迅悠一
ほら、あーん。
連
……いらない……自分で食べるし
迅悠一
えー、せっかくおれが作ったのに?
連
子どもじゃないんだから!
その日も、また……
玉狛支部の一角にて……
迅は私の前に座って、私の好物ばっかり詰め込んだ弁当を差し出してきた…… しかもスプーン付き。
迅悠一
ちゃんと食べないと、大きくなれないぞ〜?
連
……もう育たないし!
にこにこ笑ってるくせに、言ってることは完全に“お兄ちゃん”。 いや……むしろ“保護者”かもしれない。
……これで彼氏って、詐欺じゃない?
もともと、私は見た目も童顔。 しかも性格までちょっと幼いって言われがちで……迅にとっては完全に“守ってあげたいタイプ”らしい。
それが……付き合い始めてからというもの、どんどんひどくなっていってる…
迅悠一
連ってば、歩きスマホ禁止〜
連
子供扱いしないで!
迅悠一
してないってー!おれ、連の安全第一だからさ〜
連
“だから”って何!?子どもじゃないし、彼女だし!
どう言っても、いつも笑って流される。
……ほんとは、ちゃんと“彼女”として見てほしいのに。
ちょっとドキドキするようなこと、したいのに。
でも
そんな気持ちを、言葉にするのは───少し怖かった。
だから、私はそれを不機嫌という形で、表に出すことにしてしまった……







