それから、しばらく____ いや、2時間程経ったのか分からない時間。2人の鼻を啜る音が場を満たしていた。
涙を止めようとしても止まらなくて、呼吸も出来なくて ただただ苦しかった。
何も考えたく無くて、頭が真っ白になって周りが真っ暗で、この時間が無駄なんてすら考えられなかった。
そのことに気がついたのはそれから数分後のことだった。微かに太陽は綺麗な火秋色やオレンジに染っていた。
そして口を開いたのは僕だった。
蒼田 直輝
蒼田 直輝
そう言って脚の長い椅子を後ろに飛ばした。
灰川 洋
灰川 洋
灰川 洋
突然口を開けたヒロくんの言葉は僕の不意を打った。
でも、ヒロくんはずっと泣いてて。喋るのもやっとなのだろう。
蒼田 直輝
蒼田 直輝
蒼田 直輝
そんなヒロくんを苦しめるのも嫌で口角を上げて 微笑み返す。
そして、正面に座っていたヒロくんの背後を通りその場を後にした。
僕を苦しませたこの鎖が、重くてもう何も持ちたくなかった。
あーあ、またゆあんくんとの約束__守れなかったな。
そう思って、気がついたらまた目からは涙が流れた。
しばらく歩いて、いつもどうり家へ帰る。 はずだったのに__
違う苦しみが僕を炙った。
息も出来なくて地面に楯突いた。
蒼田 直輝
そして僕は目を閉じて、ここで意識が途絶えた
そっと目を開けて、呼吸した。
今何が起こっているのか、何も分からなかった。
ただ、ここが何処かはすぐに理解した。
ここは病院、ゆあんくんの入院する病院。
周りには安定のリズムで電子音の鳴らす機会。腕には針が刺さっていた。
口元は酸素マスクが装着されており、僕がどのような状況だったのか。しばらくしてやっと理解した。
白武 努温
白武 努温
白武 努温
蛙野 柴
蛙野 柴
僕に気がついた白髪ロングの男性?なのか、声を上げた。
この病院では今まで見てなかった。新人さんだろうか
蛙野先生の問いかけに相槌して、酸素マスクに籠る声で 一つどうでもいいことを聞いた。
蒼田 直輝
あまりの非力な声に自分でも絶句した。
白武 努温
蛙野 柴
白武 努温
白武 努温
白武 努温
随分とズカズカくる。少し抜けているのだろうか、患者にこんなにもきちんと自己紹介するものだろうか。
蛙野 柴
その瞬間この場がスっ、っと変わった様な気がした。
蛙野 柴
先生は冷静にそう告げた。
衝撃で声が出せなかった。
蛙野 柴
そして次々と説明をして言った。
そんな声は僕の耳には入らなかった。だけど
蛙野 柴
そんなことを言っていた気がする。
しばらくして部屋が静まり返ったころ。スマホへと手を伸ばした。
スマホの【赤城 柚杏】と表示されるアイコンから広がる吹き出しには先日のあさんと交わした会話が残っていた。
蒼田 直輝
突然の連絡。何も知らないゆあんくんからすると不自然な文章。嘘をついた。
赤城 柚杏
思っていたより返信は早かった。
ゆあんくんはあの後無事目を覚ましたことに心から安堵して涙した。
蒼田 直輝
赤城 柚杏
いや、何故か分からない。いつからか僕はゆあんくんの事しか考えなくて、心配になってくる。ゆあんくんと会話してる時は自分のことなんて忘れられた。
実際は体調なんて良くない。キーボードを打つ気力も無くなって、スマホをそっと置いた。
真っ白な天井を見つめた。
僕は何故ゆあんくんの事ばかり考えるのか。気にかけてしまうのか。
しばらく考えて分からなかった。
それでも、僕はゆあんくんのことを気にかけるから。
気にかけてあげるから。
眠り姫を迎えに行く王子になれるように__
コメント
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なおきりさんの病気漢字読めなかったw教えてみこーーーー!!!