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「ねぇ聞いた?今朝のニュースのやつ。」
「見た見た!まじで怖いよね。映像の車ベコベコだったよ?」
「意外と犯人の人ここらへんに住んでたりして〜」
「ねぇ〜まじで怖いからやめてよ〜」
「ごめんごめん。」アハハ
窓の外から話し声が聞こえる。
今は朝の8時。ちょうど登校の時間帯だ。
…春の風が気持ちいい。
イズミ
カズミ
イズミ
カズミ
カズミ
イズミ
カズミ
箸を手にとって味噌汁を一口、すする。
温かい。
味噌の味がちょうどいい感じだ。
イズミ
カズミ
イズミ
カズミ
イズミ
カズミ
カズミ
…小さい頃、親には捨てられ、 親族にも施設からも拒絶され、 ずっと2人で生きてきた。
始めて罪を犯したあの日。 罪悪感は無かった。むしろ喜んだ。
これで当分、美味しい食べ物が 食べられる、と。
イズミ
イズミ
カズミ
カズミ
カズミ
この世界は悪意や憎しみで溢れている クセに、それをエンタメや笑い話として消化する人間で溢れている。
カズミ
イズミ
それでも俺がこうして生きている理由は きっと…
(通知音)
イズミ
カズミ
?
カズミ
イズミ
カズミ
(スマホを見せる)
イズミ
イズミ
カズミ
カズミ
イズミ
イズミ
カズミ
カズミ
(通知音)
カズミ
イズミ
静かな居間で、緊張を含んだ 静電気が跳ねるような感覚がした。
そして、互いに顔を見合わせる。
同時にコクリと、強く頷く。
カズミ
イズミ
じわりと湿った指先でスマホの画面に 触れ、離す。
カズミ
イズミ
スマホの画面から飛び出してきた 光の粒子が、俺達の周りに舞う。
『やぁ君達!驚かせてしまってすまない!』
イズミ
カズミ
『私の名はリリア!』
『突然だが、君達二人を ある街に招待したいんだ。』
カズミ
イズミ
青く淡い光が俺たちを包む。 足元に閃光が走り、魔法陣のような ものを描いてゆく。
『その名も"ロストタウン"。』
『世界中の悪党たちが 巣食う、失われた街さ!』
カズミ
イズミ
身を寄せ合ってそう叫ぶが、 声の主は俺達に一向に構わない。
『時間がない。これ以上は また今度にしよう。 さあ、身構えて!』
『いざゆかん!! 馬鹿共の世界へ!!』
「「ぎゃ/きゃあああああ!!!」」
この街に来てから3ヶ月経つ。
だが、ここでの暮らしには慣れる 気配もない。
毎日が理不尽の連続で、 気疲れも半端がない。
だが、最近やっと、仕事が板に ついてき始めた。
それもこれも、彼女のおかげだ。
(ドアが開く音)
ニル
ファルク
ファルク
ニル
ファルク
小さなかわいい頭を少し撫でる。
すると、両手を腰に当て、 自慢げにこちらを見た。
一挙手一投足が和ましい。
ニル
ファルク
思わず屈んで、肩を掴む。
ファルク
ニル
ニル
ファルク
思わず素っ頓狂な声が出る。
ファルク
ここはロストタウン。 悪党の救う街だ。優しさや親切なんて 欠片も存在しないはずだ。
少し、その二人に興味が湧いてきた。
ファルク
ファルク
ニル
ファルク
ニルの買ってきた紙袋から、何やら いい匂いがすることに気づく。
ファルク
ファルク
ニル
…
………
………キ
……ニキ
兄貴!
カズミ
イズミ
イズミ
カズミ
カズミ
イズミ
イズミ
イズミが差した指の先、褐色の荒れた 大地の上に、巨大な何かがそびえ立っているのが分かった。 それはまるで、大きな生き物のようで、巨大な工場のようでもあった。 点々と見える赤い光がこちらを 見ている。
その全貌が黒く禍々しい雰囲気に包まれていて、見るだけで萎縮してしまう。
静かだった風の音を、 ごゔん、ごゔん、 という鈍い音が空気を揺らす。
カズミ
つい口に出たその言葉も、 吹き抜ける風と街の鈍い声の中へ 消えていった。
Episode.1 失われた街
Profile.1 カズミ
カズミ
カズミ
カズミ