テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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忘れてしまったとしても

第17話 - 第17話　雨音に包まれた戦い

387

2024年07月21日

#ウォーターチャレンジ

#２次創作

#記憶喪失

ステラ

レッドはスクールの全ての教室を回り尽くした

だが

ミスターレッド

ちっ……どこ探しても見つかんねぇ……

ミスターレッド

一体何処行きやがったんだ…

銀さん

レッド！次は学校外を探しに行くぞ！

ミスターレッド

ああ

そう言って2人は教室を飛び出す

銀さん

すまない先生が連れ去られる前に早く見つけねぇと…！

ミスターレッド

銀さん、ここからは手分けしてすまない先生を探そう

ミスターレッド

2人で同じところを探したところで意味ねぇからな

銀さん

た…確かにな

銀さん

でも…危険じゃねぇか？

銀さん

1人でいる時に…襲われたりなんかしたら……

ミスターレッド

俺がそんなに弱い訳ねぇだろ？

銀さん

…そうか

銀さん

分かった、お前を信じるぜ

ミスターレッド

じゃ、俺はグラウンドの方を探してくる

ミスターレッド

銀さんは倉庫の裏の方を探してくれ

銀さん

了解だ！

そう言って2人は互いに違う方向へ走り出す

銀さんは倉庫に到着する

銀さん

す…すまない先生！

銀さん

い…いませんか？

奥に向かって声を掛ける

だが返事は無い

銀さん

く…くそぉ……

銀さん

ここにもいねぇのかよ

銀さん

って…そういえば……

銀さんは何かを思い出し、奥へと走り出す

銀さん

ミスター赤ちゃんの声がしねぇ……

銀さん

まさか…

銀さん

ミスター赤ちゃんまで…？

嫌な予感がする

そう感じ、走るスピードを更に上げる

銀さん

俺たちが学校内を探し回ってる間に赤ちゃんを攫う……

銀さん

時間的には余裕があるし…

銀さん

全然あり得る……

銀さん

くそっ……遅かったのか？

奥の檻が微かに見え始める

銀さん

おい！ミスター赤ちゃん！

銀さん

そこにいるのか？

檻に向かって問いかける

だが

帰って来たものは何も無かった

銀さん

ほ…本当に攫われちまったのか？

銀さん

くそっ……タイムロスだ…

銀さん

急いで戻らねぇと…！

再び出口の方へと振り向き、走り出す

銀さん

ちっ………何でこんな時に限って……

ザァァァァァァ…………

先程まで強く無かった雨も徐々に雨足を強くしていった

水溜りを踏みつけながら歩を進める

銀さん

あ…そういえば…

銀さん

ミスターレッドは今どうしてるんだ？

銀さん

ちょっと電話掛けてみるか…

スマートフォンを開き、電話の画面を開く

プルルル……プルル……

数秒程待った時、レッドが応答する

ミスターレッド

ミスター銀さん、すまない先生は見つかったか？

銀さん

まだ見つかってねぇ…

銀さん

それどころか…ミスター赤ちゃんまで居なくなっちまった

ミスターレッド

…こりゃあ完全にバナナの仕業だな

レッドは声を落とす

ミスターレッド

こっちも…すまない先生は見つかってないぜ

銀さん

……だよな

ミスターレッド

一旦合流しよう

ミスターレッド

雨も強くなって辺りが真っ暗になってる

電話の奥から何か音がする

銀さん

なんだ…今の音…？

ミスターレッド

こんな所で逸れてしまったら元も子もn

ミスターレッド

！？

ミスターレッド

ちょっ……なんだお前！？

銀さん

レッド！？

銀さん

お…おい！どうしたんだよ！

ミスターレッド

は…離せよ…！

ミスターレッド

や…やめ…

ツーツーツー

通話が強制的に切れる

銀さん

お…おい！

銀さん

レッド…？

電話に語り掛けるがもちろん応答は無い

銀さん

ま…まさか……

銀さん

襲われたりなんかしてないよな……？

頭に最悪の状況が過ぎる

銀さん

ま…マズい……！

一目散に走り出す

何処に行くかの目処も立てないまま

銀さん

レッド！

銀さん

おい！レッド！

銀さん

いねぇのかよ！

出せる限りの声で叫び続ける

銀さん

もう……なんなんだよ！

壁に拳を叩きつける

銀さん

くそっ…くそっ…！

何度も何度も

こんな事したって何にもならない

分かっているが

沸々と込み上がる怒りを…抑えることができない

以前はこんな事は無かった

どんなに先生が学校を壊しても

ドッキリを仕掛けられても

イタズラされても

全部笑い飛ばす事ができた

それなのに…あの事件以降

いつもの様に笑えなくなった

ちょっとした事でも怒りが込み上げてくる様になった

自分でも…おかしいと思った

だけど…どうにもできない

怒る気持ちを抑える事が出来なくなった

銀さん

腹立つ腹立つ腹立つ…！

銀さん

なんで俺らがこんな目に遭わなきゃいけねぇんだよ！

銀さん

なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけねぇんだよ…！

膝から崩れ落ちる

水でぐちゃぐちゃの地面に手を付く

無慈悲に天から降り注ぎ続ける雨になす術なく打たれ続ける

銀さん

クソが……

そうポツリと呟く

バナナ

此処に居たのか

銀さん

！？

銀さん

お……お前…

すぐさま立ち上がり、声のする方向から遠ざかる

銀さん

すまない先生達を……何処へ連れて行った…！

怒りで声が震える

バナナ

さぁな

バナナは感情の籠っていない無機質な声でそう言う

銀さん

お前が…お前が連れ去ったんだろう？

バナナ

……ああ

バナナ

俺が連れ去った

銀さん

それは…お前の意思なのか？

一旦冷静になり、問い掛ける

バナナ

…………

バナナ

知っているだろう？雹華様の事を

銀さん

…ああ

バナナ

なら態々問う必要も無いだろう？

銀さん

………

銀さん

じゃあ…一体何の為にすまない先生達を攫った？

バナナ

…………

バナナが暫く黙り込む

数十秒が経った頃、口を開く

バナナ

俺たちの計画を邪魔するからだ

銀さん

…計画？

バナナ

ああ…雹華様の人生を賭けた計画

銀さん

俺達がした事は、その計画とやらに支障をきたすのか？

バナナ

ああ

バナナ

雹華様はこの街の人間全てを従わせる願望がある

バナナ

お前らもその人間の内の1人なんだ

銀さん

従わせるって………

銀さん

何の為にそんな事する必要があるんだよ！

銀さんが声を荒げる

バナナ

雹華様は…幼い頃から人々に虐げられてきた

バナナ

雹華様は…自身を虐げてきた人間に復讐をしようとしているのだ

バナナ

お前らはその計画を邪魔しようとしている

バナナ

そんな人間を許す訳にはいかない

バナナ

全ては雹華様の為であり、下部の俺は意思など持たない

バナナ

雹華様の為ならば何だってする

そう言ってバナナは銃を構える

銀さん

へぇ……

銀さん

お前…随分と変わっちまったな

銀さん

前までは先生や他の生徒達の事をすっげぇ大事にしてたのにな

銀さん

まぁ…時にスクールを爆破する事もあったけどよ…

バナナ

…………

銀さんは声を落としてバナナに語り掛ける

銀さん

俺の事だって守ってくれたりしてくれたってのに……

銀さん

今度は俺らに手を出す側とは…な

バナナ

…お前が何を言っているのか理解する事が出来ない

バナナ

俺は生まれた時からずっと…ずっとずっと

バナナ

雹華様に育てられてきた

バナナ

お前の様な人間に出会った事など一切ない

バナナ

おかしな妄想を事実の様に話すな

バナナは若干イライラし始め、声が少し震えている

銀さん

お前は…すげぇ奴だったよ

銀さん

標的に向かって正確に銃を当てたり…

銀さん

俺達に襲いかかって来た敵を簡単に倒しちまったり……

銀さん

本当に…尊敬してたぜ

銀さん

でも…今のお前は…

銀さん

頭のおかしな計画を実行しようとするババアに従う…馬鹿なバナナだ

その瞬間、バナナの怒りはMAXに達する

バナナ

本当にお前は脳内お花畑の様だな

バナナ

何度も同じ事を言わせるな

バナナ

俺は今まで雹華様だけに従って来た従順な男だ

バナナ

雹華様の素晴らしき計画に賛同し、計画を実行する手伝いをしている

バナナ

それだと言うのに……

バナナ

お前は今雹華様の事を「頭のおかしな奴」と罵った

銀さん

それだけじゃないぜ、ババアとも言った

バナナが声を荒げ、叫ぶ様に言う

バナナ

ババアだと？ふざけるんじゃない

バナナ

雹華様はこの世で最も美しく、知的で優しいお方だ

バナナ

お前の目が腐ってんだよ、白髪のガキが！

銀さん

へぇ…本当に洗脳されちまった様だな…

銀さんは怒りを抑えられないバナナの事を鼻で笑う

バナナ

お前態度…実に気に入らない

バナナ

お前の事も持ち帰って記憶を抜き出そうとも思ったが…

バナナ

此処で始末してしまっても問題ない様だな

バナナは構えた銃を再び構え直す

銀さん

へぇ……本当の仲間に向かって銃を向けるなんて…な？

銀さん

そちらがその気なら……やってやるよ

銀さんが一歩バナナの方へ踏み出す

銀さん

じゃ、始めようぜ

銀さんがバナナの方へと駆け出す

バナナ

実に無謀な…

バナナは冷静に銃を構え、発砲しようとする

その瞬間銀さんが建築用ハンマーを投げつける

銀さん

これでどうだ！

建築用ハンマーがバナナの手に直撃する

バナナ

な！？

バナナがたじろいでいる間に銀さんはすかさず攻撃を加える

銀さん

オラァッ！

蹴りをバナナの足に入れる

銀さん

おっとっと…！？

だが勢い余って攻撃直後に体制を崩す

バナナ

その様子、お前は戦い慣れていないな？

バナナが再び銃を構え直す

銀さん

！？

バンッッ

銀さんは反射的に身を捩り、銃弾を回避する

バナナ

回避した所でお前の体力は俺には到底敵わない

バナナ

体力が途切れるのも時間の問題だ

もう一度こちらに銃弾を打つつける

銀さん

！？

体制を立て直そうとする銀さんの服に銃弾が掠る

バナナ

お前の動きは完全に理解した

バナナ

殺されるのも時間の問題だと思え

バナナは銃弾を手慣れた手つきで入れ直す

銀さん

(マズい…このまま戦っても…バナナには到底勝てねぇ)

銀さん

(無闇に近づいて行った所で撃ち殺されて終了だ…)

銀さん

(こいつの…こいつの弱点を探さねぇと…)

銀さん

(その前に…一先ず逃げねぇと…！)

銀さんは校舎裏から中庭へと走り出す

バナナ

逃げる気か？

バナナ

俺の脚力を舐めるな

バナナが恐ろしいスピードで銀さんを追い始める

銀さん

(…！？)

銀さん

(流石はバナナ…足が速すぎる…)

銀さん

(一先ず対抗策を考えねぇと…！)

銀さんは走り続けているが、バナナも徐々に距離を縮めていく

バナナ

逃しはしないからな？

銀さん

(確かこの先には畑がある…)

銀さん

(畑はまっさらで銃を撃つにはもってこいの場所だ…)

銀さん

(そんな場所に出たら…)

銀さん

(いや…畑にある物を考えるんだ)

銀さん

(物活かす事ができれば…勝ち筋も見えて来るんじゃないか…？)

高速で思考を巡らせ続ける

バヒュン

銃弾がこちらへと飛んでくる

銀さん

あっぶな！？

バナナ

次こそは当てる

バナナ

覚悟しておけよ？

銀さん

(確か畑にある植物は……)

銀さん

(にんじんにジャガイモ…小麦に……)

銀さん

(って…植物考えた所で意味ねぇじゃん！？)

銀さん

(待てよ……？)

銀さん

(確か…あの畑には…)

銀さん

(リンゴがあったはず)

銀さん

(いくら記憶が無くなったと言っても…)

銀さん

(バナナにあるリンゴへの内なる憎悪は無くなってないんじゃないか？)

銀さん

(リンゴを使って隙を作れば…)

銀さん

(よし…畑に出た…)

銀さん

(後はリンゴを探して…)

バナナ

お前という人間は実に馬鹿なのだな

バナナ

まっさらな畑に出たら俺にとって好都合なのだぞ？

バナナは再び銃口をこちらへ向ける

バナナ

もう逃しはしないからな

バンッッ

銃口から銃弾が放たれる

銃弾が銀さんの腕に掠る

銀さん

痛っ！？

銀さん

(マズい…早くリンゴを見つけないと…！)

立て続けに銃弾が放たれる

銀さん

！？

その内の一つが銀さんの足に深く掠る

銀さん

！？

銀さん

(ま…マズい…！)

銀さん

(足が痛すぎて…動けねぇ…！)

バナナ

ここまでの様だな

バナナ

散々雹華様の事を悪く言った様だが…

バナナ

こんなにも呆気なく負けてしまうなんてな

バナナ

実に哀れなガキだ

銀さん

(リンゴは…何処に…)

バナナ

最期に言い残す事はあるか？

銀さん

(リンゴ…リンゴ…………)

銀さん

(………！)

銃口がこちらへ突きつけられる

バナナ

終わりだ

銃弾が撃ちつけられようとした瞬間

銀さん

これでどうだ！

バナナの体に赤い果実が直撃する

バナナ

…？

バナナ

最後の抵抗か？

バナナ

物を投げつける事しか出来ないなど…実に可哀s…

バナナ

何だ…この赤い果実は

バナナが地面に転げ落ちた赤い果実に目を向ける

バナナ

…！？

バナナ

この果実は…………！

バナナの手が震え出す

バナナ

何だ…この感覚は…

バナナ

体の奥底から憎悪や憎しみが………！

バナナ

この赤い果実…許せない…実に許せない……！

バナナ

滅してやる！この赤い果実めが！

バナナがそこら中にあるリンゴを撃ちつけ始める

銀さん

(よし…！狙い通りだ！)

銀さん

(意識が逸れている隙に……！)

銀さんが身を潜めつつ、バナナに接近する

バナナ

このっ……赤い果実め…！

バナナが銀さんのいる方向とは真逆を向いた瞬間

銀さん

今だっ！！

銀さんがバナナに拳を振るう

バナナ

！？

バナナ

ぐぁっっ！？

銀さん

…形勢逆転だな

銀さんはバナナが落とした銃を拾い上げ、銃口をバナナへと向ける

バナナ

……………

バナナ

何故…何故俺の弱点が分かった

バナナ

俺自身も知らない弱点を何故知っているんだ

銀さん

へ？

銀さん

そりゃぁ……今までずっと一緒に居たんだからな

バナナ

また妄想の話か…呆れるな……

バナナは目を伏せる

銀さん

バナナ、大人しく俺の指示に従うんだ

バナナ

…ああ

バナナ

敗者は勝者に従うものだからな

銀さん

(そ…そうなのか？)

銀さん

まず一つ目だ

銀さん

お前、赤ちゃんの記憶の石奪ったんだろ？

銀さん

それを返すんだ

バナナ

……

銀さん

それと…

銀さん

攫ったすまない先生達を解放するんだ

バナナ

…ああ

バナナ

分かった

そう言ってバナナはポケットから何かを取り出す

バナナの手のひらには２つの光る石が乗っていた

銀さん

２つ…？

銀さん

もう1つは何だよ

バナナ

…お前の記憶だ

バナナ

お前、記憶を奪われて相当性格悪くなってるだろ

銀さん

え…？

バナナ

俺は雹華様を貶された事が許せない

バナナ

2度とこの様な事が起きない様に特別に返してやる

銀さん

え………

バナナ

それと、すまないとやらは倉庫に監禁してある

バナナがそう言った瞬間

ヒュン………

バナナがその場から消え去る

銀さん

お…おい！

誰もいない空間に1人語り掛ける

銀さん

…………

ザァァァァァァァァァァァァァァ

雨音以外の音が完全に消え去る

銀さん

…何だよ

銀さん

あいつ、やっぱ良い奴なのは変わってねぇじゃん

1人でポツリと呟く

そして地面に落ちている２つの石の内の1つに触れる

その瞬間銀さんが光に包まれる

銀さん

そういえば……俺は……

ミスター銀さんだったな

忘れてしまったとしても

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銀さんおかえりいいい！バナナ戻ってこおおい！でもちょっといいやつ… とりあえず全員無事でよかったわ！

銀さん記憶戻ってよかったー！！てかさらっとバナナ雹華様の記憶奪ってたりする理由話してるけど人間消そうとしてんのヤバくない？

記憶が消えてるミスターバナナに、こちらも記憶が消えてるミスター銀さんが語りかけてるのが好き…… ミスター銀さんの記憶が戻ってよかったです！

ステラ

プロフィール

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