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逆黒軍—本部—
幹部会議
総督
漆黒の夜。
逆黒軍本部の、帝庵宮(ていあんきゅう)
帝庵宮のなかでも最も広い、応接間の様な部屋
その部屋の奥でほのかに光る蝋燭(ろうそく)は総督の威厳を示している。
総督の姿は、すだれによって影しか見えないが、その上がる肩からは何となく、苛立っていることが伺えた。
紅玉
総督
総督
総督
紅玉
総督
紅玉—-。 総督の実の息子で逆黒軍第一陣総長を務める。
総督に対する礼儀はほかより浅く、敬語を覚えたばかりの子供のように
なんとなく敬語を話しているようだった
総督
紅玉
紅玉
紅玉
実は、紅玉の陣は毎日のように脱走者が出ては殺され、晒されている。
その殺し方はなんとも悪逆非道で、探し出してまずは原形を留めないほど何人かで滅多刺しし、切れ味の悪くなった刀で首を切るのだ。
1発で切れるはずもなく、何度も引くのだ。
紅玉
一陣一同
逆黒軍は本来、夜に出歩く将軍周りの役人を殺し、巡察するのが仕事だが、
紅玉の指揮する一陣はもはや、無差別殺人にも近かった
総督
次は自分に質問が成されるだろうと身構えていた颯詩は反射的に返事をした。
颯詩
総督
颯詩
総督
颯詩
紅玉
紅玉の罵りを颯詩は一切顔を見ず、受け流した。
颯詩は第二陣総長を務める十九歳の少年で、
紅玉とは違い、外部から入隊した身だった。
幼い頃に両親を将軍に殺され、復讐を図り、入隊したのだ。
総督
総督
総督
颯詩
こうして第一陣、第二陣の明日の任務が決定し、
第一陣は逃亡者の捕縛、及び殺害。 第二陣は休暇時間に入ったのだった。
和菓子屋ーたつみー
三鈴
三鈴(みすず) 代々続くたつみ屋の跡継ぎ娘。
柊奈
柊奈(ひな) 10歳頃、三鈴に弟子入りした。 現在は三鈴の妹のような立ち位置となりつつある。
柊奈
三鈴
柊奈は閉店のために店の幟をおろしにいくと、小走りで入口に向かった。
柊奈は入口に向かって、外に出ると何か良くない雰囲気を感じた。
柊奈
考えすぎず颯爽と外の幟や暖簾を片付けようと手をかけた時ーー
配達部
息を乱れさした一人の和菓子配達部の男が走って帰ってきたのだ。
柊奈
柊奈
配達部
柊奈
配達部
配達部の背負う木箱にはまだ一件分の和菓子を配達できていないように見えた。
普段は抜け目ひとつ無い彼だから、余計に柊奈は驚きをかくせていない様子だ。
柊奈
様子を見ていた三鈴も、心配そうな面持ちでこちらに走って来て配達部の顔を覗き込んでいた。
配達部
柊奈
三鈴
配達部
柊奈
三鈴
確かに、外に人の気配もなく、薄気味悪い雰囲気を醸し出していた。
配達部の男の顔も、青白く、まるで恐ろしいものを見た時のそれだった。
柊奈
配達部
三鈴
配達部
柊奈と三鈴は深刻な面持ちで互いを見つめあった。
配達部
柊奈
逆黒軍の噂は有名で、彼らは夜な夜な人を無差別に殺す集団として人々に恐れられている。
黒装束見るべからず。という言葉まで広がるくらい、有名だ。
柊奈
柊奈
柊奈はなんとか配達部を安心させるべく、そう言ってみたが、彼の顔は相変わらず青白い。
柊奈
配達部
三鈴
柊奈
三鈴
配達部
柊奈
配達部
三鈴
柊奈
配達部
柊奈
タッタッタッ
三鈴
配達後
柊奈
柊奈
大丈夫だとは思いながらも、やはり少し足早になる柊奈。
柊奈
タッタッタッ
もう少しで店に着くと安心し、曲がり角に差し掛かったその時だった。
???
柊奈
不意に聞こえた命乞いの声。
柊奈は反射的に角に身を隠し、息を殺してそっと声のするほうを覗いた。
謎の兵士1
謎の兵士2
謎の兵士3
???
グサッ、グサッグサッ
謎の兵士1
謎の兵士3
???
柊奈
三人の男が一人の男を滅多刺しにしていたのだ。
あまりの衝撃に、柊奈は身動きひとつ出来なくなってしまう。
柊奈
三人の男は皆黒装束。
柊奈
柊奈
三人の黒装束の男は、既に息絶えている相手に何度も刃を差し込んだ。
背中、手のひら、脚……。
この短時間にして、身体の原形はほとんど無いに等しくなっていた。
柊奈
このままでは自分も殺されてしまう。
そう判断した柊奈は咄嗟に逃げる手段を選んだ
柊奈
???
柊奈
踵を返そうとした柊奈のすぐ背後。
吐息に近い謎の声が首元にそわっとかかる。
柊奈
見れば殺される。
柊奈
柊奈はひたすらに息を殺して押し黙る。
???
柊奈
???
???
謎の声の主はそういうと柊奈の首に腕を回し、片方の手で刀の切っ先を素早く柊奈の首に当てた。
柊奈
???
耳元にその吐息がかかった瞬間、柊奈は自分は殺されると悟り、固く目を閉じた。
目を閉じていてもわかる白い閃光。 それが振り下ろされた時、首が飛ぶのだ。
柊奈
???
白い閃光が首をはねようとした矢先、 さらに背後からもう一人の男の声が耳に入った。