それから何日か経った頃、ウミは塔のベッドで目を覚ました。
ウミが目を覚ますと、ロー、キッド、サボが傍に居た。
「「「!!!」」」
サボ
わかるか!?
ウミ
サボ
良かった…!
サボが力強くウミを抱きしめる。
「「てめぇ…ソイツから離れろ! 引っ付きすぎだ!」」
ローとキッドがサボに怒鳴る。
ウミ
ルフィのとこ行かなきゃ…
サボ
ウミ
ルフィに会いたいんだ。
サボ
ルフィは船に居る。
4人はサニー号へ向かう。
サニー号が目に入る。
サニー号の甲板にクルー達が立っていた。
ウミはルフィの姿を見つけて声を出す。
ウミ
ウミが何かを言いかけた途端、ルフィが口を開く。
ルフィ
お前の本当の思いを俺達に言え!!
ウミ
ウミは先程までルフィには着いていかないと心に決めた。
だが、仲間を目の前にして"着いていかない"なんて気持ちはいつの間にか消えていた。
皆と一緒に冒険がしたい!
そう思った。
ウミ
お兄ちゃんの海賊王への道、手伝うからッ……
お兄ちゃん達と海で冒険がしたいッ……!
ウミは号泣し崩れ落ちルフィに言う。
ルフィ
そうか、じゃあウミ!
俺達の船に帰ろう!
ルフィの声と共に一味の皆が微笑んでいる。
ウミ
みんな…ありがとぅ……
ウミは声を震わせながら言う。
モブ
覚えてる?
モブ男がウミに声をかける。
『うわ…』
ナミ
空気読みなさいよ!
モブ
サボ
モブ
そういやもう1人のボウズは?
「「「!!!……」」」
ルフィ、ウミ、サボが目を見開き無言になる。
モブ
ま!今日、居たように感じたけどな!
妹を助けに来てたみたいな感じがあったぜ?
ウミ
…私、夢でエースに会ったよ。
昔と変わらない笑顔で、声で私の知ってるエースそのものだった…
ウミが涙を流す。
ルフィ
お前マリンフォードん時、背中を海軍の奴らにやられたんだってな。
ウミがピクっと肩を跳ねさせる。
ウミ
ルフィ
ウミ
ホンゴウ…?
ルフィ
ウミは少しの間黙り込み、あの日の事を話そうと覚悟を決めた。
ウミ
怖かったんだ…エースに怒られるのも、ボロボロになったエースを見るのも…
ルフィがインペルダウンで暴れてたのは知ってた。
でも、それでも私は行かなかった、逃げた!
ウミ
だからマリンフォードへは行った。
ケムリんとはその時初めて会った……
クッ…!…ルフィはボロボロになってまでエースを助けてたのに、私は…私はなんの役にも立てなくて!
ウミ
目の前でエースが殺されて…それでも私は泣くことしか出来なくて…!
私は…私は……!
ウミは泣きながら自身を責めた。
サボ
俺はエースの事もお前達の事も忘れて呑気に生きてきたってのに……
エースを助けようとしたお前がそれを言ったら俺はどうすりゃいいか分からなくなる。
サボは悲しそうな顔で言う。
ルフィとウミは黙ったが、すぐにルフィが口を開く。
ルフィ
お前、人の事言えねぇだろうが!馬鹿野郎!
お前、一緒に戦ったじゃねぇか!何言ってんだよ…!
ウミ
ルフィ
お前、何やってんだ!
ウミ
ウミはあの日の事を思い出した。
そしてルフィの言葉に目を見開き涙を流す。
ミャ〜)
ウミの足元で猫の鳴き声がし、ウミが足元を見る。
そこには、
ウミ
イシュ
海賊万博の際出会った、イシュだ。
イシュは名を呼ばれ返事をするように鳴く。
ウミ
キッド
ウミ
ウミは嬉しくなり、涙を落としながらイシュを抱きしめる。
キッド
自信持てよ!お前はチビザルだけじゃなくてアホザルか。
後ろからキッドが慰めるのか貶すのか分からないような事を言う。
ウミ
でも、でも…ありがとう。
イシュを強く抱きしめながら涙を流し、キッドへ言う。
イシュがウミの目元をペロリと舐める。
ウミ
イシュ…私、私ね、ずっと自由になりかった。
あんな奴らに弱みを握られてるのは嫌だったんだ…
ウミはイシュに向かって話す。
ウミ
イシュ
イシュが笑顔で返事をするかのように鳴く。
ルフィ
今更何言ってんだ!
お前に断る権利ねぇぞ!
もう仲間だろうが!
ウミ
お兄ちゃんッ…
ルフィを"お兄ちゃん"と呼びながら座り込んだまま泣く。
モブ
ウミがモブ男を見る。
モブ
ウミ
私まで助けて貰っちまってさ。
モブ
ウミちゃん大人になった?
ウミ
モブ
ガーン
モブ
君達を死なせる訳にはいかんのさ。
ローがモブ男をジーっと見つめる。
モブ
ロー
モブ
…ん?その嫌な事しか言わないのは、ロー君かい!?
ロー
ローが軽蔑したような目でモブ男を見る。
モブ
???
ウミの後ろから2人組が歩いてくる。
そしてウミの名を呼ぶ。
ウミ
ウミが振り返るとそこにはイワンコフとドラゴンだ。
イワンコフ
ウミ
ルフィ
ルフィが『父ちゃん』と呼ぼうとした時ジンベエがルフィの口を抑える。
ドラゴン
ドラゴンは無言でウミを見つめる。
ウミ
おっさん誰だ?
『あああーーー!』
皆が大声を出す。
ドラゴン
ウミ
どっかで聞いたなぁ、どこだっけ?
ドラゴンは少しショックを受けたように一瞬だけ顔を歪ます。
サボ
ウミ
……あ!じいちゃんもルフィも言ってた!
ドラゴン
ウミ
ウミが苦笑いをする。
ドラゴン
イワンコフ
イワンコフは面白がるような笑みを向ける。
ドラゴン
イワンコフ
ヴァナータが親バカなのは事実ダッチャブル!
イワンコフが怒鳴る。
ウミ
ウミが確認するように尋ねる。
ドラゴン
ウミ
母ちゃんの話は昔からじいちゃんに聞いてたけど父ちゃんの話は聞いた事なかったから、父ちゃんなんて居ないって思ってたんだ。
でも、じいちゃんとかルフィとか海軍の奴らから父ちゃんの事聞いて、会いたいって思ってたんだ。
…そんで今日、やっと会えた…!
ウミは涙を流しながら嬉しそうに話す。
ルフィも同じ気持ちだと言うようにドラゴンを見る。
ウミ
ありがとう!
ドラゴン
ドラゴンは愛おしそうにウミを見つめる。
まるで若き日の妻を見ているようだ。
妻の面影がウミにはしっかりと受け継がれていた。
ルフィが船からおり、ウミの肩をポンと叩く。
ルフィ
ルフィがニカッと笑う。
ウミ
ドラゴンが2人に距離を詰める。
「「???」」
ドラゴンがギュッと2人を抱きしめる。
「「。。。」」
2人は突然の出来事にポカンとしている。
ドラゴン
2人を抱きしめたまま、頭をポンポンと撫でる。
それから麦わらの一味に戻ったウミはサニー号と仲間達と海へ出た。