8話です よろしくお願いいたします✨
# 8 ↓
ひとりぼっちになった私は、 伯母さんの家に引き取られることになった。
数回しか会ったことがない人から、 更紗ちゃん、つらかったねと涙ぐみながら抱きしめられ、私はびっくりするばかりだった。
この家には伯母さんと伯父さんと 孝弘という中2の従兄がいた。
私の両親は酒好きだったため 晩酌している伯父さんによかれと思ってビールをついだら 伯母さんはとても嫌な顔をしていた。
まったく灯里はどんな子育てをしてたんだか。湊くんと結婚してやっと落ち着いたと思ったのにまたこんな恥ずかしいことをしでかして
子供の前でやめろよ
灯里のせいで私がどれだけ嫌な思いをしてきたかあなたは知らないのよ。
伯母さんとお母さんは仲の良くない 姉妹だったようだ。
私が叱られている間孝弘はずっとニヤニヤしていた。 私はこの従兄が大嫌いだった。 初日から私をじろじろ見て、目つきが 気持ち悪かった。
まもなく、私は案の定 伯母さんの家の厄介者になった。
なんか、やだなぁ。
今日も洋子ちゃん達と鬼ごっこをした。
もちろん男の人も読書をしていた。
途中から雨が降りだしたので いつもより早く解散になった。
いつも通り私は公園に引き返した。
ー家に帰ったら、孝弘が死んでてくれないかなぁ。
ーそれか隕石でも降って、地球が割れちゃえばいいのになぁ。
孝弘ひとりの死が、今や全人類の死と同等になっている。 私はそれくらいあいつが嫌いだ。 本当に死んでほしい。 それか私が死ぬか。 それなら今すぐ出来るかもしれない。
そんなことを考えている間にも全身が しっとりと湿っていく。 傘はない。早く帰らなくちゃ。
でも、今すぐ甘いものがほしい。 優しいものがほしい。 でないと、もうこらえきれないかもしれない。
帰りたくない。 あの家では息が詰まる、 ご飯の味もしない。 もう、帰らない。
うつむいた視線に紺色の靴先が入ってきた。
モカシン。お父さんが好きだった靴だ。
のろのろと見上げると、透明なビニール傘を差した男の人が立っていた。 いつも座っているのでこんなに背が高いとは知らなかった。 けれど、細長いので威圧感はない。
帰らないの?
甘くてひんやりしている。 半透明の氷砂糖みたいな声だった。
濡れた髪をおでこに貼り付かせている私と違って、男の人は全体的にさらさらしていた。
それに近くで見てわかった。 この人、すごく綺麗な顔をしている。 なにより鼻が完璧だった。 美形の条件は鼻だと、お母さんは常々言っていた。 更紗はお父さんに似て鼻が綺麗だから完璧ねっ。と。
そうか。この人少しだけお父さんに似てるんだ、
ぽかんと見上げていたら、 この子馬鹿なのかな、という顔をされた。
答えないと。 お父さんに似てる人にバカだとは思われたくない。
更紗
うちに来る?
その言葉が、 救いの手のように感じた。
更紗
男の人が振り返って ベンチに目をやり、 『ランドセルは?』 ときいてきたけれど 私は
更紗
と言うと 『そう、』 と返されただけだった。
ありがとうございました。 次回をお楽しみに
コメント
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はいっ!頑張ります(^^)
続き待ってます^^*