テラーノベル
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あの瞬間の音だけは、 今でもはっきり覚えている。
――心音、止まりました
淡々とした医師の声。
その言葉が まるで現実味を持たずに、 耳を通り抜けた。
赤いランプ。
担架。
血。
緑川 jp
黄島 tt
体が、動かなかった。
“ボスが倒れる”という想定は、 頭の中で何度もしてきたはずなのに。
いなくなるかもしれない
という現実は
一度も、想像したことがなかった。
黄島 tt
黄島 tt
黄島 tt
たっつんさんが 叫んでいた
黄緑 sv
黄緑 sv
シヴァさんが 道を開けていた
なのにーー
僕だけが 少し遅れている気がした。
嫌いだったはずだ。
独断専行。
甘さ。
無駄な優しさ。
ボスとして 理解できない部分は山ほどあった。
それなのに。
担架が視界から消えた瞬間、 胸の奥が、異様に冷えた。
手術室の前。
赤いランプ。
僕は壁に背を預けて 自分の手が震えていることに気づいた。
青瀬 no
自問する。
答えは、すぐに出なかった。
代わりに思い出したのは―― あの人の背中だ。
いつも前に立っていた。
軽口を叩きながら 誰かを庇う位置にいた。
判断が甘いと思ったこともある
危険だと思ったこともある
それでも。
誰かを切り捨てる決断だけは、 一度もしなかった。
青瀬 no
弱さだと、思っていた
ボス失格だと、 心のどこかで、決めつけていた。
……手術は成功しました
その言葉を聞いたとき。
僕は 膝の力が抜けそうになるのを 必死で堪えた。
青瀬 no
その事実だけで、
胸が酷く熱くなった
その瞬間…… ようやく理解した
僕はーー
あの人を嫌っていたのではない。
“理解できない存在”として、 距離を取っていただけだ。
ボスとして完璧であってほしかった。
間違わないでほしかった。
でも……
間違いながら 誰も手放さずに進む人間を、 どう扱えばいいか分からなかった。
それが、 「嫌い」という形になっていただけだ。
元気に話すじゃぱぱさんに 僕は、安堵と同時に怒りを覚えた
だから、言った。
ボス失格だと。
一人で死ぬ覚悟をしたと。
あれは、 責任者としての言葉であり――
同時に
失いかけた人間への、恐怖の裏返しだった
【現在】
組が新体制に移行し 日常が戻りつつある今。
僕は、改めてじゃぱぱさんを見る
緑川 jp
緑川 jp
黄島 tt
……相変わらず抜けている
でも
緑川 jp
黄島 tt
以前より、 少しだけ後ろを振り返るようになった。
それだけで、十分だと思った
青瀬 no
完璧なボスではない
合理的でもない
でも……
誰かが倒れたとき 一番に泣く人間だ
そしてーー
そんな人を 僕はもう、失いたくない
嫌いだったはずの人
けれど今は
守るべきボスだ。
そう思える自分を 僕は、少しだけ誇らしく感じていた。
ーー[完]
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