テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

モノクロだった世界を変えてくれたのは、キミでした。

第1話 - モノクロだった世界を変えてくれたのは、キミでした。第1話

21,820

2020年07月06日

#青春恋愛

#いじめ

#先輩後輩

#切ない

春野せり

由香の母

アンタなんか産まなきゃよかった！

立花　由香

…っ

立花　由香

（また始まった…。いつものヒステリック…）

立花　由香

（今回も彼氏とうまくいってないのかな？）

由香の母

アンタの父親と別れてから、誰がアンタの面倒を見てきたと思ってるの！？

由香の母

私でしょ！？私がひとりで育ててきたの！

由香の母

なのに、恋愛のひとつもさせてくれないなんて…っ

立花　由香

（ねぇ、それは…私のせいなの？）

お母さんは高卒ですぐに私を産んだらしい

私が小学生の頃に離婚してからは、女手ひとつで育ててくれた

立花　由香

（それはありがたいことだし、私だってお母さんにはまだまだ恋してほしいよ…？）

立花　由香

（でも…）

由香の母

アンタがいるから、またフラれたじゃない！

立花　由香

え…

由香の母

子どもがいることを隠してた時だってあったけど

由香の母

結局はバレる…

立花　由香

私、なにか邪魔したかな？お母さん…

由香の母

いつもいい感じになると、フラれるんだから！

由香の母

存在自体がもう邪魔なのっ！！

バチンッ！

お母さんが私の頬を思いきり引っ叩く

立花　由香

いたっ…

立花　由香

（ねぇ…それは、やっぱり私のせい？）

立花　由香

（…そっか…。私なんて生まれてこないほうがよかったのかな…）

由香の母

アンタなんか…アンタなんか…っ

お母さんは一度キレると、なかなかおさまらない

立花　由香

（いつものことだけど…今日は普段より虫の居所が悪そう）

立花　由香

（こういう時は、部屋になかなか戻らせてもらえない）

立花　由香

（お母さんは私にあたることで、自分の気持ちを落ち着かせているんだよね）

立花　由香

（私が悪いんだから…私が生まれてきたから…仕方ない…）

立花　由香

…っ

私は日々、お母さんからの罵声や暴力に必死に耐えていた…

翌日の朝

森島　茜

おはよう、由香

立花　由香

おはよう

森島　茜

…？

森島　茜

ねぇ、由香。その頬の傷…もしかして──

立花　由香

大丈夫だよ。うん、大丈夫…

森島　茜

（まだなにも言ってないのに…自分に言い聞かせるみたいに『大丈夫』って…）

森島　茜

由香、私にはちゃんと話してね？心配だから

立花　由香

…うん、ありがとう。でもこれはほんといつものことだから…

森島　茜

（だから、心配してんでしょうが！）

森島　茜

児童相談所とかもあるし、もちろん、私も相談には乗るからね？

立花　由香

うん…

立花　由香

（茜は事情を知ってるから、たまに相談に乗ってもらってるけど）

立花　由香

（そんなしょっちゅう話すわけにも…ね）

野呂　正弘

森島ちゃん、立花さん、おはよう

森島　茜

あっ、野呂くん！おはよう

立花　由香

…おはよう

立花　由香

（野呂くんは、うちのクラス委員で勉強もできて明るい人なんだよね）

立花　由香

（チャラいとかそういう意味じゃなくて）

立花　由香

（私がいる世界とは真逆の世界にいるような人…）

野呂　正弘

立花さん…何か思いつめたような顔してるけど大丈夫？

ビクッ

立花　由香

（そんな風に顔を覗き込まないで…傷…見られちゃうっ）

森島　茜

…！こ～ら、野呂くん…由香がびっくりしてるでしょ笑

森島　茜

急に覗き込まないのっ

野呂　正弘

あっ、ごめんね？

立花　由香

ううん…

立花　由香

（野呂くんに悪気があったわけじゃないのは分かってる）

立花　由香

（けど、怖いんだよね…男の子が。男性が…）

立花　由香

（茜…ありがとう。また後でちゃんとお礼言わなきゃ）

すると、茜がポンポンと肩を叩いてくれた

『大丈夫だよ』とでも言うように──

立花　由香

（ほんと、茜には何度も助けられてる…）

野呂　正弘

そういえば、森島ちゃん…昨日の──

立花　由香

（そういえば…野呂くんは、前から茜と仲いいんだよね）

立花　由香

（お母さんも、野呂くんみたいに優しい人だと続くのかな…？）

立花　由香

（って、なに考えてんだろ…私）

立花　由香

（学校にいる時くらい、お母さんのこと忘れよう）

翌日の放課後

クラスの女子

立花さん、隣のクラスの男子が呼んでるよ～。空き教室へ来てほしいって

立花　由香

えっ

森島　茜

…っ。どうする？行くの？

立花　由香

どうしよう…

森島　茜

私も一緒に行こうか？

立花　由香

でも…。茜はここで待ってて

森島　茜

大丈夫なの？

立花　由香

大丈夫…。もしそういう話ならちゃんと断れるし

森島　茜

まぁ…由香自身が大丈夫っていうなら…うん、分かった

森島　茜

ここで待ってるね？

立花　由香

うん

森島　茜

（あの子、キレイだし性格いいから…ちょこちょこ告られてるんだよね）

森島　茜

（最近は断る術を覚えたみたいだから）

森島　茜

（そういう話だったら、相手の顔を見ずに断ってるみたいだけど）

森島　茜

（まぁ相手の男子からすれば、顔も見ずに断られるわけだからかわいそうだけど）

森島　茜

（今の由香に恋は厳しいよね）

森島　茜

（ひとつ上の中野先輩みたいな人なら、由香も心を開くかなぁ…？）

森島　茜

（あの先輩、学年や男女問わず優しく接してくれるんだよね）

隣のクラスの男子

なんかごめんな。急に呼び出したりなんかして…

立花　由香

ううん

隣のクラスの男子

立花さんのこと前から気になってて…その…もしよかったら俺と──

立花　由香

ごめんなさい

隣のクラスの男子

…っ

立花　由香

私、今…恋とかそういうのあまり考えられなくて…

立花　由香

だから…あなたとは付き合えません…

立花　由香

ごめんなさいっ！

そう言い残し、私は逃げるように教室を飛び出した

森島　茜

あっ…

森島　茜

（ほんとすぐに戻ってきたな…）

立花　由香

お待たせ…。帰ろう？

森島　茜

うん、それはいいけど…。やっぱりそういう話だったの？

立花　由香

うん…。前から気になってて…って言われた

森島　茜

で、断ったの？

立花　由香

うん…申し訳ないなぁとは思ったけど…今の私には無理だし…

森島　茜

まぁ…そうだよね。うん、それでいいと思うよ

森島　茜

（いつか、きっと…由香のこと分かってくれる人が現れるよ）

森島　茜

（それまでは私が守ってあげるからね！）

森島　茜

じゃあ、帰ろっか！

立花　由香

うん

数日後の夕方ごろ

学校から帰ってきて家の中に入り、鍵を閉めた瞬間

ピーンポーン…

立花　由香

（誰だろう？）

ドアスコープを覗くと、見知らぬ若めの男性が立っていた

訝しげに思いながらも、そっとドアを開ける

30代半ばくらいの男性

どうも。あっ、もしかして娘さん？

立花　由香

…はい、そうですけど

30代半ばくらいの男性

お母さんはまだ帰ってきてない感じ？

立花　由香

はい…

立花　由香

（なに、この人…ジロジロ見てくるんだけど）

30代半ばくらいの男性

へぇ…キレイだね

立花　由香

えっ…

ドンッ！

立花　由香

いたっ…

私はその男に突き飛ばされ、玄関に倒れてしまった

ガチャ

男はズカズカと中に入ってきて、ドアの鍵を閉めた

30代半ばくらいの男性

君のお母さんと付き合ってるんだよね、俺

立花　由香

…っ

立花　由香

（この人は危ない…！）

そう感じた時にはもう遅かった

30代半ばくらいの男性

お母さんもまだまだ若いとは思うけどさ、娘さんには負けるよね笑

男は私に馬乗りになり、両手首を頭上で組み敷く

立花　由香

いやっ！…んんっ

立花　由香

（押さえつけられて、口もふさがれちゃった…！）

30代半ばくらいの男性

痛くしないからさ、静かにしてくれる？

立花　由香

（しかも、馬乗りになられてるから動けない…っ）

立花　由香

んん～ん～！

30代半ばくらいの男性

静かにしろって、マジで

30代半ばくらいの男性

おとなしくしてたらすぐ済むからさ…

ゾクッ

立花　由香

…！

その男の怪しい表情に体が反応し、恐怖で声も出なくなる

30代半ばくらいの男性

ははっ。素直じゃん…

立花　由香

…っ

私が声を出さないことをいいことに

その男は私の口元から離した手をスカートの中に入れ、太ももを撫でる

立花　由香

（やだっ…気持ち悪いっ…怖いっ…）

立花　由香

（誰か助けて…っ）

そう思っていても、家には誰もいない

立花　由香

…っ

30代半ばくらいの男性

やっぱ、母親とは違ってスベスベだな…高校生の肌は笑

30代半ばくらいの男性

上はどうかな？

そう言って、頭上で組み敷いている手はそのままに

男はもう片方の手でブラウスのボタンをはずしていく

立花　由香

（もういやっ！）

立花　由香

…っ！！

ドスッ！

足が自由に動くことに気付いた私は、男を思いっきり蹴り飛ばした

30代半ばくらいの男性

うわっ…！

頭上で組み敷かれていた手がほどけた瞬間、急いで起き上がり

私は近くに置いていた鞄だけを持って家を飛び出した──

立花　由香

…っ

立花　由香

（お母さん、何であんな男と…っ）

ドンッ！

前も見ずに走っていた私は、誰かとぶつかってしまう

中野　翔也

おっと、ごめん！…大丈夫？

立花　由香

…！

立花　由香

（中野先輩…！？何でこんなとこに…！）

モノクロだった世界を変えてくれたのは、キミでした。

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

21,820

16件

30代の男がもしさっきみたいにされた時の私の反応：私｢いや待て待てお前勝手に他人の家に乗り込むとかまじ不法侵入だよ、キモすぎてびっくりドンキーなんだけど殴〇ねぇぇぇはい！乙どぇぇす

30代半ばくらいの男性(*｀Д´)ノ！！！ﾕﾙｻﾝ

春野せり

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

モノクロだった世界を変えてくれたのは、キミでした。

第1話 - モノクロだった世界を変えてくれたのは、キミでした。第1話

作者の他の作品すべて見る

#青春恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

モノクロだった世界を変えてくれたのは、キミでした。

第1話 - モノクロだった世界を変えてくれたのは、キミでした。 第1話

作者の他の作品すべて見る

#青春恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

第1話 - モノクロだった世界を変えてくれたのは、キミでした。第1話

#青春恋愛の新着小説
一覧