望 ー望
赤嫌われです
長いです
望まぬ弟
望まぬ息子
家族は誰1人俺の存在を
喜ばなかった
最初は腫れ物のように扱われ
時が経つにつれ
俺はいつしか嫌われ者になっていた
桃
青
赤
世間ではもうすぐ正月らしい
初詣では
神様に願い事をする
神様なんて信じてはいないが
誰かにこの望みをぶつけたかった。
正月には混むので 学校帰りに神社へ寄り
賽銭箱に5円を投げ入れた。
赤
そう呟くと 神社を後にして
いつもの公園に向かった。
途中、コンビニに入り 肉まんを買った。
ベンチに座りスマホを開く。
適当にスマホを弄りながら 肉まんを口に入れ
時間を潰す。
兄が寝るまでは家に帰らず こうするのが最近の日課だ。
そうしていると 目の前の地面が濡れ始め
空から大粒の雨が降ってきた
赤
悪態を漏らしながら 天気のアプリを開く
この後は朝まで雷雨らしい。
といっても他に行くところも無い為
大人しく雨に打たれる
そのうち雨も強まり 雷の音が鳴っていた。
自分を見ると 制服はびしょびしょ
隣に置いた鞄は 中まで雨水が入り込み
赤
どうすることも出来ない為 とりあえず鞄をベンチの下に入れ
俺は横になった。
そのまま
頬に当たる雨と 雷の音を聞き乍 静かに目を瞑った。
気がついたら俺はベッドにいた。
いつの間にか眠っていたらしい。
赤
誘拐でもされたかと 考えていると
黄
黄
赤
横には1つ上の兄の顔
それもいつもからは想像もできない程の 焦った表情だった。
意味がわからず黙っていると
黄
黄
部屋を出て行ってしまった。
紫
そう言って俺の額に 手を当ててくる長男。
先程から兄達の変わり様に 頭が追いつかない。
とりあえず額に置かれた 兄の手を払い除け
不愉快そうな声をあげる
赤
紫
紫
しおらしい態度で謝ってくる長男
それを見てなんだかイラつき
赤
悪態をつく。
そんな会話をしていたら
他の兄たちも集まってきた
青
青
桃
橙
橙
どうやら変わったのは この2人だけでは無いようで
今まで心配なんかしなかった癖に
気持ち悪い程に心配してくる。
今までのことからして いきなり優しくされても恐怖でしかない
赤
赤
そんな疑問を零すと
青
青
赤
それは
今迄してきたことを分かって 言っているのか
呆れにも近い感情で 兄達を見る。
俺が何を思ってると 思ったのか
1人が手を伸ばして 俺を撫でようとしてきた。
その手を思い切り叩き 払い除ける。
桃
もう、この空間に居たくなくて
赤
赤
赤
赤
赤
そう言い残し 自分の部屋に駆け込む。
赤
鍵をかけ
まだ切れる息を整え
机の引き出しを開ける
小さめの黒のポーチ
を取り出し
中身を出す。
カッターとカミソリ、薬
赤
カッターを手に取り
刃を出す。
手首に押し当てて 線を引く
赤
カッターを机に置き 傷口を見る。
上手く切れたようで パックリといっている。
じわっと出てくる血
赤
赤
うっとりとし乍
暫くそれを眺めていたら なんだか疲れてきて
薬を飲んで早く寝よう
そう思い、薬の瓶を持つ。
赤
ジャラジャラと手の上に出すと
赤
水がないことに気がつく。
さっきのことも忘れ 部屋を出て
キッチンに向かう
リビングに続くドアを開けると 一斉に此方をみる兄
橙
その視線でやっとさっきのことを 思い出す。
さっきかなり本音をぶちまけた為
なんだか気まづくて
兄の視線に気が付かないフリをして キッチンに入り コップを出す。
その後蛇口を捻る。
8割程入れて水を止め
そそくさと 部屋に戻った。
鍵を閉めて 深呼吸をし
さっき出した薬を一気飲みする
ベッドに倒れ込み 暫くして 猛烈な眠気が俺を襲い
そのまま眠りに落ちた。
目が覚めると同時に 頭痛と吐き気が襲ってくる
フラフラとトイレに向かい
嘔吐する
そうしていると胃液しかでなくなり
より苦しさが増す
赤
生理的な涙は止まらず
頭は割れるように痛い
薬を飲んだ時 何も食べていなかった為 効き目が強すぎた様だ。
嫌に冷静に反省をしながら 嗚咽のみを吐いていると
誰かが背中をさすってきた。
払い除ける余裕なんかなく 素直にそれを受け入れる
それからまた暫く吐き続け
赤
そう言い乍 袖で口を拭う
桃
桃
桃
深呼吸をしている俺に そう問いかける桃にぃ
赤
桃
赤
桃
桃
軽く会話を交わし 廊下で別れる。
疲れ果ててベッドに倒れると そのまま寝てしまった。
コンコン
ドアをノックする音で目が覚める
特に返事はしなかったが 直ぐに部屋が開き
色々持った桃にぃが入ってくる
桃
声をかけ乍机に次々と 物を置いていく
その動作を眺めていると 桃にぃの手が止まる
不思議に思い 覗き込むと
薬の瓶と 血塗れのカッター
赤
絶対引かれた…
そう思っていると
桃
思ってもみない言葉が返ってきた。
赤
震える声で聞き返す。
桃
桃
桃
部屋に沈黙が流れる
暫くして桃にぃが口を開けた。
桃
桃
赤
桃
桃
赤
そう言って考え込む。
欲しいゲームがある
スマホも新しくしたいし
漫画も欲しい
けど
これといって 強く欲しいと思う物がなく
色々と思い浮かべる。
暫くして1つ 思い浮かんだ。
赤
桃
桃
桃
そう早口に言ってくる桃にぃ
俺は素直に声に出す
赤
赤
桃
少し驚いて此方を見る
それから少し笑って
桃
桃
神様はいるのかもしれない、
そう思った。
どうやら俺は 1番欲しかった
1番望んでいたものが
手に入りそうです
望 ー望
コメント
6件
普段と違う雰囲気なのいいなぁ( ` -´ )b これはこれで(*´꒳`*)ヨキヨキ
桃くんが沢山持ってきたって事は水以外もあったのかな。そういう気遣いできる桃くん素敵。細かい描写までこだわる主さんさすがです