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「遺書」
初めまして。こんにちは。
私は、深瀬 蘭 といいます。
この遺書を読んでいる...ということは、もしかして私は死ねたのでしょうか?
何度も自殺を試していますが、やっぱり自分で死ぬのは怖くなってしまい、ついつい手加減をしてしまいます。
でも。 死んだ方が、今よりずっと楽なのではないかと、何度も思いました。
私が今から話していくのは、 そういう話です。
私は、「高橋 沙恵」という友達が大好きでした。
私が拘束されているからでしょうか。
彼女は自由で、どこか余裕があって、私はそんな彼女が好きでした。
沙恵(さえ)
蘭(らん)
彼女がそう言ってきた時は、本当に理解ができませんでした。
「可愛くない」とか「運動と勉強が苦手」とかなんとか言ってましたが、彼女をそう思ったことは1度もありません。
沙恵(さえ)
こう言われた時は、本当に理解ができませんでした。
蘭(らん)
蘭(らん)
蘭(らん)
私はこう言った後、彼女を褒めました。それは、本心からの褒め言葉です。
でもその後、
沙恵(さえ)
蘭(らん)
私はこの時、全てを打ち明けるべきだったのかもしれません。
母親に虐待されていること。 自分の将来の夢が、叶わないかもしれないこと。
...でも、私は言うことが出来なかった。
弱さを見せたら離れていってしまう気がしたのです。
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
沙恵(さえ)
蘭(らん)
蘭(らん)
私はそう言って、別れの挨拶をしてしまいました。
はっきりここに書いて置きますが、私は母親が大嫌いです。
父親には、感情すら湧きません。 父親は大学の教授なのですが、研究やら仕事ばかりでほとんど家に居ないので。
「死にたい」と毎日思うのも、7割は母親のせいです。
母
母
母
母
それでも離れられないのは、こんな言葉を言われても、どこかに愛情を感じたからだと思います。
朝ご飯とお昼ご飯を作ってくれたり、学費は払ってくれたり、
近所の人から私のことを褒められると、とても嬉しそうにしていました。
それと、「母親に見捨てられたら、自分の居場所がなくなってしまう」という不安もあったと思います。
でも、そもそも私が「福祉関係の仕事につきたい」と心に誓ったのは、母親のせいです。
「私みたいに、虐待されてる子どもを救いたい。」と、本気で思っていました。
...けれど、その夢は母にとって、『完璧』ではありませんでした。
蘭(らん)
私は無言で、自分の部屋へ行こうとしました。
ガシッ
母
母
蘭(らん)
バチンッ
母は、思いっきり私の頬を叩きました。
蘭(らん)
私の頬は赤く腫れました。
そして、体の奥底から涙がじわじわと溢れてきました。
母
母
母
母
...失敗作。そうかもしれませんね。
私は、完璧にはなれないことを改めて実感しました。
でも、私は生きていくために、完璧で居ようとしなくてはなりません。
私は、歯を食いしばりました。
ある日のことです。
いつもは遅刻ギリギリの彼女が、偶然早く学校に来てくれました。
私は彼女に早く会えるのが嬉しくて、すぐに話しかけに行きました。
蘭(らん)
沙恵(さえ)
彼女は黙り込んでいて、何か考えている様子でした。
蘭(らん)
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
彼女はものすごく驚いていました。
それほどまでに、何か悩み事があるのではないかと、私は考えました。
蘭(らん)
沙恵(さえ)
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
彼女は、少し戸惑いながら「悩んでいるわけではない」と言いました。
なるほど。 彼女も本当は悩みがあるけれど、彼女も打ち明けられないのだなと思いました。
「彼女にも悩みはあるんだ」と思い、私は少し安心しました。
蘭(らん)
蘭(らん)
蘭(らん)
私がこういうと、彼女は「ありがとう」と言ってくれました。
そして気分晴らしに、暑いので外に行こうと誘うと、彼女は喜んで着いてきてくれました。
蘭(らん)
蘭(らん)
日陰が余りにも涼しいので、私は背伸びをしてベンチに座りました。
そして、彼女と横並びになりました。
蘭(らん)
彼女が想いを馳せている、私の幼馴染である高野について訪ねてみました。
沙恵(さえ)
私はその言葉を聞いて、ホッとした自分に「自分って最低だな」と思いました。
彼女が「好きだ」と聞いたあの日から、高野のことは諦めようと決めていたのに。
私は、自分の心を押し殺しました。
蘭(らん)
沙恵(さえ)
蘭(らん)
蘭(らん)
自分でこんなこと言っておいて、急に胸が苦しくなりました。
だから、話の話題を変えました。
蘭(らん)
私はそう言って、自分のストック用に購入したミルクココアを差し出しました。
ミルクココアは「ストレス軽減に良い」と聞いたので、最近よく飲んでいました。
沙恵(さえ)
驚いて当然ですよね。
こんな暑い日に、ミルクココアは似合いませんでした。
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
蘭(らん)
自分にとって、ミルクココアを差し出したのは少し失敗でした。
それでも、彼女は「美味しい」と飲んでくれました。
もしかしたら、自分の弱さを受け入れてくれるかもしれない...
私はそんな考えを巡らせていました。
すると、どこからか「ニャー」という鳴き声が聞こえ、私は猫を発見しました。
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
蘭(らん)
私は、少し本音を漏らしてみることにしました。
蘭(らん)
沙恵(さえ)
沙恵(さえ)
蘭(らん)
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
沙恵(さえ)
キーンコーンカーンコーン
「お前に弱音なんて吐かせない」
...そんな風に、学校のチャイムはなりました。
このチャイムが少し遅かったら...何か少しでも変わったかもしれませんね。
結局、私は彼女に自分の悩みを打ち明けることは出来ませんでした。
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
そして、私の悩みはまた自分の心の中にしまいました。
その日から2日後、私は全国高校生人権小論文で2位を獲得したことを表彰されました。
どなたが1位を取ったのか知りませんが、私はこんな表彰状をもらっても全然嬉しくありませんでした。
「声を上げれば、届くはずです。」
大人が好きそうな言葉を並べただけで、表彰状を貰うとは。
声を上げても、無駄なことを知っていた私にとって皮肉なものでした。
蘭(らん)
私は担任から表彰状をもらい、自分の席につきました。
朝礼が終わると、私は彼女の元へ向かいました。
蘭(らん)
沙恵(さえ)
彼女は、目を合わせてくれません。
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
蘭(らん)
蘭(らん)
沙恵(さえ)
沙恵(さえ)
蘭(らん)
蘭(らん)
私は、頭が真っ白でした。
どこからか、親に虐待されていると噂が流れたのかもしれない。
だとしたら、彼女の反応は私にとって望んでいた反応ではありませんでした。
...いや、もしかしたら何か悩み事があって、そっとしておいてほしいのかな、と思いました。
なのでその日は、彼女と距離をとることにしました。
先生の帰りの会が終わって、私はクラスで1人になりました。
ふと、彼女と一緒に帰っていた日々を私は思い出しました。
そしたら、急に泣きたくなって
それを誤魔化すように、私は窓を開けて眺めることにしました。
するとそこに、高野が現れました。
高野
高野
彼はそういうと、ゆっくり私の隣にきて、カーテンを閉めました。
高野
ドキッ
押し殺していた感情が、出てきてしまいそうになりました。
蘭(らん)
蘭(らん)
蘭(らん)
そう言って、私はまた窓の外を眺めました。
高野
蘭(らん)
高野
高野
嫌いになるわけ、ないじゃないですか。
好きです。本当は、大好きでした。
それでも私は、感情を押し殺していたんです。
だから彼にギュっと抱きしめられた時、涙が出てきそうになりました。
とても苦しかった。 でも、高野は暖かった。
でもその時、 彼女がいる気配がしました。
感じていた暖かさは、 一瞬にして冷たくなりました。
沙恵(さえ)
沙恵(さえ)
彼女はそう言って、私のことを避けるように帰って行きました。
私は、彼女に嫌われてしまったのです。
私の中で、何かが壊れる音がしました。
沙恵、ごめんね。
沙恵のこと、大好きなのに。 悲しませてしまった。
本当に、本当にごめん。
こんな私でも、一緒にいてくれて本当に嬉しかった。ありがとう。
私は、『完璧』にはなれません。
もう、自分の感情を押し殺すのは疲れました。
もう.....楽になりたいです。
...すみません、ついつい長くなってしまいましたね。
それでは、 この辺で私の「遺書」は終わります。