君が生きたいと思うまで

本部

徠夢side

あの後迅と別れ 太刀川隊の隊室へ向かおうとして 迷ってしまった

しかも運悪く人通りが ほとんどない

自分から誰かに話しかけるなんて 徠夢には絶対無理なので 困っていると

声のした方を見ると いつの間にか真上に人影が

男2人が覗き込むように こちらを見ている

背中には冷たい壁の感触があり 後ろには下がれない

男2人は徠夢を囲むように立つ

男が徠夢の髪をするりと撫で 思わず後ずさる

徠夢は2人の間のわすがな隙間を 抜けようとする

が

逃げようとした徠夢の腕を 男がガシッと掴む

その姿が 研究所の男にソックリで 喉の奥からひゅっと嫌な音が鳴る

声がした方を見ると そこには二宮が

男は徠夢の腕をぱっと離す

男2人はそのまま走り去っていく

二宮はそのまま歩き出し 徠夢も慌ててついて行った

出水side

太刀川隊室

ブウンと軽い音とともに ドアが開く

国近は コントローラーを操作しながら 答える

出水はため息をつきながら ソファに腰掛ける

国近がゲームをしているのを ぼんやり見ながら 学校での事を思い出す

"生きていたいと思わない" 彼女の口から出た一言

彼女の瞳は 綺麗なはずなのにどこか 暗い色をしていた

出水はそう決心する

その時

ブウン

扉が開き太刀川が入ってくる

と、その後ろにも人影が

太刀川の後ろにいたのは 紛れもなくさっき会ったばかりの 徠夢だった

突然の登場に驚きが隠せない出水

国近は徠夢に向かって 小さく手を振る

出水は話が急展開過ぎて 頭がついて行かない

びっくりした顔を徠夢に向けると めんどくさそうな顔をしている

出水の話も聞かずに2人は 隊室を出ていく

出水も慌ててその後を追った

キンキンッパパッ

戦闘音が静かに響く

出水は隣に居る徠夢をちらりと見る

そういう徠夢は確かに トリオン兵の目玉に的確に攻撃を 当てている

ゲート発生ゲート発生

二手にわかれ それぞれ戦闘を開始する

パパパパパッ

徠夢はグラスホッパーで空中へ 跳ね上がるとそのまま ものすごい数の弾を撃つ

徠夢が撃った弾は複雑にねじれ 寸分な狂いもなく綺麗に 急所を貫いた

出水も負けじと トリオン兵を粉砕していく

そう言いながら太刀川も歩いてくる

徠夢はぺこりとお辞儀する

徠夢は不思議そうな顔をするも そのまま去っていく

いまだに徠夢の背中を見つめている出水に聞く

出水は驚いたように目を見開く

太刀川の珍しく真面目な顔に 出水は戸惑いながらも頷いた

〜次回〜