ないこ
俺は人の名前を呼ぶのが好きだ
相手が反応してくれるのが嬉しくて楽しくて
そんな俺が最後に「ほとけ」と呼んだのはいつだっただろうか
いむしょーが高2になってからなんだか家が暗かった
あんなに仲の良かった双子の間の空気が以前とは違ったからかもしれない
俺はそれを感じとった
その雰囲気にあわせて行動した
だからか、名前を呼ぶことも減った
なんか喧嘩でもしてるのかなって最初は思ってた
喧嘩ぐらいならほっといても平気だろって
俺も忙しいしって
あの時感じた違和感
無表情な弟と
泣きそうな顔をした弟
いつもの喧嘩なら兄の方が声をかけて
弟も謝って
それで笑って終わっていたはずなのに
片方は何も考えていないかのような
もう片方はすごく苦しんでいるかのような
あの表情を
あの声を
追求したら日常が壊れてしまう気がして
目を逸らしていた
弟の笑顔を見られなくなるなんて考えもしなかった
なにも分かってやれてなかった
見ていてやれなかった
あいつなら
ほとけなら大丈夫だって、なんとなくそう決めつけて
ほとけだってまだ子供なのに
まだまだ小さい
あの背中に俺は
大きな闇を背負わせてしまった
コメント
7件
これ5ターン目ですけど全然飽きません、、、、、
ほんとに、この話いつ読んでも最高ですし、「小さな背中に俺は、大きな闇を背負わせてしまった」という終わりが、めちゃくちゃ大好き&お気にです!✨ 話書くのが上手くて、尊敬してます👏( * ॑꒳ ॑* )✨