじゃない

そんな独り言を口ずさみながら歯磨きをしながら時計に目をやった

時刻は6:21という微妙な数字を表示している。

神宮寺 透羽

もうそんな時間か...病院に着くのが...

1人で細く白い指を折り曲げながら計算していく。

そう。今日が新しい病院への初出勤だった。 つい最近研修医を卒業した神宮寺は救命へと希望を届けて採用されフェローとして今日から救命救急センターで働くことが決まっていた

神宮寺 透羽

さて。仕事するか

そう意気込んで玄関の扉を開けた。 つい最近まで冷たかった風が今日はほんのり暖かい気がした

スーツをビシりと着こなしたサラリーマンが隣を何回も何回も通り過ぎていく。

今日は昨日よりも日差しが強く暖かかった。コートを来てきたせいで少し汗ばんでしまう。

神宮寺 透羽

...春かぁ

1人桜の並木を見ながら思い出に浸る。

こんな春には私が医師を目指したあの時のことを思い出すのだ

神宮寺 透羽

ダメだな。いつまでも思い出に囚われていたら

バシッ...強く頬を叩いて気合を入れ直すとピンクの絨毯を1歩1歩着実に踏み込んだ

待ってろ。約束は必ず守ってやるから

そう何度も心の中で繰り返しながら。

医局

いつの間にか大きな病院の目の前にもう到着していて案外近いもんだなとびっくりした

そして更衣を済ませて、救命救急センターの医局...つまりは医師たちが事務作業をしたり仕事をする場所にたどり着いた

百瀬 夏輝

...うぅ緊張する

神宮寺 透羽

...

隣に短い黒髪の男性が並んで、そう呟いていた

神宮寺 透羽

あのぉー

百瀬 夏輝

はい!?

恐る恐る声をかけると慌てたように目を大きく開けて返事を返してくれた

神宮寺 透羽

同じフェローの人?

百瀬 夏輝

え!?あなたもフェロー?俺 ももせ って言います!

神宮寺 透羽

あ。じんぐうじ です。よろしく

百瀬 夏輝

よかったー!俺さ!君のことここの医局の偉い人だと思って声掛けようとしてた!

にっこりと悪気のない可愛らしい笑顔でこちらを見る彼に神宮寺は少し苦笑いを浮かべた

神宮寺 透羽

(こちとらまだ、26だ)

神宮寺は不機嫌な顔をして医局を見渡した。まだほかの人たちは来てないらしい

神宮寺 透羽

予定の集合時間より10分以上も早く着いていたのか

百瀬 夏輝

そうみたいっすね。緊張しすぎて分からなかった

神宮寺 透羽

(そんなに緊張する?)

神宮寺 透羽

そうなんだ。あ、あの子...多分フェローじゃない??

神宮寺は医師がたくさん歩いている廊下の中から1人、キョロキョロと不安げに何かを探す女の人を指さした

百瀬 夏輝

黒髪の...あの子ですか?

神宮寺 透羽

そう、あの子

眞白 優希

あ!えっとフェローの??

神宮寺 透羽

フェローの神宮寺です

百瀬 夏輝

俺、百瀬!

名を名乗るとその女の人は嬉しそうに笑みを零しながら2人の方にぺこりとお辞儀をした

眞白 優希

ましろ ゆきです!

ドサッ!

フルネームでそう話したあと、彼女はまた勢いよくお辞儀をした...その拍子にポケットに入っていた今にも落ちそうなノートが勢いよく飛んでいってしまった

しかもそれが1冊どころの話ではなかった、二、三冊まるで羽が生えたかのように床に落ちる

神宮寺 透羽

あっ、ちょっ

眞白 優希

うわぁあ...ごめんなさい!

百瀬 夏輝

すご!びっしりメモが書かれてる!

神宮寺 透羽

ほんとだ...

漣 ハル

呪い...みたいですね

百瀬 夏輝

えっ?

いつの間にか知らない顔が1人増えていた。

茶髪でクルクルとしたゆるふわな髪をしたおっとりタレ目の男性

漣 ハル

あ、さざなみ ハルです!

漣 ハル

あれ?もう1人連れてきたんだけどなぁ
あ!あの子も同じくフェローのかがみや れい 君!

加賀宮 玲

よろしくお願いします

神宮寺 透羽

よろしく〜

フェロー全員が揃ったところで老けたおじさん...白髪混じりのきつい目元をしたおじさんが医局へと入ってきた

灰田 修二

フェロー全員。揃ってるようだな

神宮寺 透羽

揃ってます

神宮寺ははっきりと返事をする

百瀬 夏輝

あれがチーフかな??

漣 ハル

貫禄あるし多分そう

その時だった

テレレ〜♪♪テレレ〜♪♪

百瀬 夏輝

な!なんの音?

神宮寺 透羽

急患じゃない?

ドクターヘリエンジンスタート

松島 薫

灰田先生〜。フェロー連れていきます?

灰田 修二

いや、邪魔になるだけだ。松島来い

松島 薫

了解。如月先生〜指揮頼むよ

如月 司

分かりました!

如月 司

とりあえずフェローの5人は自分と一緒に来てください!

初療室

漣 ハル

わぁあ...本物だ

百瀬 夏輝

すげ!!!広い

神宮寺 透羽

遠足気分か

神宮寺が少し失笑しながらツッコミを入れる

眞白 優希

えっと...転倒の時は...交通事故の時は...

どうやら眞白は震える手でメモ帳を読み返し予習しているらしい

加賀宮 玲

...

加賀宮は至って冷静だった。

如月 司

...もしもしこちら成南救命救急センター
患者情報お願いします

マイクに向かって如月先生が声をかけるとアナウンスから消防士の声が聞こえた

消防士

こちら海浜南消防。患者の情報は80代男性。
マンション4階にて謝ってベランダから転落。下の植木に着地。
現在意識レベルJCSⅡ-2。
血圧92の53。呼吸数29回 脈拍127回
後頭部から出血あり。

如月 司

後頭部か〜。脳外の古川呼ぶかな...

松島 薫

もしもしこちらヘリ内。あと1分で現場到着します

如月 司

分かりました。現場到着次第無線で状況連絡願います。

松島 薫

了解

松島さんからの連絡を聞きながら神宮寺は患者がどんな状態か予想しながら必要な準備を進めていく

如月 司

エコー出しててくれますか?あとCTオーダーして...

松島 薫

もしもし聞こえます?こちら松島

如月 司

はい。成南救命救急センターです

松島 薫

意識レベル低下。3桁になりました

如月 司

まずいな...

松島 薫

瞳孔散大、瞳孔不同あり血圧も下がって82の51

加賀宮 玲

急性硬膜下血腫ですか?

如月 司

その可能性が高いだろうね

眞白 優希

急性硬膜下血腫...えっと...治療法は

神宮寺 透羽

そんなメモ多分役立たないよ

眞白 優希

え?

輸血のオーダーを看護師に指示し終わった神宮寺が眞白に声をかけた

神宮寺 透羽

如月先生輸血オーダー指示通りしました。到着時には入ると思います

如月 司

わかった!ありがとう

眞白 優希

...

百瀬 夏輝

俺どうすればいいんだろ...

漣 ハル

バタバタしてきた...うぅ...

その場に立ち尽くすフェロー三人と先輩医師と共に動く二人のフェロー

知識や技術の差がひと目でわかった

一条 まどか

80代男性、呼吸数38回 脈拍145回、血圧72の40
意識レベル3桁。

看護師が患者さんの情報を言いながら初療室に入ってくる

神宮寺 透羽

輸血届きました。ルート確保します

灰田 修二

頼む

松島 薫

CTオーダーしてくれた?

如月 司

取ってあります。何時でも

灰田 修二

骨盤骨折もある

加賀宮 玲

腹部エコー確認します

神宮寺 透羽

気管挿管しときますか?

灰田 修二

そうだな。

加賀宮 玲

腹腔内出血はありません

神宮寺 透羽

挿管セットお願いします!

一条 まどか

挿管セットです

まるで小さなツルハシのような器具を口の中に入れ気管にチューブを通す。

神宮寺 透羽

挿管完了です。血圧上がりませんね。

神宮寺 透羽

輸液全開にします

松島 薫

お願い!

灰田 修二

一度CT室へ運ぶ。

病院の廊下

患者のCTを撮り終わるとすぐに 開頭オペが行われた

何故か加賀宮だけがオペに参加することが許され、ほかのフェローは各々指示された業務を行っていた

眞白 優希

...神宮寺先生

神宮寺 透羽

眞白先生どうしたの?

眞白 優希

メモ帳を見ても役に立たないって

神宮寺 透羽

そのままの意味。分からない?

眞白 優希

うん。分からない

神宮寺 透羽

あなた、メモを見て何か実行した?

眞白 優希

...

神宮寺 透羽

そういうこと。

神宮寺 透羽

実行に移せなきゃ、そんな分厚い紙切れもただのゴミになる

神宮寺 透羽

それにこの世には何万人...何億人と人間がいるんだ、全ての症例がそのノートに書いてあることと一緒とは思えない

眞白 優希

そうだけど、でも基本的なことは...

神宮寺 透羽

基本的なことは一緒って言いたいの?

神宮寺 透羽

じゃあ例外が出た時は?

眞白 優希

その時は、臨機応変に...

どんどん眞白の語尾が弱く声が小さくなっていく

神宮寺 透羽

残念だけど、さっきのあなたを見て新人の私でもあなたは臨機応変に対応できない人間だって見破れたよ

眞白 優希

...

神宮寺はその場に居た堪れない気持ちになって後にしようとした

が、眞白先生が何故か彼女の手を引き止めた

眞白 優希

待ってください

神宮寺 透羽

え?

眞白 優希

...私。立派なフライトドクターになれるかな...?

敬語でないその崩れた言葉は彼女の胸の内を全て明かしているような気がした

神宮寺 透羽

なーんとも言えない

神宮寺はあえて「なれるよ」とは言わなかった

神宮寺 透羽

あなた次第だと思うな。

神宮寺 透羽

でもひとつ思うことは...責任感の強い立派な医師だと思うよあなたは

眞白 優希

...あ、ありがとう!神宮寺先生

神宮寺 透羽

どういたしまして。さて!業務を続けよう。なんてったって救急にいる患者全員の情報を覚えなきゃ!

ここの救命は担当医制度がないから全スタッフが患者全員の情報を把握している必要がある

神宮寺 透羽

あ、加賀宮先生〜、オペ終わったの?患者の情報覚えた??

眞白 優希

私無理💦

神宮寺 透羽

私もまだ覚え切れてなくて...

加賀宮 玲

...覚えれた。このぐらい簡単だろ。

そう言って颯爽とその場を去っていく

漣 ハル

かっこいいね〜加賀宮くんは〜

百瀬 夏輝

いや!感じ悪いっしょ!?

神宮寺 透羽

初めてで緊張してるんじゃない?

眞白 優希

えぇ??意外と人見知りとか?

各々の仮説を立てながら患者のカルテを見てそれぞれ顔と名前を一致させていく

漣と百瀬は自信が無いのか「もう1回!」ともう一周病室を回り始めた

眞白 優希

わ、私ももう一周してくる!

それを見た眞白も不安になったのかそう言ってパンパンのメモ帳をポケットから出ないように押えながら走っていった

松島 薫

おー、いたいた神宮寺先生

神宮寺 透羽

?確か...松島先生?

松島 薫

おん!そうそう。

松島 薫

あっれ〜。てっきりオペに入れなくて落ち込んでいるかと思ったけど...ケロリとしてるね

神宮寺 透羽

オペなんて嫌でも今後入れられますからね

松島 薫

ふーん。でもフェローで最初のオペ入りだよ?

松島 薫

『選ばれた』優等生しか入れないよ?

神宮寺 透羽

はっきりと言えば興味無いです。そんなの

神宮寺 透羽

フェローの中で最初だろうが、最後だろうが。

神宮寺 透羽

1番重要なのは1回のオペでどれだけ先輩医師の関心を惹けるかですよ

松島 薫

ふーむ。君はなかなか珍しい考えのタイプだね

神宮寺 透羽

そうですか?どこにでもいますよこんな変人は

そう言いながらカルテをトントンと整えて、ナースステーションへと戻す

松島 薫

あれ?もういいの?

神宮寺 透羽

あ、元々みんなに合わせて見てただけで患者の情報なんてとっくに覚えてましたよ

悪戯に笑みを浮かべてそういうと他のみんなには内緒にしてくださいと 口元に人差し指を当てた

松島 薫

...

神宮寺 透羽

それでは失礼します

神宮寺は医局へと戻っていく

如月 司

なに立ち止まってるんですか?松島先生

松島 薫

あの子。あの子はきっと凄いフライトドクターになるわね

如月 司

あの子??あぁ...えっと...神宮寺先生の事か!

松島 薫

もしかしたら灰田先生を超えるかもしれないわ

如月 司

あの子が...ですか?

松島 薫

なに?私の勘に狂いはないわ

如月 司

いや、確かに医療知識や技術は自分もすごいと思いましたよ?

如月 司

けどなんか突っかかるんですよね〜

如月 司

向上心がないと言うか。こう、フェロー達が良くする手柄の奪い合いに参加する気がないというか

如月 司

どちらかと言うと指導医みたいですね

松島 薫

だからこそ、あの子はきっと大物になるわよ〜

松島 薫

これからが楽しみね〜

ナースステーションで立っている2人の後ろから低く野太い声が響き渡る

灰田 修二

じゃあ松島は神宮寺の指導医頼むぞ

松島 薫

え!?灰田先生...

如月 司

頑張ってください〜松島先生

松島 薫

う、嘘!!!あの子絶対育てにくい子ですよ!?

灰田 修二

期待してるんだろ?なら指導してやれ

松島 薫

うぇぇえええ!?!?

続く

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分からない医療用語等あれば簡単にですが説明させていただきます!

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