コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
[ ]
[ ]
彼はそう言いながら
嬉しそうに駆け寄ってくる
[ ]
子供みたいだ
体はとっくに大人なのに
その証拠と言えばいいだろうか
俺の手を半ば強引に引く彼の手は
俺の手よりもずっと大きかった
[ ]
自慢げに話す彼を見て
不覚にも可愛いと思ってしまった
誰がわかるだろうか
まさかこの男が
俺より9つも年上だということを
精神年齢だけ見れば
俺のほうが上なんじゃね?w
そんなことを呑気に考えている間にも
彼の話はどんどん進んでゆく
[ ]
[ ]
[ ]
はいはい
聞いてるから、一応
彼は俺の身長に合わせて少し屈んだ
俺が返事をすると
彼はまたにぱっと笑い
[ ]
ある場所を指差した
その先には黒い穴がぽっかりと空いている
目を凝らしてよく見てみると
その黒い穴の中から
階段らしきものが顔をのぞかせていた
近付こうと左足を踏み出したしたそのとき
視界が暗転して__
いるま
何かが鼻に触れている
少しこそばゆい
その何かから回避するために
横向きから仰向けへと体勢を変えた
すると今度は
待ってましたとばかりに
陽の光が顔に降り注ぐ
天窓からだ
非常に眩しい
……なんで?
俺は腕で顔を覆い隠しながら
そんなことを思った
いつもなら まだ日が当たらないはず…
この部屋は太陽が昇る方角とは反対方向に 位置しているため
日差しが入ってくるのは明らかにおかしい
太陽が逆回りにならない限りありえない
ただし
それは現在の時間帯が朝である場合の話
少し考えればわかる話だ
昨日なかなか寝つけなかったが故に
起床時間がいつもより遅れた
その結果
太陽が高く昇った
それだけの話だ
しかし寝起きの今
そこまで考える余裕は当然ない
俺はただ
頭に小さなハテナを浮かべるだけだった
まあ良いだろう
おかげで目も覚めたことだし
それよりも
久々、だったな
俺は昨晩、いや
今朝と言うべきか……
久方ぶりに昔の夢を見た
辛い記憶の端々にあった
楽しい思い出たち
彼と過ごした
大切な日々
今の俺の原動力
だがいつまでもそれに 浸っているわけにはいかない
まずは今日の目標を達成せねば
今日は返事させるぞ
そう意気込んだ俺は
両足を振り上げて勢いをつけ、
ベッドから起き上が………れなかった
左腕がやけに重い
まるでずっしりと重りが乗っているようだ
感覚麻痺の症状が比較的軽い左半身は
わずかながら温かみを感じ取っている
俺は力ずくでなんとか腕を動かそうと力を込めた
すると…、
[ ]
直ぐ側から声が聞こえた
まさか…
視線を天井から左腕へと移す
目に飛び込んできたのは
黄色がかった茶の毛玉だった
羽毛のようにふわふわで
それでいてサラサラしている
本来なら不思議に思うであろうこの物体も
俺には見覚えがあった
あの少年の髪だ
この毛玉は
昨日俺が時間をかけてとかしたそれだった
状況は理解できる…が、
何故こいつがここに……?
俺は彼の前髪をそっとかき分ける
長い睫毛(まつげ)が顔を出した
一見美人風に見える彼の顔だが
まだ年齢的に幼いこともあり
可愛さも混じっているように思う
俺はしばらく彼を凝視していた
そんな俺の気配を感じ取ったのか
彼の瞼(まぶた)がピクリと動き
やがてゆっくりと開かれた
どこか虚ろな目
寝起きは誰しもそんなものか
彼の瞳に俺が映る
その瞳が俺を捕らえた瞬間
暇72
彼は目を見開き
同時に体をのけぞらせた
運の悪いことに
ベッドの端ギリギリを保っていた 彼の重心が傾き
外に倒れ込む
それだけならまだ良かった
こいつが勝手に落ちただけで済む
そもそも無断でベッドに 入ってきたのはそっちだし
しかし彼は
あろうことか
俺の衣服の袖をがっしり掴んでいた
もう分かるだろう
そう
彼に勢いよく引っ張られ
俺は彼もろとも床に放り出された
それほど広くはない部屋だ
壁にぶち当たった俺は仰向(あおむ)けになり
膝を抱えるようなかたちで静止した
尻が上に向いている
なんとまあ無様な格好だろうか……
なんて朝だ…(すでに昼過ぎ)((溜息
俺はひとり悪態をつく
どうにか立ち上がろうにも
狭い空間に俺となつがうま〜くはまっており
身動きが取れない
いるま
いるま
暇72
いるま
現状を把握した俺は
いるま
彼と協力して抜け出すことを 今日の最優先目標としたのであった
俺たちは半時ほどかけて
ようやくあの場所から抜け出すことに成功した
今は遅めの朝食(ほぼ昼食)をとっている
さっさと食べ終わったらしい彼は
そわそわしている様子だ
怒られ待ちでもしているのだろうか
残念だが…
俺は自分から話を切り出すつもりはないぞ
俺は何も言わずに
食事を続ける
なつはと言えば……
空(から)のカップを口に近づけて
飲み物を飲むふりをしてみたり
食器をきれいに並べてみたり
スプーンをひっくり返して置いてみたり__
とにかく落ち着きがない
彼にしてみれば
俺がいつ口を開くのか分からないから
気が気じゃないのだろう
こちらとしては
その挙動一つ一つが面白いだけなんだけどw
いるま
もうしばらく弄んでもよかったが
流石になつがかわいそうになってきたので
俺は仕方なく呼びかけてやった
暇72
待ってましたとばかりに元気よく返事をする少年
もう目が輝いていた
明らかに
説教前の 子供がして良い表情ではない
いるま
いるま
笑い声を必死にこらえ
あくまで平静を装う
暇72
彼は言い淀みもせず
真っすぐに言葉に放った
なかなか潔いなw
いるま
暇72
暇72
あ、そっち?
さっきまで持っていた感情が
一瞬にして疑問に塗り替わった
ベッドからの転落に俺を巻き込んだことを
詫びているわけではないのか
だとしても
ベッドに入ってきたくらいで怒らねーよ?俺
謝る必要なんて……
暇72
いるま
あー