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第四話. 「邂逅」
_シャンデリアや壁に設置されたライトが、キラキラと輝く大広間にて、
二人の男女……恐らく双子が、 僕らにそう微笑みかけた。
その微笑みは、惹き込まれてしまいそうな そんな雰囲気が漂っていて
思わず後退りをしてしまう程、 ______美しかった。
カシア
秋霞ーAkikaー
向葵ーHimariー
雪ーYukiー
異常事態に、何か喋っていないと頭がおかしくなってしまいそうなのか、皆が口々に騒ぎ出す。
そんな状況を収めるように、双子の一人が、乾いた手の音を大広間に響かせた。
海人ーKaitoー
勧奈ーKannaー
その音は、一瞬にして辺りを静まらせる。
“それ”に驚いた二人が小さく悲鳴を上げるが、二人は気にせずに口を開いた。
ピンクチャン
ピンククン
ピンクチャン
ピンククン
性別を感じさせない、中性的な声で、 ピンクチャンとピンククンは自己紹介をした。
そして、僕らに向かって深く頭を下げた。 どうやら、歓迎してくれているみたいだ。
夏希ーNatukiー
小山ーOyamaー
すると、夏希さんが それに続いて名を名乗る。
続いて僕らも自己紹介をすると、 双子の彼らは嬉しそうに、でもどこか不気味な笑みを顔に浮かべていた。
パフ
最後に自己紹介をしたパフさんが、皆が気になっていた事を二人に問う。
ピンクチャン
ピンククン
問い掛けられた二人は、「待ってました!」と顔をほころばせた。
そして、どこからともなく取り出した桃色のファイルを広げ、その内容を読み上げる。
そのまま、ゆっくりと説明を始めた。
ピンクチャン
ラミラ
……数分後、彼らの長い長い説明が終わり、僕は小さく溜息を吐く。
何とも面倒臭い状況に、 呆れて言葉も出なかった。
そんな彼らの言葉を要約すると、こうだ。
此処は『ピンクの世界』で、つい最近生まれたばかりの未熟な世界。色々な世界の設定や言語が混ざり合っていて、不規則で汚らしい場所。 僕達は何故か此処に呼び出され、今に至る。
彼らはそんな世界の住民兼守り人で、珍しい男女の一卵性双生児。
そして___僕ら。 僕らは、この世界の住民じゃないから、“此処に長く滞在すると魂が危険”…… つまり、
なるべく早く自分達の世界に戻らないと、魂が消滅し、輪廻転生が不可能になる。 天使や吸血鬼、機械などの人間以外の生物は、体がドロドロに溶け、活動を停止させられる。
以上が、彼らが説明してくれた事である…が、
突然見知らぬ場所へ呼び出されて、わけも分からぬまま「消滅するよ」「早く帰りなよ」だなんて言われても、正直困る。
それは皆同じなのか、呆れ半分恐怖半分と言った表情で二人を見つめていた。
花楓ーKaedeー
花楓ーKaedeー
フレア
ピンククン
ピンクチャン
当てにならない返答に、 状況はますます悪化していく。
別にそこまで生に固執している訳では無いが、流石に死ぬのは勘弁願いたい。 皆(数人除く)帰る場所があり、帰りを望んでいる人達が居るのだ。
こんな所で殺されて、その上魂も消滅させられるだなんて、まっぴらごめんだ。
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
……ふと、僕の数歩後ろで揺籃さんが言う。
彼が指差す先には、 先程から異様な空気を放っていた(にも関わらず、皆スルーしていた)四個の扉があった。
小山ーOyamaー
向葵ーHimariー
秋霞ーAkikaー
海人ーKaitoー
あの扉が何なのか疑問に思っていたのは僕だけではなく、皆、頬に汗を滲ませてそう答える。
海人さんの言う通り、あの扉も気になってはいたが、優先すべきは双子だったのだ。
特に語部さんとラミラさんは、扉には目もくれず、双子の事を凝視していた。 そのままダラダラと説明を聞いている内に、扉の事が頭から抜け落ちてしまったのだろう。
しかし、再認識した事で、扉の異常さをまたヒシヒシと感じることになる。
本来なら何も無い筈の所にぽっかりと配置された四つの扉は、“全て桃色”だった。
雪ーYukiー
雪ーYukiー
花楓ーKaedeー
雪さんの言葉に、皆一様に頷く。
言いようの無い気持ち悪さが僕らを襲い、頭の中を桃色で支配し始めていた。
消愿ーSyogenー
ツァイル
勧奈ーKannaー
夏希ーNatukiー
先程の異様な状況(それは今もだが)が頭を掠め、思わず顔を顰める。 いくらなんでも非日常感が強すぎて、脳が追いついていないみたいだ。
パフ
パフ
カシア
秋霞ーAkikaー
海人ーKaitoー
海人ーKaitoー
小山ーOyamaー
妄想によってテンションが上がり出す一同を宥めながら、僕らは扉の前に立った。
そして、取り敢えず、一番近くにあった桃色の扉から入ってみることにする。
ラミラ
向葵ーHimariー
ピンクチャン
ピンククン
ラミラ
ピンククン
ピンクチャン
続く
第一章 完
コメント
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見るの遅れてしもた…申し訳ない…!!!いやぁ見るの楽しすぎる…!!そして私が誤タップ魔すぎてなんか色々押してしまった 3話一気に読みました!!展開が面白すぎるアニメ化しても違和感ないぞこれ…!!こりゃ脱出キツそうだ…みんなが頑張るところを見るのが楽しみです…!いつでもお姉さん目当てなのカシアらしくてラブだ…今回も神すぎました!!
な、夏希って、あの夏希さんなのか (ものすごく懐かしい~) 壮大な第一章でした🍀ね
なるほどドロドロに溶けていい雰囲気になって消えるってことか。…おや?「天使や吸血鬼、機械などの人間以外」ということは…