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最後の日記

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2019年06月14日

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私がまだ新米の看護師だった頃の話です。

私が担当している部署に身寄りのないおじいさんが入院されました。

担当医の話によると、助かる見込みはほとんどないとの事でした。

寂しい思いをさせてはいけないと、私達は明るく接しました

○○さん!今日はいい天気ですねぇ!お散歩にでも行かれたらどうですか?

おじいさん

ほっといてくれ。

次の日

○○さーん!今日の昼食はハンバーグですってぇー!良かったですね!

おじいさん

しらん。ほっといてくれ。

しかし、そのおじいさんは声をかける私たちに、「しらん。」「ほっといてくれ。」としか言わず、取り合おうとはしませんでした。

いつもそんな態度だったので日を追うごとに看護師の仲間からの評判は悪くなっていきました。

そのおじいさんは入院してから2ヶ月で亡くなり、帰らぬ人となりました。

お通夜が終わり、患者さんの遺品を整理していると少ない荷物の中から日記が出てきました。

平成9年7月八日 晴天

今日、私さんに声をかけてもらった。ここの人たちはこんな私まで親切に声をかけてくれる。嬉しいことだ。でも、甘えてはいけない。ここで甘えてしまうと、退院したあとが辛くなってしまうだろう。1人で暮らしていかなければならないのだから甘えてはいけない。退院して元気に暮らしていくためにも甘えてはいけない。絶対に。頑張ろう。

おじいさんの強く強く生きようという意思が、2ヶ月という限られた時間のなかでこの日記の中に込められていました。

私は看護師になって、初めて泣きました。

END

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