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藍を抱く青い鳥は自由な空へ羽ばたく。

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藍を抱く青い鳥は自由な空へ羽ばたく。

9 - 9.声にしなければ、ほんの二文字さえ届かない。

♥

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2024年09月25日

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蒼氷

目が覚めると、そこは殺風景な白い部屋だった。

…透真くん…?

横を見ると、涙目になった白菊さんがいた。

透真くん、おはよう

体調はどう?

蒼氷

…うん

どうして生きてるんだ?

父さんたちは?

…蒼氷

蒼氷

父さん…

悪かったな、やっぱり無理だったんだ

本当、最後まで駄目な父さんでごめんな

蒼氷

い、いや…

母さんも生きてる

またやり直そうと思ってるんだ

無理して戻って来なくていいからな

傷は痛まないか?

蒼氷

うん、大丈夫

そうか

じゃあな

…透真くん、大丈夫?

蒼氷

うん

そっか…

良かった

でね〜、───!

蒼氷

───?

───!!

あれから数ヶ月。

出会った頃から変わって、白菊さんといると心臓がドクドクと騒がしくなっていた。

もうすぐ春になる。

もうすぐ桜咲くかな〜?

蒼氷

桜好きなの?

うん

桜ってね、2週間しか咲かなくて

すぐに散ってしまう

その散る姿も綺麗で

だから好きかな

蒼氷

…ふ〜ん

訊いて来たくせに反応薄くない!?

蒼氷

え、わ〜そうなんだ〜

あ〜もう知らない!

透真くん、話ってどうしたの?

3月。

透真くんに話があると言って桜の木の下に呼んだ。

もう桜は散り始めていた。

蒼氷

…白菊さん

いつも通りの無表情な透真くんが現れる。

蒼氷

どうしたの、話って

蒼氷

白菊さん?

───想いを伝えたら、関係は変わってしまうのかな…

変わるのは怖い。

けれど、透真くんなら何か嫌なことになることはないはず。

自分の気持ちは、声にして伝えなければ

ほんの二文字さえ届かない。

私は学んだはず。

大丈夫。

…透真くん

…透真くん

好きです!

蒼氷

…え?

思わず耳を疑う。

好き?

私、想いは自分で伝えたいんだ

蒼氷

…そっか

蒼氷

こんなに冷たいけどいいの?

それはもう知ってる!

透真くんが氷みたいに冷たいの!

蒼氷

氷…

…どうかな…

返事は決まっている。

蒼氷

…よろしく

本当?

蒼氷

うん

こういうときまで無表情なの!?

蒼氷

ん?前言撤回しようかな〜

うわ、ひどい!

最低!

モテないぞ〜!

蒼氷

でも君は好きになったんだよね

うるさい!

藍を抱く青い鳥は自由な空へ羽ばたく。

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