お金が欲しかったわけでもない。
喧嘩をしたわけでもない。
ふいに「あ、殺そう」と思ったら殺す。
殺人は僕にとって日常なのだ。
ある夜を除いては。
ぼく
今月もきれいな満月…
ぼく
今月は…
ぼく
僕は何人ころしたっけ
僕
道端のホームレス3人
僕
絡んできた高校生グループ、占めて5人
僕
後はバカップル2組だな
「ぼく」は満月の夜だけ出てこれる。
ぼく
…
ぼく
ぼく、もう一人はいやだよ
ぼく
だれかといっしょにいたい
ぼく
もうころすのはやめて
僕
それは無理だな
僕
僕にとって息を止めろと言うようなものだよ
ぼく
…
ぼく
ぐす…
ぼく
しくしく…
お姉さん
君、どうしたの?
ぼく
…?
顔を上げるとお姉さんがしゃがみこんでぼくと目線を合わせていた。
こんな夜中に公園で泣いていると家出してきましたと言わんばかりだ。
見知らぬ人に話しかけられるのは目に見えている。
僕
厄介だな…
ぼく
ぼく
ぼく、わるいこなの
お姉さん
悪い子…?
ぼく
だからみんないなくなるの
僕
僕が殺すからね
お姉さん
お姉さんと一緒に交番いく?
…
ひょっとしたら捕まれば一人じゃなくなる…?
僕
ぼくは僕と同じ、人殺しだ
僕
牢屋に入れられて一生出られないよ
僕
ひょっとしたら死刑かもね
ぼく
ぼく
いや!
ぼく
こうばんいや!!
お姉さん
そ、そうか…
お姉さんは困り果ててしまったようだ。
お姉さん
…じゃあ今日はお姉さんの家に泊まる?
お姉さん
人さらいや殺人鬼が心配だからね
ぼく
…いいの?
お姉さんについて行けば今日は一人じゃなくなる。
でも…
明日にはぼくは居なくなって
僕がお姉さんを殺してしまうだろう。
ぼく
…ありがとう
ぼく
ごめんね
…ごめんね、お姉さん。
作者
前回のテラコン作品の中で私が作ったと言う設定の作品を実際に作ってみました。