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2 - 第2話

2024年05月23日

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椎葉side 3年前8月某日。 トレーニングや食事に関した 本が読みたくて 近くの図書館にやってきた。 目の前に並ぶ本を見つめながら 目当ての本を探し回る。 中々見つからずにいつの間にか 現代小説のコーナーに入っていて 不意に気になった本に 手を伸ばした。

椎葉

あ、すいません。

美羽

こちらこそすいません。

偶然同じ本を取ろうとして 手がぶつかってしまった。 見た感じ大学生ぐらいの 小柄な女性だった。

美羽

その本好きなんですか?

椎葉

いや、なんか気になって。この本よく読むんですか?

美羽

はい。この本主人公の彼氏と病気持ちの彼女の物語で…

余程好きなのか あらすじを話し始めた女性。 改めて彼女を見ると たぶん同い年で肌が白く透明感がある 女性の第一印象だった。 そんな事考えてたら 不思議そうに俺を見あげる。

美羽

なにかついてますか?

椎葉

いや、なんもついてない。あ、ひとつ聞きたいんですけど…

美羽

なんでもどーぞ。

椎葉

食事とかトレーニングの本ってどこにありますか?

美羽

えっと、トレーニングの本が隣の本棚にあって、栄養学系の本なら私が持ってる本が1番分かりやすいかも…

椎葉

え?

美羽

あ、名乗ってませんでしたね。今四国にある通信制の大学に通ってる佐々木美羽です。栄養学について勉強してて。

椎葉

何年生まれ?

美羽

2001年の10月生まれ。

椎葉

それじゃ同い年…

美羽

え?ほんと?

椎葉

俺、2002年の3月。早生まれだけど。

新しい友達ができたように 嬉しそうに笑う彼女。 俺も軽く自己紹介した後 栄養学について教えてもらうため 彼女が勉強してる机に向かった。

しばらく栄養学について 教えて貰って ひと段落着いた頃には 図書館を出た。

椎葉

ていうかなんで通信制の大学?

美羽

元々身体が弱くて。小さい頃から入退院繰り返す生活だった。

椎葉

そっか。

美羽

今夏休みだからここから近い実家に帰ってる。

美羽ちゃんの話を聞きながら 夏の暑い時期に鳴く蝉の声に 意識を傾ける。 不意に地域の掲示板に目が行き、 ポスターに目を通していると とある紙に目がいった。

椎葉

ねぇ、明後日なんか用事ってある?

美羽

なんも無いけど、なんで?

椎葉

花火大会あるらしいけど、一緒に行く?体調が良ければの話だけど。

美羽

行きたい。

椎葉

ほんとに大丈夫?親御さんとか。

美羽

高校に上がったらそんなに干渉してこなくなったから全然大丈夫。

椎葉

まぁ身体弱かったらそらそうか…

美羽

最近調子いいから大丈夫。多分。

椎葉

多分が1番心配なんだけど…

そんな些細な出来事から まずは友達から始まった2人。 彼女の夏休みの間、予定が合う日に 夏祭りに図書館で勉強。 遠出は出来ないから 近くの川で水遊びを一緒に過ごした。

初めて会った日から 2年後のとある日。 付き合い始めて もうすぐで9ヶ月。

美羽

え?なんで徳島に?

椎葉

独立リーグに加入することになった。

徳島で活動している 独立リーグに加入することになり 練習場に近いところに引っ越した。 ひと通り荷物の整理が終わり ご近所周りをしてたら 偶然隣の家の方が 彼女の美羽のとこだった。

美羽

まぁいいや。お茶がいい?それともりんごジュース?あ、オレンジジュースがいい?

椎葉

お茶で。

美羽

はーい。

そんなに重く受け止めてないのか いつも通りに接してくれる美羽。 初めて会った時から 夏休みと冬休み以外に 会うってなったら 2ヶ月や3ヶ月に1回会うのが多かった。 付き合ってからは 俺がここに来るまで 遠距離で生活していた。

美羽

剛がここに来るの初めてよね?確か。

椎葉

うん。なんか新鮮。

美羽

今日の晩御飯の予定とかある?

椎葉

特にないけど…

美羽

だったらうちおいで。ご飯まとめて作る。

椎葉

いいの?

美羽

引越し祝い。今からスーパー行くから荷物持ちお願いしていい?

椎葉

行く行く。何するの?

美羽

いま言ったら面白くないから予想して。準備するから待っててー。

エコバックとお財布にスマホを カバンに詰めて 冷蔵庫の中を確認し メモに書いていく美羽。 のんびり気ままに待っていると スーパーに行く準備ができた 彼女に声をかけられ 外に向かった。

現在。 これまでの思い出に浸りながら 手元の小説に目を通す。 最後の1行を読み終え 外を見ると 夕焼けが綺麗に映っていた。 美羽がいるベットを見ると いつの間にか夢の世界に入っていた。 頬を触ると熱は下がっている様子。 しばらく頬を触っていると うっすらと目を開けた。

美羽

いま何時…?

椎葉

今、5時過ぎ。身体どんな感じ?

美羽

さっきよりかはだいぶマシな気がする。

来た時よりも 顔色が良くなった気がする。 そんなふうに彼女の顔を見てたら 布団の中に潜り込んだ美羽。

美羽

ていうか初めて会った時も不思議そうに見てたよね。

椎葉

背が小さいなって思ってた。

美羽

剛が身長高いせいだって。

椎葉

平均身長よりかは高いけど。

美羽

ていうかその小説全部読み終わったんだ。私が寝てる間に。

椎葉

うん。何度も見てるからあらすじ覚えた。

美羽

小説に出てくる2人と似てるよね。私たち。

椎葉

まぁね。所々違う部分あるけど。

小説に出てくる2人は 熱を出した彼女が 発熱の影響で両目を失明する 内容になっているが 美羽は今のところ 俺と目が合ってるし そんなことはないだろうと思っている。

石黒side 純矢から剛のカップルの成り行きを ざっくり聞き、 なんとなく暖かいような 寂しいような感情が入り交じっている。

西純

んで、その小説がこれ。

石黒

それって、ちょっと前に映画化されたやつじゃん。

藤田

ちなみに剛のカップルも2人で見に行ってる。

西純

俺も剛に勧められて読んだけど、なんとなく似てんだよね。小説に出てくる2人と剛のとこ。

藤田

確か彼女さん熱出して両目を失明するんだよね。確か。

石黒

剛のとこ?

藤田

いや小説の方。

西純

剛の彼女も熱出してたよな。

石黒

小説通りだったら両目失明…?

藤田

なんか怖い。気の所為にしとこ。

話を逸らすように 野球の話に移った俺らの会話。 小説の中のカップルと 似たような道筋に立つ 剛を思い浮かべると なにか不吉な予感がするのだった。

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