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歌声が聞こえる。
記憶の片隅に響く、懐かしい歌。
優しく、暖かく、美しい声。
幼い日の記憶を連れてくる声。
おぼろげな記憶の中には、いつもあの歌声と、ネリネの花がある。
「蝶はね、亡くなった人の魂を連れてくるんだよ」
「お父さんもきっと、蝶になって、自由に飛び回りながら、アイラを見ていてくれるよ」
ネリネの花に止まった一羽の蝶を見て、そう言って笑ったあなたも、蝶になったんだろうか。
845年、壁外
雨の中を、調査兵団は馬に乗って駆ける
仲間はもう、何人も死んだ
ねえ、いつまで続けるの? これが人類のためなの?
門がゆっくりと開いていく
その向こうにあるのは
民衆からの非難の目。
民衆
民衆
民衆
ああ、またか
なんで、私たちばっかり。
モーゼスの母
モーゼスの母
モーゼスの母
団長
そんなの、渡したって絶望させるだけなのに
モーゼスの母
モーゼスの腕を見て、彼の母が泣き崩れる
残酷すぎるよ、そんな伝え方
モーゼスの母
モーゼスの母
団長
団長
団長
馬鹿みたいだと思った
この世界が、だ。
こうやって命をかけて戦う人が、1番罵られ、1番頭を下げなくてはいけない、この世界が
私の大切な仲間もまた死んだ
ねえ、行かないで
行かないで……
そして、845年のあの日
シガンシナ区は、陥落した。