ベンチに座る私の ジャンパーのチャックを、
衛輔先輩が 上まで閉めくれる。
夜久衛輔
こんな時間に一人で危ないだろ
夜久衛輔
風邪ひくぞ
咲川向葵
はい……
夜久衛輔
…大丈夫か?
咲川向葵
はい
咲川向葵
でも本当に終わっちゃったんだなって
夜久衛輔
お前はまだ2年あるだろ
咲川向葵
そうだけど…
咲川向葵
先輩と部活できるのも学校で会えるのも、もう残り少なくて…
試合後に散々泣いたのに ボロリと涙がこぼれる。
吐いた息が空中に白く広がる。
咲川向葵
いつでも会いたいと思えば当たり前に会えたのにもう気軽には会えない
咲川向葵
せっかく恋人になれたのに…
咲川向葵
だって衛輔先輩は…
咲川向葵
( ロシアに行っちゃう )
と、顎に手が添えられて 上を向かされる。
唇が触れ合って、 ちゅっと名残惜しそうに離れた。
夜久衛輔
たしかに向葵一人日本に置いてく事になる
夜久衛輔
簡単に会えなくなる
夜久衛輔
だけど、俺がお前のこと好きなのは変わらない
衛輔先輩の手が私の手を包む。
冷えた指先が、 氷が溶けるように少しづつ温まる。
夜久衛輔
だから俺もお前も大人になった時、
夜久衛輔
俺に着いて来てくれないか?
咲川向葵
!!
あの聖夜みたく、 大好きな瞳が私の心を射止める。
咲川向葵
っ、はい
咲川向葵
約束です
咲川向葵
ずっと待ってますから
夜久衛輔
必ず迎えに来る
後頭部に手が添えられて 引き寄せられる。
衛輔先輩の胸に 顔を預けて腕を回すと、
ギュッと強く抱き締められた。
夜久衛輔
大好きだ
咲川向葵
私も大好きです!
咲川向葵
これからもずっと!
もう涙は流さない。 約束したから。
私は衛輔先輩を信じてるから。
たとえ離れ離れになることが 分かっていても、
ずっとずっと この思いは変わらない。
咲川向葵
私に恋を教えたからには、大切にしてくださいね
夜久衛輔
もちろん
夜久衛輔
幸せにするって約束する
咲川向葵
プロポーズですか?
夜久衛輔
それは大人になったらな
咲川向葵
ず、ズルいです!
咲川向葵
かっこよ過ぎます…
夜久衛輔
お前はかわいいな
咲川向葵
…もっと言ってください
ふっと同時に 吹き出したのを合図に、
2人分の笑い声が 夜空に広がった。
これはお互いに 恋を教え合った私達の話。
恋 を 教 え て
fin







