大翔
拓海、お前のことが好きだぜ
拓海
えっと……
拓海
ありがとう
拓海
でも死体を椅子にするのはやめなよ
大翔
別にいいだろ
大翔
俺は拓海さえいればいいんだ
大翔
他の人は殺しても構わない
拓海
ごめん
拓海
愛が重くて無理だよ……
大翔
なんで?
大翔
俺はこんなにも愛しているというのに
大翔
そうだ
大翔
拓海の目玉をくり抜けば
大翔
ずっと一緒にいられる
拓海
待って、話せばわかるって
大翔
君のその茶色い瞳
大翔
とても綺麗だ
大翔
俺のコレクションにしないと
拓海
わ、わかった
拓海
僕も好きだから
拓海
そういうことやめて!!
大翔
本当に好きなの!?
大翔
じゃあなんで無理なんて言ったんだ?
大翔
理由を説明してくれ
拓海
威圧がすごかったから
大翔
ふーん、相変わらずビビリなやつだ
大翔
でもこれで俺のものに……
悠真
二人とも面白そうな話してるじゃん
悠真
俺も混ぜて
大翔
嫌に決まってんだろ
大翔
どっか行け
悠真
いくわけないじゃん
悠真
それに拓海を愛していいのは、俺だ
大翔
なに言ってるんだ!?
大翔
拓海を愛していいのは俺だ
拓海
二人とも落ち着いて
悠真
拓海、俺のこと愛してるよな?
悠真
俺は君のこと殺したいほど好きなんだ
悠真
殺したら
悠真
薔薇の入った棺桶の中に入れてあげるよ
拓海
遠慮しておきます
大翔
あぁ!?なんだと!?
大翔
拓海を殺すとかそんなことするんじゃねえ
大翔
確かに燻製にして飾っておきたいが
大翔
それは別の話だ
大翔
俺は生きている拓海が好きなんだよ
大翔
それ以外はいらねえ
大翔
殺すぞ
悠真
殺してみたけりゃ殺ってみろよ
拓海
二人ともこんなところで喧嘩しないで!!
二人はナイフを取り出し 殺し合いを始めた
ここは「楽代」高校
囚人となった人間と普通の人間たちが住んでいる高校で
別名「殺人鬼高校」と呼ばれている
主人公である拓海は 殺人をしていないが
免罪で逮捕されてここにいる
治安は非常に悪く そこら辺に死肉が転がっているのだ
拓海
(二人とも喧嘩してる……)
拓海
(逃げよう……)
拓海
ここなら誰にも見つからないな
拓海
さて、昼ごはんでも食べよう
仁
あれ?
仁
拓海じゃないか
仁
一緒に食べないか?
拓海
仁さん!?
拓海
大丈夫ですよ
仁
ありがとう
彼が隣に座ったのと同時に 弁当を開けると
そこには美味しそうなものが ずらりと並んでいる
仁
売店で買ったんだね
仁
美味しそうじゃん
仁
特に卵焼きとか生姜焼きとか
拓海
そうですね
拓海
仁さんのパンも美味しそうです
拓海
いつもジャムパン買ってますね
拓海
好きなんですか?
拓海
僕も実はジャムパン、大好物なんです
仁
甘いのが好きなんだ
仁
キャンディーとかチョコレートも好きだけどさ
仁
食べすぎると虫歯になるよなぁ
仁
ははは
拓海
でも仁さんの歯って綺麗ですよね
拓海
憧れます
拓海
僕なんて歯並び悪いですし
仁
そんなことないよ
仁
拓海もとても綺麗だ
拓海
ありがとうございます
拓海
あ、お茶にしたんですね
拓海
僕もです
仁
確かに炭酸ジュースもいいけど
仁
たまにはお茶にしようと思ってね
拓海
同じ種類なんて偶然ですね
仁
たまたまだよ
二人は弁当を食べ終わると 拓海は立ち上がる
拓海
僕はそろそろ教室に戻りますね
仁
ああ、俺も後で戻るさ
拓海がいなくなった後 彼は盗聴器を取り出した
イヤホンを耳につけて 先ほどの会話をリピートする
仁
ああ、拓海の声
仁
癒されるな
仁
あの話し声、大好きだな
仁
他の人を殺したくなるけど
仁
我慢しないと
仁
あいつに嫌われてしまう
仁
頑張らないとな
拓海
次の授業までまだ時間あるな
拓海
それにしても相変わらず死体だらけだ
拓海
しかも生徒がまた減ってる……
大翔
やあ、拓海くん
拓海
(服が血まみれ……)
拓海
な、なに!?
大翔
俺の物になる気はないのか?
拓海
僕は誰の物でもないです
大翔
はは、照れているんだな
大翔
可愛いやつめ
肩を掴まれて抱きしめられる
拓海
っ……!
拓海
(なんでドキドキしてるんだ!?)
悠真
おい、俺の拓海に触るんじゃねえ
大翔
怪我人はさっさと保健室行けよ
悠真
ちっ
悠真
これくらいの傷、どうってことはねえ
立ち上がると彼はふらついてしまう
大翔
ほらみろ
大翔
保健室に行くんだな
悠真
わかった
悠真
今回だけは見逃してやる
悠真
次はねえからな
悠真は行ってしまう
大翔
さあ、キスでも……
海斗
クク……
海斗
拓海は僕のものさ
大翔
海斗!?
大翔
なぜあなたが……
拓海
えっと……
空気が重くなっていた
海斗
君が拓海?
海斗
可愛い顔してるね
海斗
ねえ、僕のおもちゃになってよ
拓海
嫌ですよ
拓海
おもちゃになんか
海斗
拒否権なんかないよ
拓海
え?
海斗
この男より僕のおもちゃになった方が
海斗
人生楽だよ
拓海
そんなわけないだろ!!
拓海
もうすぐ授業だから静かにしろよ
海斗
それもそうだね
海斗
後でいっぱい遊んであげるよ
そう言うと、教室から出ていく
大翔
くっそ
大翔
あいつは恐ろしいやつだ
大翔
俺も逆らえねえ
拓海
え?
拓海
そうなの
大翔
ああ
大翔
あいつは好きな男を見つけたら
大翔
暴力を振るうんだ
大翔
俺は拓海が傷つくのは嫌だ
大翔
行くんじゃねえぞ
拓海
ありがとう
拓海
でも行かないとめんどくさそうだし
大翔
死んでも知らねえぞ
大翔
俺は止めないぞ
拓海
ありがとう
拓海
まさか大翔に止められるなんてね
大翔
(初めて名前で呼ばれた……)
大翔
もっと名前で呼んでくれないか?
拓海
え?
拓海
大翔?
大翔
そうだ
大翔
俺はそっちで呼ばれた方が嬉しい
拓海
そうなんだ
拓海
じゃあそうするね
ニコリと微笑むと 大翔の顔が真っ赤に染まる
大翔
(可愛い。俺の物にしたい)







