テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
この世界には人以外にも誰かが住んでいる。それは動物や植物という意味ではなく霊的な意味で。
学生
この学生は今日で中学を卒業する。しかし学校は中高一貫であるため卒業らしく友達と別れて寂しい、来年は新しい友達ができるか心配だなぁ、といった感情はなく一つの節目といった感覚しかない。
学生
そういって学生は家に帰って友人とオンラインでゲームをした。この学生のオンラインゲームでは仲間とボイスチャットで会話をすることができる。
学生
そうして何気ない会話やゲームをしていて気づいたら夜になっていた。
学生
こうして学生の中学校生活は特に大きなイベントもなく幕を閉じた。ちなみに卒業式は学校が中高一貫であるため高校三年生の時しか行わない。そのため卒業証書は貰うが卒業の感覚はあまりない。そしてベッドに入って眠った。
学生は夢を見ていた。特にこれといったものはなく、限りない空間と自分がそこに存在しているという感覚だけがある。夢のはずなのに意識が妙に鮮明になっている。
学生
学生がそう言ったとき、目の前の空間が歪んで黒い灰が渦巻いていた。そしてそこには大きな鎌を持つ首からきれいなペンダントを下げた女性が立っていた。
死神
学生は戸惑った。
学生
死神
そう死神が言ったところで夢は終わり学生は目が覚めた。
1日目
学生
目覚まし時計を見ると時刻は朝の7:00だった。今から二度寝してもまた変な夢を見そうなので学生はそのまま起きることにした。
学生
学生は落ち着かなかったので気に入っているカフェや本屋に行ったり友達と会話をしてみたりしたが一向に気分は変わらなかった。
学生
そうして学生は夕飯を食べて眠ることにした。また同じ夢を見るのではないかと少し怖かった。
学生
気にせずに眠ることにした。
学生はまた夢を見た。今度は空間が霧がかって白く霞んでいる。嫌な予感がしたがそれは的中した。
死神
学生は気になって聞いた。
学生
死神
学生
死神
そうして夢は終わり、学生は目が覚めた。
2日目
学生
学生は戸惑った。あの夢が偶然という可能性も考えられた。しかし学生にはこの夢が普段見るような単なる夢でないことはなんとなく察せてしまった。
学生
学生は今まで食べた物の中で特に美味しかった物をできるだけ食べた。残り時間は24時間とすこしだけ。友達と遊んでよく喋りよく笑い大切な時間を過ごして二日目は終わった。
学生はまた夢の中にいた。今回はどうせ会うことがわかっていたので特に戸惑ったりしなかった。ただ、周囲の風景が燃えていたのでこのままでいいのか心配だった。
学生
ほどなくして死神は来た。
死神
学生
会ってそうそう文句を言われた。遠回しなやつではなく割とストレートに言われた。
学生
学生は普通に戸惑った。死神は淡々と喋った。
死神
学生
そうして最後の夢は終わった。
最終日
学生
生き返れないし消えてしまうと聞いたので後悔しないためにやるべきことを考えた。昨日から心の準備はしていたので緊張はしているものの死ぬことに対して怖いという感情はなかった。
やがて学生は人生最後の日、やることを決めた。
学生
午後2時
学生は今まで通っていた学校や気に入っている風景のある川など、自分にとって大切な場所を一通り訪れた。
午後4時
学生
学生は気になっていることがあった。それはどう死ぬかである。午後5時に死ぬと言われてもどう死ぬかがわからない。
死神
学生
死神
学生
死神
学生
午後4時45分
学生は川の近くを歩いていた。この通学路ももう歩くことはない。いよいよ高校生になれずに死んでしまうのだ。
学生
午後4時55分
死神
学生
死神
午後4時58分
その時川で溺れている猫が流れてくるのが見えた。
学生
死神
学生
学生はそういって川に入り猫を助けようとするが川の流れのせいでなかなか進めない。
午後4時59分
学生
死神
学生
猫を投げてなんとか岸に着かせることはできた。しかし
午後5時00分
川の上にかかっていた橋から事故でトラックが落ちてきた。
学生
学生の一生は終わった。
死神
人生最後の日の午前中、学生は手紙を書いていた。両親に、友達に、先生に、仲が良かったけれどついに告白することはできなかった恋人に。
死神
死神はずっと大切に持っているペンダントを握って呟いた。
この日、死神はなんとなく妙なことがあると思ったのだがその正体に気づくのはもう少し後になる。