テラーノベル
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世界人口の二パーセント未満。 それだけしか存在しない「能力者」は、世界の均衡を保つ希望であり、同時に災厄でもあった。 能力は祝福か。 それとも呪いか。 誰にも答えは分からない。 能力を得て英雄となる者。 能力を恐れ隠れて生きる者。 能力を利用され、人生を奪われる者。 そして──能力に飲まれ、自分自身すら失う者。 それが、この世界だった。 能力を酷使すれば身体は悲鳴を上げる。 限界を超えれば《オーバーヒート》。 さらにその先。 能力そのものの意思に肉体を支配される《暴走》。 火は世界を焼き尽くそうとし、 森は文明を飲み込み、 雷は天を裂く。 その姿はもはや人間ではない。 だから国は能力者を管理した。 能力登録。 能力学校。 特務機関。 すべては世界を守るため。
……表向きは。 裏では能力犯罪組織。 黒マフィア。 人体実験。 能力売買。 EH討伐。 誰も知らない戦争が、今日もどこかで続いていた。 そして。 その戦争の最前線には、いつも同じ名前があった。
SnowMan。
白マフィア。 特務機関直属協力組織。 九人しかいない。 たった九人。 それなのに国家一つ分の戦力。 世界最強。 最後の切り札。 黒マフィアが最も恐れる名。 能力学校では教材。 能力者の憧れ。 特務機関最大の戦略兵器。 だが── 一般人が知る彼らは。 「なんでも屋SnowMan」 という少し有名なお店の人たちだった。 「水漏れ直します!」 「猫探します!」 「家具組み立てます!」 「迷子も探します!」 そんなチラシが街中に貼られている。 誰も思わない。 その笑顔の九人が、 昨日まで国家級能力犯罪者を制圧していたなどと。
朝。 SnowMan本部。 巨大な屋敷。 九人にとって唯一の帰る場所。 ダイニングでは朝食の準備が進んでいた。 宮舘が優雅に味噌汁をよそい、 岩本が無言でご飯を盛る。 深澤はコーヒーを淹れながら全員の体調を観察し、 阿部は新聞とタブレットを同時に読み、 向井は朝から写真を撮っている。
向井康二
阿部亮平
阿部が苦笑する。 その瞬間。 二階から声が響いた。
佐久間大介
ドタドタドタドタ!!
佐久間大介
渡辺翔太
渡辺翔太
佐久間大介
渡辺翔太
佐久間大介
渡辺翔太
沈黙
渡辺翔太
佐久間大介
佐久間が親指を立てた。 数秒後。 寝癖全開の渡辺が眠そうな顔で降りてくる。
渡辺翔太
宮舘涼太
渡辺翔太
深澤辰哉
渡辺翔太
目黒が吹き出す。 向井はすかさずカメラを構えた。
向井康二
渡辺翔太
パシャッ。
向井康二
渡辺翔太
今日も平和だった。 ……少なくとも、この瞬間までは。
ピリリリッ
阿部の表情が止まる。 静かにタブレットへ視線を落とした。
阿部亮平
部屋の空気が変わる。 笑っていた佐久間が真顔になる。 宮舘は味噌汁を置き、 岩本は立ち上がった。 深澤が一言だけ尋ねる。
岩本照
阿部は数秒だけ画面を見つめ、 静かに答えた。
阿部亮平
誰も驚かない。 向井がイヤホンを耳へ付ける。
向井康二
ラウールはすでに端末を開き、 装備生成を開始していた。 目黒は腰の警棒を確認する。 渡辺は水筒を一本手に取った。 宮舘は静かに手袋をはめる。 岩本が全員を見渡した。
岩本照
たった三文字。 それだけで九人が動き出す。 誰も指示を待たない。 誰も確認しない。 何秒後に誰が何をするか。 それを全員が知っている。
玄関前。 九人が自然と横一列へ並ぶ。 岩本が静かに言った。
岩本照
全員が迷いなく応える。
全員
全員
その言葉と同時に。 世界最強の白マフィア、《SnowMan》が動き出した。
その時はまだ知らなかった これは世界を救う戦いであり。 家族が家族を守る物語の始まりだった。
楪羽*yuzuriha*
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コメント
1件
世界観の作り込みがすごく好みです。《オーバーヒート》や《暴走》みたいな能力の代償設定があるから、朝のプリン争奪戦の日常が余計に愛おしく見えますね。「なんでも屋SnowMan」の表向きの顔も最高でした。そして『九人で生きて。九人で帰る。』で一気にグッと来ました。これは家族の物語の予感がします。続き楽しみにしてます!