塵(じん)
塵(じん)
塵(じん)
塵(じん)
この日は確か冬のなかでもまだ暖かい
11月だったと思う
塵(じん)
アサヒ
塵(じん)
塵(じん)
親の意向でアサヒという女が
俺の婚約者だということになった
塵(じん)
アサヒ
アサヒ
塵(じん)
初めて夜を共に過ごし、
その次の日
ベッドにアサヒの姿はなかった
塵(じん)
アサヒ
塵(じん)
塵(じん)
不意に聞こえた叫び声にふと思う
まさか…
塵(じん)
俺には心当たりがひとつあった
学生時代に付き合っていた、
麗という名の女を
塵(じん)
一階に急いで降りると、
見覚えのある顔があった
アサヒではない
塵(じん)
麗は、ついこの間
アサヒと遊園地へ向かう時に再開した
麗は昔からとても嫉妬深く、
話によると俺と別れてからは
彼氏ができていないとのことだった
麗(うらら)
麗(うらら)
麗(うらら)
置き去りにした覚えはない
別れ話を持ちかけたのはそっちの方だ
塵(じん)
塵(じん)
麗(うらら)
麗(うらら)
塵(じん)
麗(うらら)
麗(うらら)
何を自己チューな
本当にそんな覚えなんて無いのである
アサヒ
口を塞がれたアサヒは
かなり辛そうな顔をしていた
塵(じん)
塵(じん)
塵(じん)
麗(うらら)
麗(うらら)
麗(うらら)
怒り任せのように
麗はナイフを取り出した
麗(うらら)
塵(じん)
俺が近づこうとすると
ナイフは宙を切り裂いた
塵(じん)
塵(じん)
麗(うらら)
麗(うらら)
麗(うらら)
麗(うらら)
麗(うらら)
麗(うらら)
バスッ…………。
塵(じん)
塵(じん)
鈍い音がして
それから気づけば
部屋は血塗れだった
塵(じん)
大声すらも出なかった
今、この部屋を満たしている赤は
全てがアサヒのものなのだ
アサヒ
アサヒの死に顔は
顔色は悪いものの
今にも目覚めそうなほど穏やかだった
コメント
5件
すっごい文才力! 羨ましい……
第2話も出ましたのでよろしくです(*^^*ゞ
よろしくお願いします(o・ω・o)