元貴の家に行く気にはどうしてもなれなくて、昨日は久しぶりに自分の家に帰ってきた。
懐かしくすら感じる自分の部屋でぼーっとしているとふと鏡に映った自分が見えた。
目の下にはクマが浮かび、少し痩せた気もする。
クマはコンシーラーで隠しているが痩せたのは隠せないため、どうしても疲労感が出てしまう。
気づいたら家を出る時間になっていた。
涼架
弱々しく呟いて、ゆっくりと家を出た。
職場に到着すると、既に若井がデスクに向かっていた。
滉斗
いつも通り元気で話しかけてくれる若井に僕も答えないと、
涼架
涼架
きっと涼ちゃんはいつも通りのように見せたかったんだろう。
でも、涼ちゃんの笑顔は痛々しいほど作ったものだった。
滉斗
聞いてみようと思ったけど涼ちゃんはもう仕事を始めていてタイミングを逃してしまい、ただ今は様子を見ることしか出来なかった。
お昼休み、外の空気を吸いたくて屋上に来た。
風に吹かれながら空を見上げる。
綺麗な青空なのに、頭の中が元貴の事や浮気してる相手の人のことでいっぱいになってしまう。
涼架
好きだけど、辛い。でも離れるのはもっと辛い。
どうすればいいんだろうと考え込んでいると、屋上の扉が勢いよく開いた。
滉斗
涼架
滉斗
涼架
滉斗
滉斗
…あぁ、きっと若井は僕が屋上から落ちたりするんじゃないか心配してここまで来てくれたのだろう。
涼架
滉斗
涼架
慌てている若井を見ていたら久しぶりに笑えてきた。
涼架
笑いと同時に自然と涙も溢れてきてしまった。
恥ずかしくて後ろを向こうとすると若井に肩を抑えられた。
滉斗
涼架
滉斗
滉斗
滉斗
涼架
若井の嘘偽りのない真っ直ぐな目と言葉に縋り付きたくなる気持ちを必死に抑える。
若井ならきっと僕の事を助けてくれるだろう。
……、
でも、相談するのが怖い。いま僕が必死に保ってる何かが崩れてしまいそうな気がしてしまう。
涼架
滉斗
その言葉に頷いて、そのまま走って屋上から出てしまった。
涼架
心の中でそう呟きながら自分の弱さを責めた。
滉斗
涼ちゃんが逃げるように走っていってから数分間、俺は絶望していた。
頼って欲しかったから、涼ちゃんの気持ちを考えずにどんどん畳み掛けてしまった。
悩みを話して欲しくて、わざと涼ちゃんが言うように酷い言葉も使ってしまった。
涼ちゃんに嫌われたかもしれない。
俺はこのまま脳内反省会でお昼ご飯を食べ損ねてしまい、休憩時間も終わってしまったので急いで自席に戻った。
コメント
4件
フォロ ~ 外れてました … 💦 最高です !!!!
もう本当に次回が楽しみです!!