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約15分後、教会
ギィッ…(教会のドアが開く)
瑞希
少し遅れて、仕事を終えた瑞希が教会にやってくる。
奏
奏
瑞希
カタン…(座る)
広い教会の会議場。 そこに置かれた円卓の周りに、村人達が座る。
集まった村人達の間には、長い沈黙が流れていた。
愛莉
ダンッ!!(机を叩く)
しかし、その沈黙は─ 1人の少女によって打ち破られた。
愛莉
愛莉
雫
雫
怒りと憎しみに満ちた目で、円卓に座る村人達を見回す愛莉。
怯えながらも、声を絞り出す雫。
まふゆ
まふゆ
まふゆ
興味無さげに呟くまふゆ。
みのり
みのり
一向に進まない議論に痺れを切らし、大きな声を上げるみのり。
瑞希
瑞希
ため息をつき、呆れ気味に発言する瑞希。
奏
まふゆ
そう。昨日の夜は天気が悪く、雨風が吹き荒んでいたのだ。 あの雨風の中、こんな森の中の小さな村に来る人間など… 余程の物好きしかいないだろう。
みのり
愛莉
愛莉
今にもヒートアップしそうな議論。 思わず愛莉が怒り任せに行動しようとした─その時だった。
遥
騎士以外の6人
疑心暗鬼に満ちる空気を切り裂くように、 騎士の遥がいつもの声でそう言葉を発した。
遥
遥
奏
みのり
遥
遥
雫
愛莉
まふゆ
遥
頼もしい遥の発言に、少女達は皆、期待を寄せた。
ゴーンゴーン
奏
まふゆ
雫
奏
愛莉
瑞希
瑞希
みのり
雫
愛莉
愛莉
遥
愛莉
夕刻が鳴り、まるで議論の終わりを示すようだった。 その夕刻を皮切りに、教会に集まっていた少女達は、 各々の自宅へと帰っていく。
そして─その日の夜。 人気のない墓地に…1人の少女の姿があった。
遥
遥
その少女は─皆を守る騎士・遥であった。
人一倍、責任感と正義感が強い遥。 大切な仲間であった絵名が殺されてしまった事を、 誰よりも悔やんでいたのだった。
遥
遥
見回りをしていた遥は、少し遠くに怪しい人影のようなものを 見つけた。
遥
遥が見つけた人影のようなものは、明らかに人間ではないような図体だった。 異様に背が高く、全身を黒い布で覆っている。
そしてその怪しい影の近くにいた人影に…遥は既視感を覚えた。
遥
遥
???
みのり
みのり
???
みのり
みのり
遥
遥
そう。怪しい影に襲われかけていたのは─ 遥の昔からの盟友・みのりだった。
遥
遥
???
怪しい影は─持っていた大鎌を振り上げ、 みのりに襲いかかった。
みのり
みのり
みのりは自分の死を覚悟した。
しかし─
ガキンッ!!
???
みのり
鎌の刃先がみのりに刺さることはなかった。 何故なら─
遥
遥
みのり
すんでのところで、遥が鎌の刃先を、 持っていた剣で受け止めていたからだった。
???
遥
遥
みのり
遥
遥
遥は、後ろに立ち尽くすみのりにそう叫んだ。 もう誰も…仲間を失いたくない。 そう思っての発言だった。
みのり
みのり
みのり
みのり
しかし、それはみのりも同じだった。 昔からの盟友を失いたくなどない。 昔からの盟友と離れてしまう事が…怖かったのだ。
遥
遥
遥
遥
『盟友』を守りたいのッ!!
遥
遥
みのり
みのり
みのり
自分を逃がしてくれた遥に背を向ける。 苦しみを浮かべた表情で、みのりは墓地を後にした。
みのりが墓地から走り去った後。 人気のない墓地には、怪しい影と遥の2人だけが残っていた。 剣と鎌の押し合いはまだ続いていた。
???
遥
遥
???
そう問いかけるも、怪しい影は言葉を発さない。
遥
そう遥が考えた─その時だった。
ググッ…!
遥
遥
遥が力を抜いた一瞬の隙をつき、怪しい影は鎌を強く握り締め、剣を押し返したのだ。
???
カキンッ!!
遥
咄嗟のことに対応しきれず、遥は持っていた剣を 弾き飛ばされてしまった。
???
そう呟き、怪しい影は抵抗手段を無くした遥に近づく。
遥
必死に叫ぶ遥。
しかしその声は…怪しい影には届かない。
地面に座り込んだ遥。 その時…遥は黒い布の隙間から見えた顔を見逃さなかった。
遥
遥
自分は死ぬのだと悟り、諦めを見せる。
その表情には…少しの寂しさが浮かんでいた。
遥
遥
???
ブオンッ…ザシュ
遥
遥
遥
遥
怪しい影によって…また1人、犠牲者が生まれてしまった。 窮地の仲間を救った少女は─夜の闇の中、盟友を襲おうとした〈悪魔〉の手によって殺された。