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あまぐも。
あまぐも。
あまぐも。
あまぐも。
ピチュンピチュンという、甲高い小鳥のさえずりに意識をもちあげられる。
窓から入り込む光は、うららかで、私まで溶かしてしまいそうだった。
日本
あまりにも暖かい空間だったから、意識を手放しそうになってしまったが、グッと堪えて右端にある時計に目をやった。
日本
日本
時計が指す時間は7時50分。 そしてHRが始まる時間は__
8時10分。
日本
柔らかさも質感も、前の家とは全く違う違和感まみれのベッドでも、一度寝てしまえば思いのほか馴染むものだ。 おかげで爆睡してしまったではないか。
ベッドから飛び起き、制服をクローゼットから掻っ攫い怒涛の勢いで階段を駆け降りた。
日本
私は地面を踏み鳴らし、ドタドタと音を立てて階段を駆け降りた。
日本
そう叫びながら私は着替えと食事を同時並行にこなした。 おそらく服のなかにパンくずか入り込んでしまっているが、そんなことは気にしていられない。
日本
急いで食べたからかパンが少し喉に詰まったがなんとか喉に押し込み、またドタドタと激しい音を立てながら洗面台に向かった。
シャカシャカシャカシャカ!!
まるで親の仇の首を取るみたいに、歯を高速で磨いた。
日本
先程までの優雅な朝はどこへ行ったのか、もうこの空間は焦りで支配されていた。
口をゆすいだ後、机においてあった自転車の鍵と家の鍵をぶんどり、玄関へ向かった。
日本
普段ならでないであろう大声を出しながらドアノブに手をかけた。
ガチャン!!
自転車についていた枷が外れる音がすると、足をぶんっと振り、勢いよく自転車に乗った。
日本
そう思い、自転車のペダルを今世紀最大の力で踏んだ。
それから、私はとんでもない勢いで自転車をこいだ。
顔がひん剥けそうなくらいの向かい風を浴びながら、 チーターも顔負けの速さで自転車をかっ飛ばした。
日本
優雅に海の景色を楽しみたいところだが、そんな余裕はない。
心の底から過去に自分を恨んだ。何で早く起きて来なかったんだ、と。
日本
こんだけ全力で漕げば疲れるもの。 まだ少ししか漕いでいないのに足は疲労を訴えている。
着く頃にはもうパンパンになっているだろう。
日本
私は早く着け早く着けと心で念じながら自転車を猛スピードで走らせた。
自転車を投げ捨てるように停めて、昇降口に駆け込んだ。
滝のような汗を拭いながら、靴を下駄箱にしまう。
日本
壁にかけてある時計に目を向ける。
現在の時刻は_____
____8時7分。
日本
もうすぐでHRが始まってしまう。
私はパンパンになった足をなんとか動かし、廊下を駆け抜けた。
ダダダダダダッ!
ダン!!!
扉を開けると同時に、チャイムが鳴った。
日本
とんでもない息切れに胸を上下させながら、先生の方を見る。
先生
私が息を切らしながら入ってきたことに対して何も言わないところを見ると、この担任の先生は大雑把な性格だと予想した。
呼吸を整えた後、胸を張り声を出した。
日本
そう簡潔に自己紹介すると、いろいろな人から下から上へと、ジロジロ見られた。
あまり注目を浴びることには慣れていなかったので、少し目を右に逸らしてしまった。
日本
一部の人からの、品を見定める鑑定家のような目線。 それが少し気持ち悪かった。
そんな空間を切り裂くように先生は声をあげた。
先生
先生がそう言うと、先程の嫌な目線は一気に消え、皆が笑顔になり拍手をした。
日本
前の学校が平和すぎただけで、この学校が普通なのかもしれない。 そう、思うようにした。
先生
先生は目線を右から左へと動かし、口を開いた。
先生
日本
先生が指を差したほうを見ると、確かにそこには彼が居座っていた。
先生
ドイツさんはそう問われると、こう、即答した。
ドイツ
先生
即答されたのが嬉しくって、多分、この時の私はニヤけていたと思う。
日本
ガタン、と椅子に腰を掛けると、ドイツさんはこっちを見て口角を上げた。
ドイツ
日本
図星を突かれ、目を逸らす。 そして口を開いた。
日本
冷や汗をかきながら、弱々しい声で言い返す。
ドイツ
日本
ドイツさんが納得してくれたことに安堵し、また黒板の方を向く。
先生
クラスメイト
気づけばHRも終わりを迎えていたようだ。 生徒の返事があった後、先生はガラガラと教室の扉を空けて廊下へ行ってしまった。
次の時間は英語、英語…… そうだ、彼に聞きたいことがあったんだ。
日本
ドイツ
日本
ドイツ
日本
ドイツさんの返答を聞くと、事前に準備してあった英語の教科書をリュックから取り出そうとする。その瞬間、前から高い声が聞こえた。
_____
突然の声かけに少し動揺する。
日本
_____
日本
その名前を聞いた瞬間、身をちょっぴり縮めた。 昨日ドイツさんから悪い噂を聞いたばかりだ。 何かされるのではないかと、ほんの少しだけ恐怖の感情が浮かび始める。
日本
_____
日本
まだ、悪い人には見えない。
ドイツさんの方を見ると、表情には出ていないが、なんとなく警戒しているような雰囲気があった。 口は固く閉じていて、細部まで見逃さぬようジロジロと___を見つめていた。
ドイツ
彼女が立ち去ると、ドイツさんは口を開き、小さな声で言った。
ドイツ
彼の物言いに少しビクッとする。
日本
そうだ、___さんは警戒すべき人物だ。 忘れてはいけない。
そう、心のなかに刻んだ。
ドイツ
日本
私がそう言った瞬間、 キーンコーンカーンコーン、と授業の始まりを告げる鐘がなった。
英語の先生
先生の話を聞きながら、横目でドイツさんのほうを見る。
ドイツ
改めてじいっと顔を観察してみると、かなり端正な顔をしている。 目尻は跳ね上がっていて、口の位置も完璧で____。
英語の先生
日本
観察途中に名前を呼ばれ、声が裏返る。 少し恥ずかしい。
日本
英語の先生
転校初日に難しい問題で当ててくるなんて、なんて鬼畜なんだこの人は。
日本
少しドキドキしながら言うと、先生はニカッと笑った。
英語の先生
彼はそう言うと、黒板に板書を始めた。
クラスメイト達は、私に対して尊敬の眼差しを向けていた。 私この問題わかんなかったのに、すごい! 日本って頭いいんだな。 うわー!すごい!これ解けたんだ! そんな声があちこちから聞こえた。
一部の人を除いて。
_____
彼女とパチリと目が合う。
日本
_____
一瞬だけ睨まれたあと、彼女は笑顔でそう言った。 目がグリッと開いた、怖い笑みだった。
日本
その威圧感に怖気づいてしまい、肩を震わせる。
ふと、ドイツさんのほうをちらりと見ると少し焦っているような、そんな顔をしていた。
彼は小声で声を上げた。
ドイツ
彼の顔は真剣だ。
日本
後から気づいたって遅い。 注目を浴びてしまった私は、確実にマークされただろう。
ドイツ
そう言ってくれるドイツさんは頼もしかった。
日本
安堵の笑みを浮かべると、ドイツさんは笑った。
キーンコーンカーンコーン…
6限目の終わりを告げるチャイムが鳴った途端、教室はわっと騒がしくなる。
日本
ため息をつき、椅子に背もたれをかける。
ドイツ
ドイツさんも疲れたのか、うめき声を上げている。
日本
ドイツ
これから言うことに、彼はきっと「いいぞ」と答えてくれるのだろう。 そんな期待に胸を躍らせていた
日本
にひ、と笑う
ドイツ
ドイツさんは、ぽかん、といった効果音がでそうな間抜けな表情をしたあと、優しく微笑んだ。
ドイツ
日本
予想よりもいい返事が返ってきて、少し照れてしまった。 それに気づいたのか、ドイツさんはいたずらな笑みをうかべる。
そうこうしているうちに、ガラガラ、と扉が開くと。 担任の先生が顔をのぞかせた。
クラスメイト
その言葉を合図に、教室のざわめくはピタリと止まった。
帰りのHRが終わったあと、真っ先に教室を出て、ドタドタと階段を駆け下りる。
日本
そう叫ぶとドイツさんは苦い表情をした。
ドイツ
そう、この学校には部活はないのだ。 敷地が狭いから運動部は活動できない。しかし、文芸部だけというのもどうなんだ、ということで、部活が全面廃止となっているのだ。
日本
ドイツ
頭をコツンと軽くつつかれる。 でも、その手つきはとてもやさしいもので、傷つける意思は一切ないものだとわかる。
日本
にぱっと笑うと、ドイツさんも笑った。
二人で並んで、学校の外に駆け出していった。
チャリンチャリン___
自転車の鈴の音が空一面に響く。
日本
顔にぶわっと当たる風と、横目に映る海の爽快さに感銘を受けた。
ドイツ
日本
ふんっ、と不満げに鼻を鳴らすとドイツさんは、ははっと笑った。
ドイツ
不意にキザなことを言うものだから、少し心臓が高鳴った。
日本
そう言うと、彼は口を閉じた。 そんな彼がいじらしく見えて、私はこう言った。
日本
ドイツ
そう言うと、彼は目を大きく見開き、キラキラとさせた。
日本
途端に、全てがおかしく思えて、思わず笑ってしまった。 もちろん、いい意味でだ。
日本
ドイツ
日本
ドイツ
ドイツさんは一瞬驚いたあと、柔らかい笑みを浮かべた。 彼らしくない、まるで愛しいものを見るような顔で。
ドイツ
ドイツさんの言葉で、身から幸せが溢れるような感覚になった。なんて例えようか、皮膚の隙間から感情が溢れ出すような、そんな感覚だ。 なんだが体がそわそわして、思わず口に出した。
日本
そう問うと、彼は口を上げた。
ドイツ
彼の言葉の続きは、もう予想できるものだった。
ドイツ
世界がたまらなく愛おしく感じられた。 花も、人も、草も、動物も。 今なら全てを愛せそうだった。
日本
分かれ道が見えてきたあたりで私はそういった。
ドイツ
今の波は普段よりいっそう穏やかだ。 少しだけチャパン、チャパンと水の跳ねる音が聞こえてくるだけで、いつものザザン、という音はしなかった。
ひとりでに、呟いた。
日本
日本
とても小さくつぶやいたものだから、この言葉が彼に届いているかはわからない。 でも、それでいい。
ドイツ
ドイツさんからの応答はなかった。
突然、キキィーっと自転車のブレーキがかかる音がした。
ドイツ
彼はそういった。 気づけば分かれ道に着いていたのだ。
日本
彼は少しだけ笑って、自転車のペダルに足をかけた。 夕陽を背に、影が長く伸びる。
ドイツ
短いその一言が、波の音に溶ける。
私は両手を大きく振った。
日本
沈みかけた太陽よりも、ずっと眩しい気持ちで。
あまぐも。
あまぐも。
あまぐも。
あまぐも。
あまぐも。
コメント
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まだあまりじっくりと読めていませんが…貴方の物語と絵が本当に好きすぎます…!!どうやってそのような透明感が出せるのでしょうか… よければ教えていただきたい… 本当に神です…!!遅れましたがフォロバ失礼致します…🙂↕️