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望

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1 - 望

♥

11,580

2024年12月03日

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望 ー望

赤嫌われです

長いです

望まぬ弟

望まぬ息子

家族は誰1人俺の存在を

喜ばなかった

最初は腫れ物のように扱われ

時が経つにつれ

俺はいつしか嫌われ者になっていた

目障りなんだよ"ッ

消えろ

ごめんなさい

世間ではもうすぐ正月らしい

初詣では

神様に願い事をする

神様なんて信じてはいないが

誰かにこの望みをぶつけたかった。

正月には混むので 学校帰りに神社へ寄り

賽銭箱に5円を投げ入れた。

誰かに愛されますよーに。

そう呟くと 神社を後にして

いつもの公園に向かった。

途中、コンビニに入り 肉まんを買った。

ベンチに座りスマホを開く。

適当にスマホを弄りながら 肉まんを口に入れ

時間を潰す。

兄が寝るまでは家に帰らず こうするのが最近の日課だ。

そうしていると 目の前の地面が濡れ始め

空から大粒の雨が降ってきた

最悪…

悪態を漏らしながら 天気のアプリを開く

この後は朝まで雷雨らしい。

といっても他に行くところも無い為

大人しく雨に打たれる

そのうち雨も強まり 雷の音が鳴っていた。

自分を見ると 制服はびしょびしょ

隣に置いた鞄は 中まで雨水が入り込み

教科書までびしょ濡れ…w

どうすることも出来ない為 とりあえず鞄をベンチの下に入れ

俺は横になった。

そのまま

頬に当たる雨と 雷の音を聞き乍 静かに目を瞑った。

気がついたら俺はベッドにいた。

いつの間にか眠っていたらしい。

ここッどこ…

誘拐でもされたかと 考えていると

あッ

赤起きた!?

はッ?

横には1つ上の兄の顔

それもいつもからは想像もできない程の 焦った表情だった。

意味がわからず黙っていると

まってて

紫にぃ読んでくるッ

部屋を出て行ってしまった。

やっと起きたッ!

そう言って俺の額に 手を当ててくる長男。

先程から兄達の変わり様に 頭が追いつかない。

とりあえず額に置かれた 兄の手を払い除け

不愉快そうな声をあげる

…なに

っあ

ごめん…

しおらしい態度で謝ってくる長男

それを見てなんだかイラつき

被害者面すんなよ

悪態をつく。

そんな会話をしていたら

他の兄たちも集まってきた

赤くんッ!

よかったぁ…

体調は大丈夫か?

なんか欲しいものある?

買ってくるで

どうやら変わったのは この2人だけでは無いようで

今まで心配なんかしなかった癖に

気持ち悪い程に心配してくる。

今までのことからして いきなり優しくされても恐怖でしかない

なんで…?

なんでそんな優しくするの…

そんな疑問を零すと

兄弟じゃん、僕たち

優しくするのは当たり前でしょ

は…ッ?

それは

今迄してきたことを分かって 言っているのか

呆れにも近い感情で 兄達を見る。

俺が何を思ってると 思ったのか

1人が手を伸ばして 俺を撫でようとしてきた。

その手を思い切り叩き 払い除ける。

い"った

もう、この空間に居たくなくて

さっきからなんなのッ!?

俺を散々嫌ってたくせに"ッ

急に態度変えてきてッ!

いきなり兄弟とかッ

意味わかんない"ッ

そう言い残し 自分の部屋に駆け込む。

はぁッ…はぁっ

鍵をかけ

まだ切れる息を整え

机の引き出しを開ける

小さめの黒のポーチ

を取り出し

中身を出す。

カッターとカミソリ、薬

まずはリスカ…

カッターを手に取り

刃を出す。

手首に押し当てて 線を引く

ぃたッ…

カッターを机に置き 傷口を見る。

上手く切れたようで パックリといっている。

じわっと出てくる血

っふふ

きれい…

うっとりとし乍

暫くそれを眺めていたら なんだか疲れてきて

薬を飲んで早く寝よう

そう思い、薬の瓶を持つ。

20でいっか。

ジャラジャラと手の上に出すと

あッ、みず…

水がないことに気がつく。

さっきのことも忘れ 部屋を出て

キッチンに向かう

リビングに続くドアを開けると 一斉に此方をみる兄

赤、?

その視線でやっとさっきのことを 思い出す。

さっきかなり本音をぶちまけた為

なんだか気まづくて

兄の視線に気が付かないフリをして キッチンに入り コップを出す。

その後蛇口を捻る。

8割程入れて水を止め

そそくさと 部屋に戻った。

鍵を閉めて 深呼吸をし

さっき出した薬を一気飲みする

ベッドに倒れ込み 暫くして 猛烈な眠気が俺を襲い

そのまま眠りに落ちた。

目が覚めると同時に 頭痛と吐き気が襲ってくる

フラフラとトイレに向かい

嘔吐する

そうしていると胃液しかでなくなり

より苦しさが増す

おぇ…ッポロポロ

生理的な涙は止まらず

頭は割れるように痛い

薬を飲んだ時 何も食べていなかった為 効き目が強すぎた様だ。

嫌に冷静に反省をしながら 嗚咽のみを吐いていると

誰かが背中をさすってきた。

払い除ける余裕なんかなく 素直にそれを受け入れる

それからまた暫く吐き続け

も、だいじょぶ

そう言い乍 袖で口を拭う

ん、

随分吐いたけど

なんか食う?

深呼吸をしている俺に そう問いかける桃にぃ

それ以外は?

いらない

後で部屋持ってく

軽く会話を交わし 廊下で別れる。

疲れ果ててベッドに倒れると そのまま寝てしまった。

コンコン

ドアをノックする音で目が覚める

特に返事はしなかったが 直ぐに部屋が開き

色々持った桃にぃが入ってくる

大丈夫?

声をかけ乍机に次々と 物を置いていく

その動作を眺めていると 桃にぃの手が止まる

不思議に思い 覗き込むと

薬の瓶と 血塗れのカッター

あ…ッ

絶対引かれた…

そう思っていると

ごめん、

思ってもみない言葉が返ってきた。

なん、で…?

震える声で聞き返す。

これ、俺たちのせいだろ

だから

ごめん

部屋に沈黙が流れる

暫くして桃にぃが口を開けた。

赤はさ

なんか欲しいものとかないの?

欲しいもの…?

うん

赤に俺たち何も
買ってあげれてないだろ

そっか

そう言って考え込む。

欲しいゲームがある

スマホも新しくしたいし

漫画も欲しい

けど

これといって 強く欲しいと思う物がなく

色々と思い浮かべる。

暫くして1つ 思い浮かんだ。

あ、

なに?

なんでもいいよ

遠慮しないで

そう早口に言ってくる桃にぃ

俺は素直に声に出す

…おれ、

愛が欲しい

ぇッ…

少し驚いて此方を見る

それから少し笑って

それが赤の望みなら

幾らでも

神様はいるのかもしれない、

そう思った。

どうやら俺は 1番欲しかった

1番望んでいたものが

手に入りそうです

望 ー望

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11,580

コメント

6

ユーザー

普段と違う雰囲気なのいいなぁ( ` -´ )b これはこれで(*´꒳`*)ヨキヨキ

ユーザー

桃くんが沢山持ってきたって事は水以外もあったのかな。そういう気遣いできる桃くん素敵。細かい描写までこだわる主さんさすがです

ユーザー
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