家に帰り、そのまま僕は就寝した
綜憂
ここはどこだろう。
真っ暗闇の中、僕は唖然と立ち尽くしていた
きっと、これは夢だ
"ボトッ…"
突如として、
背後にどこか鈍くて重苦しいような音が響いた
その音は、反響せずにスっと闇に取り込まれていった
その音はどこか奇妙で、摩訶不思議を感じさせる音だった
でも、好奇心をくすぐられ、後ろを見た
綜憂
見てしまった。
恐ろしさに、視界がよろめいた
そこにいた、
そこにあったものは、今まで生贄として死んできた人達だった
枯れてボロボロになった木にその人たちは首を吊っていた
そして、その木の元には、
トリカブト、ドクニンジン、彼岸花などの
有毒植物や、
タツミナソウなどの花が生い茂っていた
その植物らは、奇抜な配色で、ただそこに咲き誇っていた
そして、その花のそばで、落ちている奇怪なものに目が留まった
綜憂
1歩後退る。
そこに落ちていたのは紛れもなく、
数ヶ月前、
生贄として選抜された、
祭服を纏う母だった
綜憂
夢とわかっていても、それは偉くリアリティがあり、
吐気と悲しみが同時におしよせてきた
それを気に掛けるのもつかの間、
木にぶら下がる人達の首が、次々と縄からちぎれ始めた
次々に首と体がバラバラになり、ボトボトと人が落ちる
綜憂
声にならない悲鳴をあげる
そして、分かった
これは夢だということと、
僕の本心
いろいろな錯綜した感情の奥で眠る、
暗い宵闇の中に潜んだ本心
それは、大懸とにている、
周りの人の死にたいする、
不安や悲しみ、哀れみだった
すると、唐突に死体の重なる山のそばで、
手を顔に当てて、すすり泣く紗陰さんの姿が現れた
綜憂
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