この世界に比べちゃ物凄くちっぽけな部屋の片隅で
僕らは生きている
高島
はぁ…
今日も上司に罵声を浴びせられ
彼女には捨てられ
両親に見放される
そんな生活だった
高島
俺は何のために生きている…?
ガラガラッ
細々と小さく並ぶ建物
遠くにあるが一際目につく駅
都会のようで田舎のようなこの町の
トレードマーク
高島はそこから出勤する
高島
明日、休むかな
駅の近くにある小さなボロい家
そこにはひとりの美しい女性がいる
高島
俺には生きてる価値もなにもない
高島
だったら…
高島
捕まったって良い
高島
最後に贅沢してやる
その小さな家には似合わない大きな窓がある
セキュリティがヤバイが
そこから住人がいるかいないか見える。
高島
ここは温厚な人達ばかりの田舎だもんな、ハハ
誰も気にしていない。
高島
明日、そこに入ってやろう
そして彼女はどこかに出掛けていった
高島
(分かりやすすぎるな)
高島
(毎日どこかに出掛けていることは分かっている)
高島
(グッドタイミング)
ガチャ
高島
うわ、無防備すぎんだろ…
高島
すぐに入れた
彼女は窓の鍵を閉めていなかった。
高島
案の定、だな
いつも電車を待っているときに眺めていると分かる
彼女の朝の日課は窓を開けて空気に触れることだ
出掛けるときも鍵は閉めない
高島
あの人も、住む家が悪かったな…
ガチャ
高島
…⁉
なに、誰かいるの…?
高島は咄嗟に押し入れに隠れた。
高島
(ヤバい、くしゃみが…)
高島
クシュンッ(>ω<)/。・゜゜・
高島
(あ…)
え…⁉
押し入れのなかだよね…
高島
(ヤバい…‼)
ガラガラッ
だ、誰かいますか…?
居るなら、返事もらえませんか…?
高島
(は…?)
高島
(いや、俺、バレてないのか?)
高島
(いや、目合わなかったか?)
高島
(どういうことだ…)
いないの…?
お母さん、お父さん…怖いよ…
どうすれば良い?ひとりじゃ何もできない…。